2026年5月28日に発表された、アルピコホールディングス株式会社2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
自己紹介
佐藤裕一氏(以下、佐藤):みなさま、こんにちは。アルピコホールディングス株式会社代表取締役社長の佐藤裕一と申します。本日は、Web参加の方も含めてご参加いただき、大変厚く御礼申し上げます。それでは、限られた時間ですが、どうぞよろしくお願いします。
まず、自己紹介をします。私は1984年に信州の地方銀行である八十二銀行に入行しました。それ以来、38年間勤務し、最後は役員として経営企画、マーケット部門、融資部門を担当しました。そして2022年には、当社の代表取締役社長を拝命しました。
また、経歴の一環として、2006年7月には当時の松本電気鉄道株式会社(現:アルピコ交通株式会社)が経営苦境に陥った際に、銀行から出向のかたちで3年間経営支援にあたった経験もございます。
アルピコグループとは

アルピコグループの特徴についてご説明します。アルピコグループは長野県を中心に、流通、運輸、観光、不動産の4つの事業セグメントから成り立つ、長野県を代表する「総合生活関連企業グループ」です。
会社概要 (2026年3月31日現在)

会社概要についてです。創業は1920年で、株主数は1万3,000名強となっています。2024年12月の上場前には株主数が1,400名でしたが、上場後2年余りで約9倍に増加しています。
アルピコグループの事業会社 (2026年3月31日現在)

当グループは、アルピコホールディングスをホールディングスカンパニーとし、100パーセント子会社として9社の事業会社があります。
流通事業ではデリシア、マックドラッグ、運輸事業ではアルピコ交通、アルピコタクシー、観光事業ではアルピコホテルズ、アルピコ長野トラベル、不動産事業ではアルピコリゾート&ライフ、アルピコ蓼科高原リゾート、その他の事業としてアルピコ保険リースです。
アルピコグループの沿革

アルピコグループの沿革をご説明します。創業は1920年で、今年で創業106年目を迎えます。現在も事業として継続しているのが、松本駅から西に延びる新島々駅までの運輸事業です。この区間は現在14.4キロの距離があります。これが1920年創業時の事業です。
1960年から1970年にかけて、現在のデリシアである流通事業に参入し、生活産業へ幅広く展開してきました。1980年代には観光事業にも取り組み、主にホテルやゴルフ場といったリゾート事業に参入することで、規模の拡大を図ってきました。
その一方で、バブル崩壊により経営が大変厳しい苦境に陥り、私も2006年から経営支援に携わっていましたが、残念ながら2007年12月25日に「私的整理に関するガイドライン」の枠組みを用いて、いったん事業を整理し再生の道を歩み始めることとなりました。
その後、EXIT(事業再生計画の完了および成立)として2024年12月25日に東京証券取引所スタンダード市場へ上場し、再生をいったん終え、新たなステージに立っているのが現在のアルピコグループです。
主要な事業セグメント

主要な事業セグメントの設備状況についてです。いずれも県内1位またはトップクラスの設備を備え、事業を展開しています。
国内外に人気のある観光資源の活用:長野県観光地での事業展開

国内外で人気のある観光地で事業を展開しています。スライド右の表では、信州における観光地名が利用者の多い順に並んでおり、1位はご存知のとおり軽井沢高原、30位が蓼科牧場となっています。
なお、この情報は長野県の最新データに基づいており、水色のハイライトは、アルピコグループがなんらかのかたちで事業展開を行っている地域を示しています。
多様な事業展開

