・日本への言及について
7章のなかで、日本の商社株について言及している箇所をみてみましょう。
バークシャー自身と似たやり方で非常に成功している日本企業5社の株式を購入し始めてから、ほぼ6年が経ちました。5社とは(アルファベット順で)伊藤忠、丸紅、三菱、三井、住友です。これらの大企業はそれぞれ、さまざまな事業に権益を保有しており、その多くは日本に拠点を置いていますが、世界中で事業を展開している企業もあります。バークシャーが5社を対象に最初の購入を行ったのは2019年7月です。私たちは、これらの企業の財務記録を見て、株価の安さに驚きました。
このように、バフェットは日本の5大商社について言及しています。
2019年を振り返ると商社株のPERは6~8倍程度でかなり割安にもかかわらず、配当利回りが4%と高利回りの株もありました。
このような状況だったことから、バフェットは日本の商社に目を付けたようです。
そこで、2019年に続き2020年にコロナウイルスの影響で下落している時さらに買い増していたと考えられます。
たとえば、三菱商事で言うならばこの2019年、2020年あたりの安いところで買い増してきたということです。

こう見ると、すでに利益を上げていることがわかります。
ところが直近で弱含んできているため、株主やアナリストから「商社株どうするの?」と声が上がってきていてそれに対して答えているのかもしれません。
またバフェットは、以下のように日本の5大商社に対して評価を述べています。
定期的に彼らの進捗状況を追っています。私たちは2人とも、資本配分、経営陣、投資家に対する姿勢を高く評価しています。5社はいずれも、適切な場合には配当を増やし、適切な場合には自社株を買い戻しており、経営陣の報酬制度は米国の同業他社に比べてはるかに控えめです。
米国は、経営陣に対して何十億という報酬を支払うのが普通です。
しかし、5大商社の経営陣の報酬はアメリカと比べて安いといっています。
ちなみに、バフェットの会社からの報酬は10万ドル程度(1,500万円)だと言われているので、それに対して共感を覚えたのではと思います。
・7章の重要な点
元々バフェットは5大商社に対して、株式の保有比率が10%を超えるような投資はしないことを示していました。
理由としては、10%を超えて株を保有すると株主としての議決権を多く持ってしまい経営に影響を与えることになるからです。
日本の会社に口を出すのは、荷が重いと考えたのかもしれません。
そのようなこともあり、バフェットは直接5大商社のCEOに会って株を10%までしか保有しないことを伝えていました。
ところが、株価が下がってきたタイミングで保有率の限度を撤回する話がでてきています。
当初からバークシャーの保有を各社の株式の10%未満に抑えることにも合意していました。しかし、この上限に近づくと、5社は上限を緩めることに合意しました。
つまりこれは、保有限度を10%までだと話していましたが、5大商社に対して強い投資意欲を持っていてさらに株を保有できるということを述べています。
これを受けて、バフェットは買い増しに意欲的だと報道が出たと考えています。
・本当にバフェットが買い増すのかわからない
報道ではバフェットが買い増しに意欲的だと伝えられていましたが、株主への手紙をよく読んでみるとそうとも言い切れません。
株主への手紙のなかで、以下のことが綴られています。
時間の経過とともに、バークシャーの5社に対する所有比率がいくらか増加する可能性があります。
所有比率が「いくらか」増加する可能性と書いてあり、多く増加するわけではなく少しは増加するといった表現をしています。
なぜか少し弱気なように感じられますね。
これを、原文でみると以下のように綴られています。
Over time, you will likely see Berkshire’s ownership of all five increase somewhat.
Over timeとはかなり長い期間を示していると思いますし、somewhatという「いくらか」を意味する言葉をつけています。
また、先ほどの文章を前との繋がりでみてみましょう。
5社はいずれも、適切な場合には配当を増やし、適切な場合には自社株を買い戻しており、経営陣の報酬制度は米国の同業他社に比べてはるかに控えめです。
このようにありますが、特に「適切な場合には自社株を買い戻しており」という箇所がポイントになると思います。
つまりこれまでの話の裏を返すと、バフェットは5大商社に自社株買いを促すメッセージを株主への手紙でしている可能性があります。
ここまでの、株主への手紙の要点をまとめてみましょう。
- あえて日本の商社について触れた点
- 5大商社の株価が現在下落している点
- 保有限度10%を撤回した点
- 保有比率の増加率を「いくらか」といった弱気な点
- 自社株買いについて触れている点
このことからバフェットは、暗に自社株買いで買い支えてほしいと各社に言っているとも取れます。
1つの視点ではありますが、つばめ投資顧問としては恐らくそうではないかと考えています。
以前三菱商事について分析した動画をだしましたが、現在外部環境はよくないです。
そもそも商社株には、成長を期待しているわけではありません。
割安かつ自社株買いをしていて、配当を増やしていることが投資家にとってのメリットとなります。
そのためバフェットも成長性というよりも安定性を求めており、自社株を買って今後も還元して安定的に運用することを期待しているようです。