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ヘルメット大手「SHOEI」の知られざる優良企業ぶり。なぜ世界シェア60%に?株価評価と投資リスクも解説=佐々木悠

made in JAPANにこだわるワケ

SHOEIのヘルメットの特徴はmade in JAPANです。驚くべきことに全世界で販売されているヘルメットは、岩手茨城の工場で生産されています。

「made in JAPANなんてよくある話じゃないの?」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

海外売上比率が高い企業の大半は、現地生産・現地販売の戦略を採用していることが多いのです。このメリットは現地のニーズに合わせて商品を細かくモデルチェンジできること、現地の販売動向に合わせて生産をコントロールし販売までリードタイムを短くできること、などが挙げられます。

しかし、SHOEIはその潮流から真っ向から対峙し、made in JAPANにこだわり続けます。その目的は、商品の質を最大限高めるためです。機械と人間の細かい手作業を組み合わせることで、被りやすいヘルメットを製造しています。

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出典:SHOEI 企業ホームページ

さらに、SHOEIは30年以上前から空力の重要性に着目しています。

ヘルメットメーカーでは稀な大型風洞実験施設を設置し、製品の空気抵抗測定や風切り音の解析を行って商品を開発しています。この機械は時速300kmの環境も再現できることから、トップレーサーからツーリングを行う人まで、様々なニーズに高いレベルで対応できるのです。これが世界トップシェアを確立した、大きな理由です。

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出典:SHOEI 企業ホームページ

SHOEIがmade in JAPANで実現したいことは、高付加価値化生産合理性の両立です。高付加価値化というのは、例えば

「顧客はかっこいいデザインを欲している。この部品を組み合わせると機能も見た目もよくなる」という顧客目線の商品開発と言えます。

一方で、生産合理性というのは

「いやいや、そんなデザインは量産できない。そもそも安全規格が通らない。製作費がとんでもなく高くなる」という、企業目線の商品開発と言えます。

このトレードオフのせめぎ合いを経て、商品開発を行うためには、業界内でも珍しい生産設備があり、細かい手作業を行えるmade in JAPANでなくてはいけないのです。そして最終的には「売れるカッコイイヘルメット」が「対象顧客の手に届く値段」に落とし込まれるのです。

安全性や商品の美しさを含めたヘルメットの質と、顧客のニーズを実現できる生産方法こそが、競合他社や新規参入者を寄せ付けない強固な参入障壁(ブランド力)を築いているものと考えます。

Next: なぜ株価下落?投資リスクは?長期投資家はSHOEIをどう見るか

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