当グループは現在、事業会社11社を傘下に、多様な事業を展開しており、スライドのグラフは、全体のポートフォリオ状況を示しています。
横軸は営業収益構成比を表し、4つの事業セグメントにおけるグループ内の営業収益シェアをプロットしています。縦軸は、それぞれの事業セグメントの営業利益率を示しています。また、バブルの大きさは営業利益額の絶対値を示しており、4つの事業セグメント間の相対的な関係性を視覚的に表現しています。
例として、グラフの右下に流通事業を表す黄緑色のバブルがあります。横軸でみると、全体の営業収益構成比のうち80パーセント弱の位置にプロットされています。そのため、アルピコグループ全体の1,000億円強の売上のうち、77パーセントから78パーセントが流通事業で構成されているとご理解いただけるかと思います。
一方、縦軸で黄緑色のバブルの位置を確認すると、流通事業の営業利益率が2.0パーセント強であることを示しています。
また、運輸事業の水色のバブルをご覧いただくと、グループ内売上比率は約17パーセントにとどまりますが、営業利益率は14パーセント強となっています。
当グループでは開示ルールに従い、流通事業を筆頭セグメントと位置付けています。ただし、成長ドライバーとしては運輸事業および観光事業を重視しています。この点は上場時にも投資家のみなさまへご説明した、アルピコグループの進むべき方向性です。
さらに、このグラフでは3次元のプロットが表現できませんが、3次元的な動きとしてキャッシュの動きがあります。アルピコグループの場合、流通事業が圧倒的なキャッシュカウとなっており、ここで生み出されたキャッシュは、全体の有利子負債の圧縮に充てられるとともに、成長分野である運輸事業や観光事業にも振り向けられています。
また、全体的に売上債権の回収サイトが非常に短く、個人のお客さまを対象とした現金商売であるため、各事業は安定的にキャッシュを創出する力があります。運輸事業においても、バス・鉄道・タクシーなどの主要な売上は現金が中心で、この事業は自己資金で収益を上げ、それを投資に回しています。
(ご参考)統合報告書、取材・記事掲載のご紹介

上場したこともあり、昨年初めて統合報告書を発行しました。全国の東京証券取引所スタンダード市場の企業のうち、統合報告書を開示しているのは約6パーセントですが、当社は長野県のスタンダード上場企業として初めて発行した企業となります。今後も継続的に発行していきたいと考えています。
また、上場に伴い、昨年はさまざまなメディアに取り上げられ、パブリシティの観点からも非常に良い結果を得られたと考えています。
スライド右側には版権を購入した『Newsweek』の記事を載せています。その他、『日経ビジネス』『ロサンゼルス・タイムス』など、株式関連の新聞やメディア等にも取り上げられました。
エグゼクティブ・サマリー:2026年3月期総括と次期の業績見通し

決算の概況です。結論から申し上げると、2026年3月期は、創業以来、最高営業収益、最高営業利益、最高経常利益を達成しました。
営業収益は1,074億2,200万円、営業利益は39億1,400万円です。ただし、当期純利益については、コロナ禍において発生した繰越欠損金が、その後の業況回復により解消されたため、税金費用を全額負担することとなりました。これは言ってみれば税負担が正常化したものですが、結果としては減益となりました。
2027年3月期は営業収益1,100億円を目指します。ただし、想定外の影響として2026年2月28日にアメリカがイランを攻撃したことで、中東情勢が非常に不透明な状況となっています。
当社は、この中東情勢が1年間続くことを前提に経営環境分析を行い、それに伴うコスト増を約3億1,000万円と見込んでいます。この金額には、一次的な影響と二次的な影響額を含んでいます。
営業利益については37億円を想定しており、直近の決算と比較して2億円程度の減益となる見込みです。
2026年3月期 通期決算

連結損益計算書の通期決算の概況です。当初の通期予想に対し、途中で一度上方修正を行い、結果として11月に上方修正した数値にほぼ一致する結果となりました。営業利益と経常利益はかなり上振れしましたが、全体的にほぼ一致したといえると思います。
事業セグメント別構成比・連結業績推移

スライド左側の円グラフは、事業セグメント別の構成比で、先ほど説明したポートフォリオ状況を別のかたちで示したものです。内側の円グラフが営業収益の構成比、外側の円グラフが営業利益の構成比となっています。括弧内は昨年の数字です。
昨年は営業利益の構成に顕著な変化がありました。これまでアルピコグループの営業利益において最も大きな割合を占めていたのは流通事業であり、スーパーマーケットがグループ全体の41パーセントを占めていました。しかし、この1年で流通事業と運輸事業の構成比が逆転しました。
絶対額でみると流通事業も増収増益を達成していますが、相対的な構成比ではこのような変化が起こりつつあります。
四半期業績推移(連結)

