アミューズ(4301)は、サザンオールスターズや福山雅治などの人気アーティストを擁し、ライブ・配信・グッズ・ファンクラブなど多重収益ポイントを持つ芸能プロダクション。2026年3月期第2四半期は営業利益154.9%増と大幅増益を達成。Web3技術を活用した次世代エンタメサービスや東南アジアへの海外展開を加速し、IP起点の収益構造を強化。国内の注目銘柄を紹介する新連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。銘柄の選び方を学べます。
国内の注目銘柄を紹介する新連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、アミューズを取り上げます。
サザンオールスターズや福山雅治を擁し多重収益構造を構築
アミューズ(4301)は、サザンオールスターズや福山雅治などの人気アーティストを擁する大手芸能プロダクションです。エンタメ業界では、音楽や映画といったコンテンツ(IP:知的財産)を自社で保有し、ライブ・配信・グッズなどへ横展開して収益化するモデルが世界的な主流になりつつあります。同社は、IPを起点とした総合プロデュースを中期経営計画で打ち出しています。
収益の柱はコンサートや舞台、公演グッズ、ファンクラブなどを含むイベント関連事業です。2025年3月期の売上構成比は、イベント関連事業が約61.7パーセント、音源印税や番組制作、映像ソフト販売などの音楽・映像事業が約29.0パーセント、俳優のドラマ・映画出演やCM契約を扱う出演・CM事業が約9.4パーセントでした。
アーティストマネジメントを中核に多重収益ポイントを持つビジネスモデル
同社の強みは、アーティストマネジメントを中核に、イベント・映像・配信・グッズ・ファンクラブ・ライブビューイングまで収益ポイントを多重に持つビジネスモデルにあります。一つのツアーや映像作品が、チケット、物販、サブスクリプション、二次利用など複数の売上につながる構造で、ヒットIPを生み出せば利益のレバレッジが働きやすい体質です。
中期経営計画(2024年3月期から2028年3月期)では、「アーティストの発掘・プロデュース強化」「世界と日本をつなぐオリジナルコンテンツの創造」「世界に展開できるWeb3サービス・ソリューションの開発」という三つの重点施策により、過去最高の売上と利益率の達成を掲げています。具体策として、映像制作会社の子会社化による映像コンテンツ制作力の強化や、ライブ中継・配給を手がける企業との連携拡大を通じて、グループ内でIPを企画・制作し、ライブビューイングなども含め多面的に展開できる体制を整えています。
AIやブロックチェーンを活用した次世代エンタメサービスを開発
テクノロジー面では、デジタル戦略を担う子会社が中心となり、AIやブロックチェーン、NFT、Web3、メタバースなどの技術を活用した次世代エンタメサービスを開発しています。ライブチケット保有者とアーティストだけが交流できるファンコミュニティサービス「KLEW」や、NFTを簡単に保有できるウォレット「A Wallet」などは、今後のIPマネタイズ手段やファンロイヤリティ向上の基盤となる取り組みです。
東南アジアを拠点に海外展開を加速
海外では、2012年にシンガポール支店を設立して以降、東南アジアを拠点にライブやイベントの企画、日本コンテンツの紹介などを進めてきました。2025年4月には、グループ会社がシンガポールのネットワーク企業と共同で、コンサートや舞台の中継・上映を行う合弁会社を設立しています。アジア各国へのライブ・ビューイング配給やIP伝送網を整備する動きは、日本発のアーティストやIPを広域に届ける輸出インフラとして、長期的な成長ドライバーと位置づけられます。
2026年3月期第2四半期は営業利益154.9%増の大幅増益
直近の業績面では、2026年3月期第2四半期の連結業績が、営業収入402億5百万円(前年同期比8.0パーセント増)、営業利益49億5,500万円(同154.9パーセント増)と大幅増益となりました。
牽引役となったのはイベント関連事業で、2025年1月から5月に開催されたサザンオールスターズLIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」や、星野源「Gen Hoshino presents MAD HOPE」といった大型コンサートツアーに加え、ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」の上演が好調だったためです。これらの公演に伴うツアーグッズ販売や、グループ外アーティストの物販受託も重なり、イベント関連事業のセグメント利益は31億8,200万円(前年同期比477.5パーセント増)と、2025年3月期中間期から大きく伸びました。
音楽・映像事業では、サザンオールスターズ関連の音源・映像に係る印税収入が増加したほか、連結子会社の極東電視台でバラエティ番組などの制作本数が増え、番組制作収入の増加がセグメント利益を押し上げています。出演・CM事業では、福山雅治や大泉洋、吉高由里子、堀田真由、清原果耶といった所属タレントのCM出稿が好調で、同セグメントの営業収入は35億7,000万円(前年同期比7.2パーセント増)、セグメント利益は7億2,300万円(同62.9パーセント増)と堅調でした。
こうしたIPポートフォリオの広がりを背景に、同社は2026年3月期通期の経常利益予想を38億円から43億円へと約13パーセント上方修正しています。
IPとアーティストを起点に、テクノロジー活用と海外展開を組み合わせた収益構造への転換がどこまで進むかに注目です。
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執筆者プロフィール

執筆:西田哲郎
ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。『神の手』の某社で大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2025年12月5日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。
