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中国「レアアース帝国」は崩壊へ。2029年、日本の化学的精錬法が世界を制す=勝又壽良

環境親和性がポイント

話題を日本の化学的精錬法に戻したい。日本技術が、国際標準化されと日本企業にどのようなメリットがあるかだ。日本が「評価・検査・純度基準」を握ることによって、測定基準を決められる点にある。これが、標準化の本質的なメリットだ。つまり、日本の化学的精錬法が世界標準化されれば、これに見合った日本の機器や装置、さらに薬品類がそのまま輸出されることである。さらに説明すれば、次のようになる。

日本式精錬は、不純物除去、重希土の分離、溶媒抽出の段階管理など、評価基準が極めて細かく分類されている。この結果、日本が採用している純度基準、分析手法は、国際標準化されれば、世界が日本方式に従わざるを得なくなる。つまり、日本の機器・設備・薬品などが、そっくりそのまま輸出されるという意味で、当該企業のみならず関連業界も膨大な利益に預かれるのである。

パックス・シリカが採用した具体的プロセスの特徴は、日本の湿式精錬の思想をそのままに、低コストの「分散型・小型化」したものである。その特徴は、5点に要約できる。

1)乾式ではなく「完全湿式」プロセスである。
中国の乾式法(高温炉)とは異なり、常温~中温の化学溶液処理が中心だ。メリットは、CO2排出が少ない、小規模プラントでも運転可能、材料純度を細かく制御できる、廃棄物管理が容易である。これは、日本の化学メーカー文化(高純度・精密制御)と完全に一致している。

2)溶媒抽出(SX)とイオン交換(IX)の高度化である。
パックス・シリカは、日本の湿式精錬の「心臓部」である溶媒抽出の精密制御を採用する。これによって、不純物の段階的除去が可能になる。日本企業(住友金属鉱山、三井金属、東ソー)が得意とする領域である。日本方式の国際普及を後押しする技術構造の根幹部分とされている。

3)廃液処理と副産物回収の日本型設計である。
湿式精錬の弱点は廃液処理だが、パックス・シリカは日本の化学工場と同じ「ゼロエミッション設計」を採用している。廃液の中和、金属イオンの再回収、シリカ副産物の再利用である。これは、日本の「副産物を価値化する文化」と一致する。ここまでくると、日本の独壇場になる。中国の「ラフな文化」では追いつけないのだ。

4)モジュール型・分散型の小型プラントである。
パックス・シリカの最大の革新はここにある。「鉱山の近くに置ける湿式精錬」という発想は、従来の巨大精錬所(中国型)を否定するものだ。メリットは、途上国でも導入可能、輸送コスト削減で米国・EUの補助金対象になりやすい。これは、日本方式の国際標準化にとって最も重要な要素だ。中国が、採用している「買鉱」は消えて現地精錬になる。

5)米国の資金・制度と完全に整合的である。
パックス・シリカは、米国のDPA(国防生産法)、IRA(インフレ抑制法)と整合しており、米国が日本の湿式精錬を制度的に後押しする仕組みをつくり出している。これは、日本にとって歴史的なチャンスである。米国が、日本技術を「お買い上げ」という構図であるからだ。

以上の点から分かることは、日本技術の全面的な「勝利」である。パックス・シリカの技術が、日本の湿式精錬の思想をそのまま国際展開可能な形に再構築したものであるのだ。 この日本方式が、国際標準になるための条件をすべて満たす実証モデルが、フィリピン生まれる。化学的精錬法のショーウインドになる。

中国越せない壁が難点

中国は、化学的精錬法へ挑戦しているが、大きな「技術の壁」にぶつかっている。中国は、「最後の10%」が越せない国である。基礎研究が手薄な結果だ。「見よう見まねで」ができても、原理の理解が不十分であることが致命傷になっている。化学的精錬法では、次の点が「どうしても越えられない壁」と指摘されている。

1)溶媒抽出(SX)の精密制御
2)イオン交換(IX)の高純度分離
3)99.99%以上の重レアアース精製
4)廃液ゼロエミッション
5)副産物の価値化
6)分析・純度基準の国際標準化

中国は、「整理整頓」に不得手な国である。一つ一つ丹念に問題点を解決していくという「道筋」を追わない国である。これは、基礎研究が手薄であることと、2300年間も科学に無縁であったという歴史が生んだ根本的な欠陥である。その代わり、物事を誇大に言いふらす術においては世界一である。

例えば、次世代電池の本命は、「全固体電池」である。この研究では、日本(トヨタ自動車・出光興産)がトップランナーだ。中国は、割安電池のLFP電池に特化し過ぎて、本命技術の全固体電池への研究道筋を見失っている状態である。それにもかかわらず、株価対策で「全固体電池完成が間近」と触れ回している。実相は、「半固体電池」程度とされている。特許の分類もメチャクチャである。半固体電池が全固体電池と同じ扱いである。中国の特許管理が、極めて杜撰であることが、誇大報道を生む背景にある。

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