9月12日に告示された自民党総裁選には、過去最多となる9名が立候補しています。投開票が行われる9月27日までに、熾烈な政策論争が繰り広げられるなか、党内では高市早苗氏、石破茂氏、小泉進次郎氏の3名が三つ巴の状況となっています。果たして誰が総裁の座を手にし、次期総理としてマーケットにどのような影響を与えるのでしょうか?各候補者の政策を基に、今後の展開を予測します。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年9月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
史上最多9名で争われる自民党総裁選
自民党総裁選が9月12日に告示され、過去最多の下記の9名が立候補している。
・高市早苗氏(経済安保相、元総務相)
・小林鷹之氏(前経済安保相、元防衛政務官)
・林芳正氏(官房長官、元農相)
・小泉進次郎氏(元環境相、元内閣府政務官)
・上川陽子氏(外相、元法相)
・加藤勝信氏(元官房長官、前厚労相)
・河野太郎氏(デジタル相、元外相)
・石破茂氏(元幹事長、元防衛相)
・茂木敏充氏(幹事長、元外相)
9月27日の開票まで約10日あるが、すでに候補者間での政策議論が始まっている。
自民党総裁選は国会議員票367票に同数の党員・党友票を合わせた合計734票で争われるのだが、現状での情勢を見ると、高市氏、小泉氏、石破氏の3名が三つ巴の状況であり、その他の候補者を大きく引き離しているようだ。
読売新聞が行った党員・党友への電話調査と国会議員への支持動向調査によると(9月16日の紙面で発表、党員・党友と確認できた1,500名に調査)、現状の票読みは以下のとおりとなっている。
高市氏:党員・党友票 94 国会議員票 29 合計 123
石破氏:党員・党友票 97 国会議員票 26 合計 123
小泉氏:党員・党友票 60 国会議員票 45 合計 105
小林氏:党員・党友票 22 国会議員票 40 合計 62
林氏:党員・党友票 18 国会議員票 35 合計 53
上川氏:党員・党友票 22 国会議員票 23 合計 45
茂木氏:党員・党友票 7 国会議員票 33 合計 40
河野氏:党員・党友票 11 国会議員票 24 合計 35
加藤氏:党員・党友票 3 国会議員票 24 合計 27
未定:党員・党友票 33 国会議員票 91 合計 124
1回目の投票で過半数を得る候補者がいなければ上位2名による決選投票になるのだが、現状では過半数を取る候補ができる可能性は低く、決選投票となる可能性は高い。
まだ2週間あるので何が起こるか分からないものの、現状では上位3名の高市氏、石破氏、小泉氏の中の2名が決選投票に進む可能性が高いだろう。
それでは高市氏、石破氏、小泉氏が自民党総裁となり総理となった場合、マーケットにどのような影響があるかを予想したい(解散した場合に政権交代の可能性もあるが、現状の野党の支持率を考えると実際に政権交代が起こる可能性はかなり低く、今回の総裁選で自民党総裁となった人物が総理として総選挙後も継続するという前提でお話しする)。
外交はタカ派、財政・金融政策はハト派と見られる高市氏
高市氏の政策は、外交はタカ派、財政・金融政策はハト派と見られる。
3名の中では最も右派的と見られており、高市氏が総理となった場合、特に中国、韓国との緊張関係は高まることが予想される(高市氏は総理になったら靖国参拝を行うと公言している)。
外交はかなりタカ派的なものになるのに対し、財政・金融政策ではリフレ派であり、かなりハト派的なものになると予想される。
自民党総裁選での討論会でも、高市氏は「低金利を続けるべき」と発言しており、追加利上げをけん制している。
高市氏が総理になった場合、日銀が直近で行ってきた金融引き締め政策についてはブレーキがかかることが予想される。