OpenAI評価額のカラクリと“自己売買”に近いかさ増し疑惑
SBGが保有する資産の内訳を見ると、上場しているアーム(ARM)やソフトバンク(国内通信子会社)、Tモバイルなどは市場価格で評価されるため、その価値は比較的正確です。
問題は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に含まれるOpenAIなどの未上場株です。
OpenAIはまだ上場していないため、市場での客観的な取引価格が存在しません。
それにもかかわらず、SBGの利益の多くは「OpenAIの評価額が上がったこと」によって生み出されています。
未上場株の評価は、一般的に「ラウンド」と呼ばれる外部資金調達の際についた価格で行われます。
例えば、最初に1株100円で出資した会社が、成長して次の資金調達で1株1,000円の価値があると認められれば、評価額は10倍になったと計算される仕組みです。
ここで、SBGによるOpenAI評価のプロセスにおいて、ある種の「おや?」と思わざるを得ない事象が浮かび上がります。
第3四半期の決算説明会を精査すると、どうやら評価額の向上は、OpenAI内部での「セカンダリー取引」によって決められた側面があるようです。
OpenAIのようなベンチャー企業は、優秀な従業員に多額の給料を払う代わりに自社株を渡します。
SBGは今回、この従業員が持っている既存の株式を買い取ることで、持ち株比率を上げる動きを見せました。
そして、その「従業員からの買い取り価格」を上げることで、自ずとOpenAI全体の評価額を釣り上げてしまったのです。
これは自分でお金を出して高い価格で買い取り、その上がった価格で自分の持っている全株を評価し直して「利益が出た」「資産が増えた」と発表する、いわば「マッチポンプ」に近い状況です。
上場市場でやれば相場操縦にもなりかねない自己売買に近い行為が、NAVの数字を支えている可能性を否定できません。
孤立無援のスポンサー。Amazon・NVIDIA参戦の裏にある「複雑な利害」
OpenAIは現在、恐ろしい勢いで外部から資金を調達していますが、実はこの1年で行われた投資の多くはSBGによるものです。
かつての主要スポンサーであったマイクロソフトは最近では追加の投資を行っていません。
SBGはファーストクロージングで1.5兆円、その後さらに4.5兆円といった具合に、巨額の資金をOpenAIに投じ続けています。
外部投資家も一部含まれてはいますが、大部分はSBGの出資であり、まさにSBGがOpenAIの屋台骨を一人で支えているという、極めて依存度の高い構図が見えてきます。
直近(2月)ではAmazonやNVIDIAも出資に加わりました。(OpenAI発表:https://openai.com/ja-JP/index/amazon-partnership/)
これは一見、外部からの正当な評価(フェアバリュー)がなされた証拠のように見えますが、その中身を詳しく見ると単純な「投資で儲けるための投資」ではないことがわかります。
例えばAmazonの場合、単なる出資だけでなく、OpenAIとAWS(Amazon Web Services)との戦略的パートナーシップという契約がセットになっています。
OpenAIが将来的にAmazonに支払うインフラ利用料などの契約も込みで、先にお金を回したという見方もできます。
また、NVIDIAについても、本来15兆円を投資する計画だったものを、わずか300億ドル(約4.5兆円)で打ち切り、「これが最後かもしれない」と早期に手を引く姿勢を見せています。
これらは純粋な期待だけではなく、互いのインフラを使い合うといった複雑な利害関係、あるいは競争激化による撤退の匂いが漂う、非常に不透明な投資なのです。