四半期の業績推移についてです。当社では営業利益、経常利益、純利益すべてにおいて第4四半期が弱く、稼ぎにくい傾向があり、これを大きな経営課題と捉えています。
観光のハイシーズンである夏は非常に事業が好調です。上高地のリゾートホテル「上高地ルミエスタホテル」では、上高地が閉山となる11月15日で営業期間が終了するなど、信州は冬が寒いため、観光事業、特にホテル事業の稼働率が下がります。
このような状況から、スライドのグラフに示されているような四半期分析になっています。
2026年3月期 セグメント別決算概要

こちらのスライドは2025年3月期から2026年3月期の営業利益の増減要因を分析したものです。ご覧のとおり、運輸事業は昨年約5億円増加しました。一昨年よりも伸びて全体の底上げを図り、利益構造の転換をもたらしました。
流通事業:業績推移

ここからはセグメント別にご説明します。流通事業は増収増益となりました。MD(マーチャンダイジング)による商品価格の見直しに伴う単価上昇や、大型店である「デリシア川中島店」が2025年10月にオープンしたことなどが増収に寄与しました。
流通事業(スーパーマーケット)売上高月別前年対比

こちらのグラフは、スーパーマーケットの売上高月別前年対比をお示ししています。2026年3月期の全店の平均売上伸長率は、前年対比約102パーセントで推移しました。また、一品単価、客単価、来店頻度は上昇しましたが、物価高をふまえた買い控えも見られました。
その結果、1人当たりの買上点数は100パーセントをやや下回る状況で推移しています。
運輸事業:業績推移

運輸事業の業績推移です。先ほどご説明したとおりです。
運輸事業:観光関連の路線バス(グリーンシーズン)

運輸事業の観光路線バス需要は非常に強く、特に上高地・乗鞍・白骨温泉エリアについては、2024年度対比で約108パーセントと好調です。
今年も中東情勢を懸念していましたが、4月の上高地に関しては前年同期比で130パーセントと、懸念していたほどではなく比較的順調な滑り出しができたと認識しています。
観光事業:業績推移

観光事業についてです。当事業は、ホテル事業、トラベル事業、ゴルフ場事業、これに付随する水上アクティビティなどのリゾート事業、そしてサービスエリア事業で構成されています。昨年はスライドに記載のとおり増収増益となりました。
観光事業 ホテルの施設別稼働率と単価の推移

スライドは、観光事業におけるホテルの客室稼働率と客単価(ADR)を示しています。「ホテルブエナビスタ」「アルピコプラザホテル」「エースイン松本」のいずれも前年比を上回る状況です。
観光事業 旅館の施設別稼働率と単価の推移

こちらは、温泉旅館の「信州松本 美ヶ原温泉 翔峰」「信州上諏訪温泉 諏訪別邸 朱白」と「上高地ルミエスタホテル」のリゾート事業です。赤色の数値は前年を下回っていますが、客室単価と稼働率はほぼ前年を上回ることができました。
不動産事業:業績推移

不動産事業では、蓼科地区において別荘地の販売や改修を行っています。蓼科は、日本国内で那須高原に次いで2番目に別荘地が多い地域です。また、松本駅前の賃貸ビル「アルピコプラザ」を運営しているほか、白馬でバスターミナルを営んでいます。
新型コロナウイルス以降、不動産事業は一時停滞していましたが、その反動で右肩上がりに成長しました。しかし、その影響で昨年は利益率がやや落ち込みました。
2026年3月期 通期決算(連結)

こちらは連結貸借対照表です。
2026年3月期 通期決算(連結)

こちらは連結キャッシュ・フロー計算書です。昨年は投資として「デリシア川中島店」の開店やホテルの改修、諏訪湖畔のカフェのオープンなどを実施したため、その分バランスシートが膨らみました。
その結果、投資活動によるキャッシュ・フローおよび財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなりました。
2027年3月期 見通し(連結)

