「アーム」を手放す日?孫正義の“危険な大博打”と究極のリスク
孫社長は、AIの未来について非常に熱く語っています。
チップ数、チップ性能、モデル性能がそれぞれ10倍になれば、AIの力は1000倍になるという理論です。
しかし、なぜ「AIが勝つ」ことが「OpenAIが勝つ」ことと直結するのかについては、論理的な説明が不足しているようにも感じられます。
本来、投資の世界では分散投資が鉄則ですが、SBGは現在、エヌビディア株を売却してまでOpenAIへの集中投資を加速させています。
これは、AIという巨大な潮流の中で、SBGが主導権を握れる場所がここしかなかったという「孫社長のエゴ」が色濃く反映されたギャンブルにも見えます。
SBGの財務状況について、日本の格付け会社JCRは「A」という比較的安全な評価をしていますが、海外のS&Pは「BB」という投機的な、いわゆる「ジャンク債」扱いの評価をしています。
一見すると安全性は確保されているように語られていますが、海外からは極めて厳しい、ギャンブル的な投資をしているという目で見られているのが現実です。
唯一の強力な盾はアーム(ARM)です。
低消費電力の半導体設計において圧倒的な優位性を持つアームの価値は本物と言えますが、もしSBGがOpenAIへの投資資金を捻出するために、この「宝物」であるアーム株まで手放すような事態になれば、それは取り返しのつかない危険信号となるでしょう。
SBGへの投資は、単なる企業の株を買うという行為を超えて、OpenAIと心中する「運命共同体」になることを意味しています。
NAVと時価総額の乖離という「数字上の割安さ」だけに目を奪われてはいけません。
もしOpenAIが将来的に150兆円規模の価値で上場できれば、現在のSBG株はとてつもなく割安だったということになります。
しかし、未だ赤字を垂れ流し、競争が激化する中で、その賭けが当たる保証はどこにもありません。孫正義という不世出の経営者が描く夢と、その「引き換え」にある極めて高いリスク。それらを天秤にかけ、不確実性を受け入れたうえで、それでも孫正義に賭けてみたいと思えるかどうか。それがSBG投資の究極の問いなのです。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年3月19日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。