コメダホールディングス(コメダHD)が、新業態「おむすび 米屋の太郎」をスタート。2月22日、東京・新宿に1号店を出店し、さいたま市・川口市にも続々と展開予定だ。既存ブランド「おかげ庵」との相乗効果を狙うほか、成長著しいおむすび市場への本格参入を図る。コメダの新たな挑戦の背景と戦略を探る。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年2月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
コメダ珈琲店が「おにぎり」業界に参入へ
コメダホールディングス(コメダHD)傘下で『コメダ珈琲店』を展開する株式会社コメダ(コメダ)は2月22日、おむすびを提供する新業態『おむすび 米屋の太郎』(以降、米屋)の1号店を東京新宿センタービルに出店した。
米屋はテイクアウト中心で、イートインも可能な店舗だ。
コメダは『おかげ庵』という甘味やうどんなどの麺類が充実している喫茶業態の店舗を愛知県中心に出店しているが、同店舗でモーニングとして提供してる“おむすび”が好調なことから、同業態の姉妹ブランドとして米屋を立ち上げた。
米屋についてはさいたま市と川口市でも2号店、3号店をそれぞれオープンする(編注:原稿執筆時点2月25日)。
コメダは米屋だけでなく『おかげ庵』の出店強化も掲げており、『おかげ庵』を米屋の併設店舗を出店していく計画だ。
おにぎり市場の拡大
近年おむすび(おにぎり)専門店の出店が拡大している。
レストラン検索・予約サービス『食べログ』を運営するカカクコムによると、2024年8月時点でのおむすび専門店の数は2,055店舗となっており、2020年の同時期の店舗数が1,162店舗であったので、4年で倍増している。
これにはコロナ禍によるテイクアウト特需があったことは言うまでもない。
ただコロナの影響がおさまった現状でも、おむすび専門店の勢いが特段衰える感じはない。
このあたりは高級パン販売店バブルがピークアウトしてしまったのとは異なる。
コスパ・タイパを重視するZ世代のような若年層には時間がかからず食事を済ませられ、かつ美味しいというおむすびはフィットするのだろう(高級パンとは、日常的に食べるものだという点でも異なる)。
コンビニでも、おにぎりの販売は総じて好調なようだ。
コンビニでは低価格と高価格帯のおにぎりがあり、両極化している。それぞれが好調なようだが、米屋が展開するような専門店のおむすびは価格的にはコンビニの高価格帯おむすびと競合すると考える(米屋のおむすび1個あたりの価格帯は150〜580円とされている)。
ただ米屋は注文後に握りたてのおむすびを提供したり、具材の充実度がコンビニの比ではないなどの点で、差別化を計っている(これは他のおむすび専門店も同じである)。
Next: コメダHDの業績は?狙いは「コメダ珈琲店依存」からの脱却か