2027年3月期の業績見通しについてです。営業収益は1,100億円、営業利益は37億円を見込んでいます。
今期の主要施策

今期の主要施策について、次のスライドからご説明します。
流通事業の成長戦略

流通事業についてです。成長戦略として、付加価値の高い「総菜」分野を強化しています。総菜および生鮮の1店舗当たりの比率を引き上げることで、お客さまの単価や粗利益率の向上を目指しています。
また、ドミナント戦略を採用し、店舗オペレーションのコストを下げながら、お客さまへの訴求力を高めていく方針です。
多様なチャネル戦略を展開しており、チャネルのベストミックスを構築することで、将来にわたりお客さまに適正なリードタイムで商品をお届けしたいと考えています。
次に、「とくし丸」という移動スーパーについてです。現在40台が稼働しています。長野県の場合、中山間地域や市町村の周辺部には高齢者を中心とした残存人口があり、その購買力を無視することはできません。
一方で、これらの地域の住民が車で中心市街地まで買い物に行くことを前提とした生活は、将来的に維持することが難しいと分析しています。
そうした中、長野市西方に位置する小川村では、これまで長野市や大町市まで買い物に出る必要がありましたが、行政が「とくし丸」をフランチャイジーとして展開しており、地域住民に大変重宝されています。
その他にも、「デリシアネットスーパー」は、現在、長野県内全77市町村をカバーしています。スマホアプリでご注文いただくと、その日のうちに配送ができる体制を整えています。
また、「ピコカプラスカード」の会員数は43万人で、これは長野県人口の約20パーセントに相当します。従来はプラスチックカードとして提供していましたが、現在はアプリ化を進めています。
運輸事業の成長戦略

運輸事業の成長戦略についてです。スライドに示した観光路線バスに加え、昨年軽井沢にタクシーの営業所を開設しました。また、Uberアプリによる配車サービスなどの導入を進めています。
観光事業の成長戦略

観光事業の成長戦略です。昨年は上諏訪温泉「双泉の宿 朱白」「美ヶ原温泉 翔峰」などの改修を行いました。
観光事業:リニア中央新幹線開業を見据え、各社との連携等を強化

2031年にリニア中央新幹線の山梨甲府駅が開設される予定で、2034年には開業することがJRから発表されています。当社が事業展開している蓼科地域は、長野県の最初の入口となるため、スライドで示した各事業者と業務提携を行い、受け皿として事業を展開していく予定です。
観光事業:Suwa no Wa (すわのわ)

下諏訪町のPFI(民間資金等活用)事業としてご指名をいただき、2026年4月、諏訪湖のほとりにカフェをオープンしました。
また、長門牧場と提携し、カフェではさまざまな飲食の提供やお土産の販売を行っています。現在のところ、人手が足りないほどの盛況ぶりとなっています。
不動産事業:白馬プロジェクト

不動産事業については、4月24日にリリースしたとおり、長野県白馬エリアにおいて3.6ヘクタール、約1万900坪の事業開発を予定しています。
現在、信州側からの白馬へのアクセスは、長野駅まで新幹線でお越しいただき、その後特急バスを利用していただくかたちとなりますが、この白馬バスターミナルが受け皿として大変手狭な状況です。
そのため、このバスターミナルを核とし、アルピコグループが現在展開している事業を多角的に発展させていく予定です。まだ詳細は詰めきれていませんが、2028年度以降をめどに順次開業する計画を進めています。
(ご参考)ドローン事業について

ここからは新規事業展開です。ドローン事業については、2つを展開しています。まず、国家資格となったドローンの教習所事業として、「ドローンアカデミー」を2年前から松本市内で展開しています。
もう1つは、後ほど動画をご覧いただきますが、ネットスーパーの県内配送に関連し、将来的に燃料高やトラックドライバーの人手不足といった課題を解決する試みとして、ドローンを用いた配送を始めています。
(ご参考)次世代モビリティに関する取り組み

ドローンを用いた次世代モビリティについては、2025年9月にスタートアップ企業であるエアロネクスト社と資本業務提携を行いました。
その後、西濃運輸の子会社であるセイノーラストワンマイル社、エアロネクスト社の子会社を含む4社で資本業務提携を締結し、ドローン物流に取り組んでいく予定です。
(ご参考)ドローン配送の実証実験

動画をご覧ください。これは、軽井沢において日本で初めてDID(人口密集地域)上空をドローンで物を運んだ映像です。
(動画流れる)
技術的には、山梨県小菅村からパイロットがモニターしながら、遠隔操作により一度に約5台のドローンを飛行させています。
アメリカでは、ウォルマートが2022年から大型のガソリンエンジンを搭載したドローンを使用して配送を行っています。このような未来が日本にも訪れる可能性があると考え、現在取り組みを進めているところです。
(ご参考)次世代モビリティ 自動運転バス

