丸亀製麺を運営するトリドールホールディングス<3397>について、その投資対象としての魅力と課題を解説します。皆さんもニュースでご覧になったかもしれません。トリドールホールディングスが、丸亀製麺の店長の最大年収を2,000万円に設定するという衝撃的なニュースです。このニュースを聞いて、人々は様々な感想を抱くでしょう。例えば、「それだけ払わないと人が集まらないのか」という懸念、あるいは「丸亀製麺を運営するトリドールは、それほど業績が良いのか」という期待です。
実際、皆さんの周りでも丸亀製麺の人気は非常に高く、昼時になるとロードサイド店やショッピングモール内の店舗は、常に賑わっている状況が見られます。この好調な企業を投資対象としてどのように見るべきか、業績、戦略、そして潜むリスクまで掘り下げていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
好調なトリドールHDの業績と株価トレンド
株を見る上で最も重要なのは業績です。マネックス証券の「銘柄スカウター」などで長期の業績を確認すると、トリドールホールディングスの成長ぶりが明らかになります。
順調に拡大し続ける売上高
売上高は非常に順調に拡大しています。
2021年3月期はコロナ禍の影響で一時的に減りましたが、その後はむしろ急加速する勢いで売上を伸ばし続けています。利益については増減があるものの、長期トレンドで見れば右肩上がりと見て良いでしょう。
<10年で株価約10倍!高い投資家関心>
業績の好調さに伴い、株価も好調に推移しています。
過去10年のチャートを見ると、株価はかつての680円程度から現在5,000円台へと、およそ10倍近く伸びている非常に好調な銘柄です。

トリドールホールディングス <3397> 月足(SBI証券提供)
この実績から、株主優待の存在も相まって、多くの個人投資家が投資を検討しているようです。
成長を支える「2つの軸」:国内の盤石さと海外展開
トリドールホールディングスは、単なるうどんチェーンの会社ではありません。成長戦略は「2つの軸」で成り立っています。
<軸1: 丸亀製麺(国内)の盤石な収益性>
トリドールホールディングスの全体売上に占める丸亀製麺の割合は約50%弱です。
丸亀製麺自体は、企業全体の代表的な業態として、非常に高い利益率を誇り、盤石な地盤を築いています。なんと、丸亀製麺単体の利益率は16.3%という高水準です。
<軸2: 成長を牽引する海外・その他の店舗>
国内の丸亀製麺の店舗数は近年それほど大きく増えていませんが、全体の業績拡大を牽引しているのは海外と国内のその他の店舗です。
特に海外事業や、国内の「その他」事業(ラーメン店のずんどう屋やコナズ珈琲など)が大きく伸び、全体の成長を加速させている状況です。企業戦略としては、収益を稼ぎ出す「キャッシュカウ」である丸亀製麺の利益を、成長分野(海外・その他)に投資するという、理想的な姿をとっています。
