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東芝の再浮上はあるのか?家電事業を大胆に変えられるかがカギになる

4月に不適切会計が発覚し、大きく株価を下げた東芝ですが、総合電機メーカーとしての知名度や半導体メーカーとしての優位性は依然として健在です。では下がっている今は「買い」なのでしょうか?長期投資家のための銘柄情報などを掲載する無料メルマガ『株式投資図鑑の銘柄情報』では改めて東芝という会社を分析しています。

東芝ってどんな会社?

東芝は総合電機会社です。
「電力・社会インフラ」「電子デバイス」「コミュニティ・ソリューション」「ライフスタイル」「ヘルスケア」の事業があります。
企業向けの大きな設備と家庭向けの電気製品の両方を製造しています。

今回の不適切会計で問題になっているのが「電力・社会インフラ」事業です。
連結売上高6.5兆円のうち26%を占め、1.8兆円の売上があります。

不適切な会計処理では、当初の見積もり段階での原価をそのまま費用として計上していたとのことで、最終的にかかった費用との差額分の利益がかさ増しされていたことになります。企業としてあるまじき行為です。

電力・社会インフラ事業の利益は決して大きくありません。
利益率1.8%、金額は323億円と連結売上高の10%程度です。
不正があったとされる2013年度でこれですから、実際はほとんど儲けが出ていなかったのでしょう。

この分野は世界的な競争が激化しています。
アメリカのGEやドイツのシーメンス、フランスのアレバなどの名だたる企業が参入し、熾烈な受注競争が繰り広げられています。
受注を増やそうと思えば、多少の利益は犠牲にしなければなりません。

受注を増やす一方で利益は確保しなければならない相反する目標へのプレッシャーが今回の事件を引き起こした一因だと僕は考えています。

一方で、東芝の屋台骨を支えているのが、電子デバイス事業です。
特に最近はスマートフォンやメモリーカードに使用されるNANDフラッシュメモリが好調で、2013年度は2,300億円もの利益を計上しました。

好調の要因は、スマートフォンの世界的な需要です。
東芝はフラッシュメモリのシェアではサムスンに次いで世界2位、この2社で約半分のシェアを占めます。
設備の増強もあり、ガンガン供給が続いている状況と言えるでしょう。

その他、企業・官公庁向けシステムのコミュニティ・ソリューション事業や、世界2位のシェアを誇るCTスキャンに代表されるヘルスケア事業は安定的な利益が期待できる分野です。

一方で、家電を製造するライフスタイル事業は、2013年度に500億円を計上するなど、非常に厳しい状況が続いています。
日本企業全般に言えることですが、この分野ではコスト競争力に勝る新興国企業には勝てません。

東芝の実力

電力・社会インフラ事業では、グローバルで熾烈な競争が行われ、今回の事件もあり慎重な対応とならざるを得ないでしょう。
当面の利益はほぼゼロに近いと言っていいと思います。

コミュニティ・ソリューション事業やヘルスケア事業では東芝は強みを持っており、安定的な利益を生み出すでしょう。売上高にして2兆円、営業利益で1,000億円くらいは見込めます。

厄介なのが、電子デバイス事業です。
今はスマートフォンの需要で絶好調ですが、中国のスマートフォン販売が減少に転じるなど、市場の飽和も見えつつあります。
液晶と同じ装置産業なので、需要が減少すると価格競争に陥る可能性が高いです。

サムスンとの寡占状態というのが救いですが、それでも2013年度がピークと見ています。
営業利益で2,000億円を超えるのは難しいでしょう。

簡単なようでなかなかできないのが、家電事業の縮小・撤退です。
500億円もの赤字を垂れ流していて、これから新興国企業に勝つ可能性も見出せません。
このリストラを断行しないことには東芝は変われないでしょう。

以上を踏まえると、東芝の実力は全てうまくいって営業利益3,000億円、
純利益1,500億円程度です。ただし、これを達成するためには、少なくとも家電事業からの撤退などの社内改革が必要です。

戦略の転換に期待

5月22日時点の東芝の時価総額は1.7兆円です。
純利益を1,500億円と見積もると、PER11.3倍ですから、数字だけ見れば悪くはありません。

しかし、純利益の見積もりはあくまで「全てうまくいった」場合です。
少なくとも、家電事業からの撤退がなければ達成することができません。

不適切会計の調査対象範囲を電子デバイス事業などに広げるとのリリースが出ていますから、しばらく株価は不安定なものになるでしょう。

この事件が収束し、それを機に東芝が生まれ変わることで、家電から撤退するような戦略の転換が行われる可能性はあると見ています。
その時初めて買い場が訪れると言っていいでしょう。

しばらくは様子を見て、チャンスを伺うのが賢明です。

株式投資図鑑』(2015年5月25日号)より一部抜粋

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