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中国、レアアース輸出規制で大誤算。日本が技術力でレアアース供給国に躍り出る=勝又壽良

中国は、高市首相の「台湾発言」の真意を、十分に認識していたはずである。日米安全保障条約を結んでいる日本が、米国と別行動を取るなら、それはもはや「同盟」と呼ばれない空洞化を招く。日本の安全保障は、米国へ依存しているのが現実だ。こういう視点に立てば、安保政策において日米一体化は当然。本来、別々の行動を期待する方が無理である。

中国は、日本へレアアース輸出規制をすれば、日本が中国の主張を受入れる。そう考えるとすれば、それは日本の安全保障体制を覆す危険な道に通じる。日本が、レアアース欲しさに国家の基本である安全保障を売り渡すことになるからだ。

こうした、非現実的な妄想で日本へレアアース輸出規制をしていることが、必然的に日本のレアアース対抗策を生み出して不思議はないであろう。

日本は、すでに政府備蓄制度を通じて、レアアースを含む重要鉱物資源の安定供給体制を整備している。特に、中小企業に対する支援の観点からも、この備蓄が極めて重要なセーフティネットとなっている。日本政府が、今回の中国のレアアース輸出規制に対して冷静に対応している背景はこれだ。具体的には、次のような内容である。

JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が、国家備蓄として約60日~90日分(3ヶ月前後)を確保している。対象は、ネオジム・ジスプロシウム・テルビウムなどである。 民間備蓄(大企業)では、トヨタ・日立・住友金属鉱山などの大手企業は、独自に数ヶ月分の備蓄を保有している。特にモーター・磁石・光学機器などの製造ラインを止めないための戦略的備蓄がされている。 問題は、中小企業で政府備蓄による支援が不可欠である。EU(欧州連合)は、重要鉱物の備蓄制度がなく日本の制度を取り入れる意向だ。

中国「要の駒」を失う

日本は、今回の中国によるレアアース輸出規制によって、G7を中心にした「レアアース同盟」が結成される僥倖に恵まれた。逆に言えば、中国にとっては日本へ逆転のチャンスを与えることになった。将棋で言えば、「要の駒」を日本に奪われたのである。日本を「虐めた」ことが、西側諸国を結束させた。それが、レアアースを融通し合うシステムと価格安定化への取り組みへの一歩を踏み始めさせたことだ。この中心に座わるのが、実は日本である。

一般的には、「資源貧困国」とされる日本が、科学力によってこの状態を覆すという見事な反発力をみせている。これは、これまでの歴史にはなかったことであろう。まず、南鳥島のレアアース採掘は、海底6,000メートルというかつての常識から言えば想像外の事業である。鉱山と言えば陸上である。南鳥島は海底資源である。これまでの常識が通用しない世界である。日本の基礎研究力が、次のようにこの難題へ挑戦している。

  1. 海底泥の吸い上げポンプは、JAMSTEC(海洋研究開発機構)や東京大学、産総研、民間企業などが連携した独自技術である。
  2. 海底泥の選別・濃縮技術は、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)と東京大学・早稲田大学などの共同研究により、能率が大幅に向上している。
  3. 海底泥の精錬技術は、民間企業(DOWA、住友金属鉱山など)との連携で、化学的精錬法という国産技術が推進する。

上記のように、すべて国内技術によって推進されている。ただ、海底泥の吸い上げポンプでは、米国が深海油田開発で揚泥・パイプ制御技術で実績を積んでいる。米国技術は、日本のシステムと補完的関係にあるため、共同開発や装置供給の形での連携も想定されている。海底泥の吸い上げが、本事業の最大の難所だけに「援軍」が控えていることは、日本にとっては頼りがいがあるに違いない。

Next: もはや中国不要?日本が技術力で「資源大国」に躍り出る日

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