悪目立ちしてしまった
どこの保険代理店も似たようなことを行っている中で、今回FPパートナーのマネードクターがやり玉にあがったのは、あまりにもやり方が露骨で悪目立ちしてしまったところがあるのではないかと思われます。
顧客に対して不利益があるわけではなく、新規の顧客も既存顧客からの紹介という形で獲得していることも多いです。
ただ、同じ保険をFPパートナーからしか買えないというわけではないので、ビジネスモデルとしてはどこでも真似できるものであるとも言えます。
FPパートナーは成長に舵を切りすぎて、コンプライアンスに関してはかなり緩い部分はあるようです。
成長は続くか?今後どうなっていく?
FPパートナーは今後どうなってしまうでしょうか。
金融庁が調査に入るという報道もされていて、もし金融庁からのお咎めがあったとしたら、保険会社もこれまでのようになりふり構わずお金を払っていたものが消極的になり、販売手数料も下がっていくので、目先ではFPパートナーの業績は下がっていくのではないかと思います。
※参考:金融庁、「マネードクター」と生保の取引実態を調査 – 東洋経済オンライン(2024年6月18日配信)
今のPERは今期予想に対して12.5倍となっていますが、もし業績が悪化することになれば、PERが上がり、割安感はほとんどなくなってくると思われます。
今期の1株あたり利益が200円くらいですが、これが150円くらいになったとするとPERは16倍、100円になったとしたらPER30倍ということになります。
今の株価が高すぎるということはありませんが、しばらくは今期の予想に対して下方修正が入ったりする可能性が十分にあると考えられます。
株価が下がっているからといって買いに入ると危険だというのが私の意見です。
では長期的に考えるとどうでしょうか。
知名度があり、見込み顧客については困らない状況があるのであれば今後も業績を伸ばしていけるのではないかという観点もあるかと思います。
ただ、FPパートナーで退職者が増えているという報道もあります。
※参考:FPパートナー「退職者続出」の深層、超複雑ブラックボックス報酬体系を募集人が暴露【ヤメFPパートナー覆面座談会(上)】 – ダイヤモンドオンライン(2024年5月27日配信)
FPパートナーは知名度があるので、見込み顧客を獲得することはそれほど難しいことではなく、募集人としては新規の営業や飛び込み営業をする必要がほとんどありません。
その分、販売した時の報酬はそれほど高くないということです。
自分で新規開拓ができてどんどん売ることができる優秀な人にとっては他の会社でやる方が良いということです。
優秀な人材から抜けていってしまうというビジネスモデルなので、これまで業績を伸ばしてきましたが、これを続けられるかというと難しい部分が多いのではないかと私は考えています。
最終的な判断はご自身の考えと投資の時間軸に沿って行ってください。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2024年6月24日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。