もう1つ、自動運転バスの動画をご覧ください。こちらは塩尻市と連携し、レベル4の達成を目指して進めています。現在は料金収受を行わず、お客さまに試験的に乗車していただいていますが、来年度からの実用化に向けて準備を進めているところです。
(動画流れる)
動画の最後に表示されたティアフォー社は、複数の企業とコンソーシアムを組み、事業を推進しています。塩尻市振興公社の施設内にリモート操作を行うルームを設け、そこで運転を行っています。
(ご参考)最近の新規事業

最近の新規事業として、キャンプ場、ビール醸造、eスポーツを展開しています。基本的には、収益性と既存事業との親和性を考慮しながら進めています。
eスポーツは、当社の既存事業とは異なる分野と思われがちですが、現在ではeスポーツが社会課題の解決につながるとの考えから、中学・高校で部活動として取り組まれているほか、シニアの方々が認知症予防やフレイル予防のためにチームを作って参加していることを踏まえ、地域課題の解決を目的に参入したものです。
(ご参考)地域との連携(イベント)

地域との連携についてです。スライド上段には左から春・夏・秋・冬の順にイベントが並んでいます。
一番左の春には、茅野市で毎年トヨタ自動車が開催するイベント「TOYOTA GAZOO Racing」の第1戦目があります。年間11戦あるうちの1戦目が蓼科で開催されており、当社もグループプロモーションを目的として参戦しています。
車両は自社所有のもので、ラッピングやメカニックもすべて自社で対応しています。また、ドライバーについても公募制で自分たちの手で選定しています。
夏は「長野クラフトビール&フードフェス」の開催です。流通事業のプロモーションを兼ねて実施しています。その下の写真は「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」への協賛です。
また、秋はサッカーの「松本山雅FC」、冬はバスケットボールの「信州ブレイブウォリアーズ」の試合を開催しています。特にスポーツに関しては、単なるスポンサー活動ではなく、事業のパートナーとして収益および利益面を検証しながら進めています。
(ご参考)地域との連携(大学)

地域の大学と提携を進めています。これは、当社の従業員の平均年齢が上昇していることを背景に、一義的にはリクルート目的、二義的には地域貢献として取り組んでいるものです。
スライドに記載の大学と包括提携などを結び、事業提携を行っています。
(ご参考)海外との連携

海外においてもさまざまな分野で提携を進めています。スライド上段に記載されている2つはゴルフ場に関連するものであり、当社は現在、ネパールのカトマンズと非常に強固な関係を構築中です。
その理由として、2026年に、松本市とカトマンズ市が姉妹提携35周年を迎えることや、日本とネパールとの国交樹立70周年の節目を迎えたことが挙げられます。また、政治レベルでも交流が行われており、このような状況を背景に、当社も関係構築を進めています。
具体的には、5つ星ホテル「Hotel Himalaya Kathmandu」との提携や、スライド下段左から2つ目の「Gate College」との包括連携協定の締結があります。「Gate College」はホスピタリティ専門の4年制大学です。
さらに、スライド下段左から3つ目の「Academy of Culinary Arts and Hospitality Management」は調理師の専門学校です。当社では調理師の人材不足が深刻な課題となっており、この学校と2025年10月に提携を結びました。
こちらは、今まで日本のホテルでは東京ミッドタウンにある「ザ・リッツ・カールトン東京」とだけ連携していましたが、その2番目として当社が加わることになりました。
その他、スライド右上に記載されているインドネシアにおける三菱地所系のホテル「JS Luwansa Hotel」があります。
また、スライド左下のジャカルタにあるダルマプルサダ大学は、歴代天皇も訪問されており、ここから総合職人材を何名か採用しています。スライド右下の台北メトロでは、観光における連携に取り組んでいます。
(ご参考)M&A

M&Aについてです。今年に入り、広告デザイン会社であるMAG・MAG社と、不動産賃貸事業会社であるハーベスト社を買収しました。
ただし、ハーベスト社についてはホテルオペレーションを当社では行っておらず、不動産事業として建物のみを購入し、賃料収入を得るかたちです。また、白馬については、白馬プロジェクトに加え、今後はグランドデザインの観点から投資を進めていきたいと考えています。
株主還元について ①配当金

