株価の評価とリスクは?
このように、財務面、商品面の両方から素晴らしい魅力がありますが、株価は今年に入りやや下落しています。

SHOEI<7839> 週足(SBI証券提供)
2023年10月16日時点の時価総額は1,160億円でPERは14.1倍。過去10年の平均PERは22倍ですから、パッと見て割安に感じます。
ではなぜ株価が下落しているのでしょうか?
1つのリスクとして考えられるものは、コロナ特需の反落や中国市場の需要減の影響を織り込んでいるものと考えられます。
特に23年3Qはこれまで好調だった中国市場の勢いが低下し、代理店の在庫が増加している傾向が示唆されました。コンセンサス予想では、24年9月期に増収減益の予想です。2020〜2023の間、営業利益が年間30%近く成長していますが、24年9月期の決算は成長が止まる可能性も考えなくてはいけません。
中国ロックダウンの反発がなくなることが、目先のリスクであると考えます。

出典:決算短信より作成
一方で、今後の売上に影響する商品の受注残高は、コロナ前の倍の水準です。また、コロナ禍では生産機能がキャパオーバーとなり、大幅な納品遅延等が発生していたため、販売代理店からの受注獲得を抑制していました。しかし、23年9月期3Qからは受注制限を解除。
むしろここからが、平常運転になるものと考えます。

出典:決算短信より作成
従って、目先中国の需要減の可能性はあるものの、会社全体で見ればここからが勝負所であると考えます。
では、最後に長期目線で世界のプレミアムヘルメット市場の動向を見てみましょう。
Mordor Intelligenceという市場調査を専門とする企業のレポートによると、プレミアムヘルメット市場は、2023年から2028年にかけて年間平均6.81%で成長するとされています。
中でも調査期間中は北米・欧州・アジアのいずれの地域も市場が成長する見込みです。成長する理由は消費者のスポーツバイクへの関心が高まること、特に20代〜40代の現役層が趣味としてバイクに乗る機会が増え、その恩恵を受けるものとされています。
従って、主力市場であるプレミアムヘルメット市場は成長する見込みであり、すでに市場内で強固な参入障壁を構築しているSHOEIは、今後も成長していくものと考えます。
SHOEIは事業の魅力に加えて、配当利回りが3.5%前後と株主還元も積極的です。(配当性向50%)すでに確立された強みと参入障壁、今後の成長性を総合的に考えて、あなたのポートフォリオに加えても良い銘柄だと考えます。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2023年10月17日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。