丸亀製麺が人気を保ち、客単価を上げる「仕組み」
丸亀製麺がなぜ高い利益率(16.3%)を達成し、競争の激しい外食産業で人気を維持しているのでしょうか。
<店内調理が生む「体験」と差別化>
丸亀製麺は、チェーン店で一般的な「セントラルキッチン方式」(出来上がったものを店舗で温めるだけ)とは全く逆の戦略をとっています。
- 店内調理(手打ちうどん)
- 揚げたての天ぷら
店内でうどんを打ち、その場で茹で、お客さんに提供する「体験」を提供しています。
天ぷらも揚げたてのサクサクの状態で提供されます。
この「体験」の提供が、ライバル(はなまるうどん等)との差別化に繋がり、多くのお客さんの心を掴んでいると考えられます。
<積極的な新商品・フェア戦略で客単価を向上>
丸亀製麺は、客単価の向上に貪欲です。
シンプルな「かけうどん」だけで終わらせず、いかに客単価を上げるかに注力しています。
- コロナ禍での革新的な商品開発
- 話題性の創出
- 客単価アップの仕掛け
コロナ禍では、うどん店としては画期的だったうどん弁当を導入し、売上を大きく伸ばしました。
シェイクうどんや季節限定のカレーうどん、さらにはうどんの生地を使ったドーナツの販売など、新しい試みを積極的に行っています。
フェアのメニュー(肉うどん的なものなど)やトッピングを豊富に用意することで、お客さんは思わず追加で注文してしまい、結果的に支払う値段が高くなる傾向があります。
<既存店売上高100%超えを続ける驚異の好循環>
小売店を見る上で非常に重要な指標が既存店売上高(既存の店舗が昨年と比べてどれだけ売上を上げたか)です。
丸亀製麺は、コロナ禍で一度落ち込んだ後、既存店売上高が常に100%を超え続けています。110%を超える水準も続いており、新規投資をしていない店舗から売上が伸びるという非常に好循環な状況にあることが分かります。これは値上げの浸透や、新商品による単価の向上などによって達成されています。
<現場を重視する経営:最大年収2,000万円の背景>
こうした積極的な成長戦略の裏には、創業者の粟田社長の経営力と、現場を大切にする経営方針があります。
会社全体が、良い提案をして実績を上げた従業員に対しては、昇給や表彰といったインセンティブの仕組みが整っています。
粟田社長は、「新的資本経営」最大年収2,000万円の店長制度(ハピカンオフィサー)導入(2025年11月予定)も、現場の人たちの活躍を促すためのモチベーションアップのシステムだと考えられます。