特定層を優遇するのは差別か?
そもそも私企業がキャンペーンを行うことは、公序良俗に反しない限りは基本自由だ。
公序良俗に反するというのには、明らかに差別と取られるものも含まれる。
それでは今回の女性限定キャンペーンが明らかに差別かと言えば、筆者としては否定的である。
特定層を優遇する際に差別になるかどうか気を付けなければいけない視点は、優遇することによって特定層でない層が直接的な不利益を被るかどうかである。
例えば企業などでは、男女で採用に差をつけるのは基本的にはNGである(社会的に差別があるので、暫定的に特定層を優遇するのは仕方ないというアファーマティブ・アクションのような考え方もあるが)。
今回の牛角のキャンペーンで、優遇されなかった男性側が不利益を被るかと言えば否だ。
女性が安く食べられるので、男性側が実質的に損失を被っているのだと言う人もいるかもしれないが、それを言い出すと子ども価格もダメになるし、シルバー価格もダメになる。
ミクロベースですべての層の個別事情を無視して、同じ経済条件にせよというのは暴論なのだ。
炎上を過度に恐れるべきではない
焼肉チェーンというのは、基本的に男性のお客様比率が高く、女性のお客様の比率は男性に比べて相対的に低いため、企業側から見ると開拓余地があると言える。
そのために今回のような女性向けキャンペーンを行うというのは、企業の戦略としては合理的だろうと思う。
しかしながら令和の時代では、前述のとおり特定層向けにメリットがあるキャンペーンを行えば、必ずと言っていいほどSNS等で批判的な意見が出てくる。
このような批判的な意見が出てくることを炎上と言うのであれば、企業は炎上を過度に恐れるべきではない。
炎上を恐れるあまり、何もできなくなってしまうのは企業としては最悪の選択だ。
一部では炎上商法という、意図的に炎上させて知名度を上げる商法もある。
炎上商法と言われるものは副作用が大きすぎてお勧めはできないのだが、かと言って炎上を必要以上に恐れすぎて尖った施策を打てないのも問題である。