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アセンテック Research Memo(3):セキュリテイ対策の高度化需要が追い風に

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■事業概要

1. 事業概要
アセンテック<3565>は、企業のビジネスワークスタイル変革を支援するため、ITインフラのコンサルティングから設計、構築、保守までを一貫して提供している。同社の最大の特徴は、単にシステム構築のみを請け負う一般的なシステムインテグレーター(SIer)とは一線を画す点にある。同社は独自の付加価値を持つ独自製品と高度な専門性を組み合わせた「トータルソリューションベンダー」としての地位を確立している。具体的には、自社開発製品や海外の最先端ソリューションを核とし、それらを顧客のニーズに合わせて最適に組み合わせて提供することで、高い利益率と顧客満足度を両立させている。

主要な事業領域は「仮想デスクトップ」「クラウドインフラ」「ゼロトラストセキュリティ」の3つに分類され、これらは互いに相乗効果を発揮する形で構成されている。

(1) 仮想デスクトップ(VDI)領域
同社の祖業であり、現在も売上の約8割を占める基幹事業である。CitrixやOmnissaといったグローバルリーダーのソフトウェアに加え、自社開発のUSBシンクライアント「Resalio Lynx」や、Dell、Atrust、HPといった多様な端末をラインナップしている。同領域における最大の強みは、国内最大規模となる約100名(パートナーを含む)のVDI専門技術者集団を擁していることである。これにより、単なる製品販売にとどまらず、高度なコンサルティングから構築、メーカーと直結した迅速なサポートまでをエンドツーエンドで提供することが可能となっている。

(2) クラウドインフラ領域
仮想デスクトップ環境を支えるサーバーやストレージ、そして同社の独自性を象徴するハードウェア「リモートPCアレイ」を中心とした領域である。「リモートPCアレイ」は、1Uの筐体に複数の物理PCカートリッジを搭載した製品であり、従来のVDIで必要だった複雑なソフトウェア設計を不要にすることで、導入コストの低減と安定稼働を実現している。特に地方自治体や金融機関において、機密情報の分離やRPA専用インフラとしての導入が拡大している。また、同領域では「自営保守」サービスが重要な収益源となっている。これはメーカーに依存せず、同社が独自に構築した全国的なサポート体制と部品供給網により提供されるもので、利益率が高いストックビジネスとして機能している。

(3) ゼロトラストセキュリティ領域
ハイブリッドワークの普及や高度化するサイバー攻撃を背景に、成長ドライバーとして注力している領域である。ID管理の「SafeNet」やエンドポイント※保護の「CrowdStrike」に加え、近年はデータそのものの動きを監視するDLP(データ漏洩防止)ソリューションの「Forcepoint」を積極的に展開している。Forcepointは、内部不正による情報持ち出しなどのリスクを可視化・制御するもので、内部統制の強化を求める近年の潮流から高い関心を集めている。同社はこれらのセキュリティ製品を仮想デスクトップ環境と緊密に連携させることで、利便性を損なうことなく安全な業務環境を構築する独自のソリューション力を提供している。

※ エンドポイントとは、ネットワークの「終点・末端」を指し、通信ネットワークに接続されたPC、スマートフォン、サーバー、IoT機器などのデバイス全般のこと。

2. 外部環境と同社の競争優位性
(1) 外部環境
近年の国内IT市場環境は変化し続けている。まず、コロナ禍の拡大を契機として、在宅勤務やハイブリッドワークといった柔軟な働き方が急速に普及した。これに政府が推進する「働き方改革」の政策が加わり、場所にとらわれない労働環境の構築は、企業にとって避けて通れない課題となっている。また、大規模震災やコロナ禍を経て、有事の際にも事業を継続させる「BCP(事業継続計画)」への意識も、企業の存続に関わる重要事項として定着している。このような働き方の変革が進む一方で、ITセキュリティに対する要請はかつてないほど厳格化している。サイバー攻撃の高度化に加え、組織内部からの不正な持ち出しによる情報漏洩リスクが増大しており、特に金融機関や官公庁、地方自治体といった組織では、極めて高い水準のセキュリティ対策が求められている。さらに、昨今のAI活用の急拡大に伴い、処理すべきデータ量が膨大になる中で、通信遅延や機密保持、コストの観点から、クラウドのみに頼らないオンプレミスやエッジ環境でのセキュアなインフラ構築への需要も新たに顕在化している。

(2) 同社の競争優位性
同社の競争優位性は、独自のポジション、パートナービジネスモデル、及び国内最大規模の技術者集団の3点に集約される。

a) 独自のポジション
同社と全く同じ事業形態を持つ競合他社が実質的に存在せず、同社は独自のポジションを築いている。仮想デスクトップ(VDI)のシステム自体は、汎用的なサーバーやソフトウェアを組み合わせれば他社でも構築は可能だが、顧客が求める高度なセキュリティ水準や応答スピードの速さ、さらには詳細なログ管理といった複雑な要望に対して、的確に応えられる企業は限定的である。こうしたことから、同社は自治体や金融機関など高度な機密性やセキュリティ水準が必要な顧客からの支持を得ている。また、この分野を専門としながら株式上場を果たしている企業は他に例がなく、同社は競合のいないブルーオーシャンを構築していると言える。

b) パートナービジネスモデル
同社は原則としてエンドユーザーへの直販を行わず、(株)NTTデータや日本アイ・ビー・エム(株)といった大手システムインテグレーター(SIer)をパートナーとする販売体制を敷いている。これらのパートナー企業からは仮想デスクトップ案件であればアセンテックという絶対的な信頼を得ており、強力な販売網として機能している。また、自社製品である「リモートPCアレイをラインナップに持つことで、高価なソフトウェアソリューションでは予算が合わない商談に対しても、代替案を提示して成約に結びつけられる。このように、パートナーのビジネスを補完する存在となっていることが、大手SIerとも強固な協力関係を維持する要因となっている。

c) 国内最大規模の専門技術者集団
同社は社員とパートナーを合わせて約100名のVDI専門技術者を抱えており、この規模は国内トップクラスである。大手SIerの技術者であっても、VDIの細部におけるパラメーター設定などの深い専門知識まで備えているケースは少なく、同社の技術者がプロジェクトの要として頼られる場面は多い。さらに、Citrix製品の国内サポート機能を引き継いでいることから、メーカーと直結した高度な技術ノウハウを蓄積しており、トラブル発生時や新製品の導入時においても、他社には真似できない迅速かつ的確な対応を可能にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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