株主還元です。配当金は2025年3月期が普通配当3.00円、上場記念配当2.00円としていましたが、長期的で安定した配当政策として5.00円を掲げ、今年度もその方針を継続していく予定です。
株主還元について ②株主優待制度

上場後ちょうど1年の記念日となる2025年12月25日に、株主優待制度を導入しました。これは、さまざまな観点からIR活動を行い、株主総会などで多くの株主のみなさまからお声をいただいたことを受けたものです。
当社の場合、個人株主が多いため、金券などを配布するのではなく、当社施設のPRを兼ねてお客さまを増やしたいとの考えから、グループ施設で利用できる優待券の提供を優待内容としました。
スライドの表に記載した総合利回りは、理論値ではありますが、現在の株価がやや下がっている中で、導入時の株価240円で試算した際の総合利回りを基準に展開しています。
⾧期ビジョン概要(2035)

最後に、簡単に長期ビジョンについてご説明します。当社は2035年に向けて「『楽しさ・ときめき』を創出し、付加価値を高めることで持続的な地域の発展に貢献している企業グループ」という長期ビジョンを策定しています。
長期ビジョン概要: 2035年までの方向性

また、毎年バックキャスティング手法を用いて3年ごとの中期経営計画を策定しており、現在の中期経営計画は今年度が最終年度となります。そのため、今年度は来年度からスタートする中期経営計画を策定する予定です。
2035年までの方向性についてです。スライドには3つの四角があります。スライド下段には、企業経営の基盤となる「サステナビリティ経営」として、人的資本経営、環境経営、そしてICTやAIを活用したビジネスモデル改革などが掲げられています。
大きな方向性としてはスライド上段の2つに記載があります。左側には「便利で快適な暮らしを実現する生活インフラを提供」とあり、これは106年間にわたり続けてきた4つの事業セグメントによる事業展開領域を指します。
たくさん書いてありますが、政策の大きな方向性は3つに集約されます。まず1つ目は人的資本経営です。戦略も重要ですが、経営資源の確保が当社にとって死活問題になると考えています。
具体的には、サービス業として労働集約型産業からの宿命を完全に脱却することは難しい状況にあります。その中で、女性の活躍や外国人の採用を進める計画です。先ほどご案内したネパールなどを含め、取り組みを進めていきます。また、高齢者雇用についても推進し、人的資本経営を通じて経営資源の確保に努めていきます。
2つ目は、規模の拡大とバランスシートの拡張です。一つひとつの事業領域が低収益である中、間接部門や人件費比率を下げる方向に持っていく、いわゆるスケールメリットを追求することが必要だと思っています。そのための主な戦略としては、M&Aや地域開発、新規事業の展開が挙げられます。
3つ目は、労働集約型産業の緩和のために、DX投資を進めていきます。これはDXやAIシステムなどを活用し、無人運行といった領域に取り組む計画です。先ほど動画でご覧いただいた内容に関連しています。
上場後、新たに目指す方向性としては、スライド右上に記載した「世界に誇る山岳リゾート信州の価値創造」で表現されます。
一言で申し上げると、白馬のような案件を主に信州地域で展開し、地域事業者と連携して信州の価値を高めていくことが目標です。その過程で、当社としても成果を得ることが、2035年までの大きな方向性となります。
以上で私からの説明を終わります。ご質問などをいただければ幸いです。ありがとうございました。
質疑応答:ドローン活用の実用化について

司会者:「ドローンを活用した新スマート物流について実証実験を行っているとのことですが、運用開始や収益化のタイミングはどのように考えていらっしゃいますか?」というご質問です。
佐藤:結論から申し上げると、実用化まではまだかなりの時間がかかる可能性があります。そのため、現時点では未定となります。大きな原因は2つあります。
1つ目の原因は、日本の場合、規制の解除がなかなか進んでいない点です。今回、軽井沢において日本で初めて人口密集地域の上を飛行する事例がありましたが、まだその段階にとどまっています。そのため、規制緩和が必要だと考えています。
この点については、エアロネクスト社の代表者とセイノーラストワンマイル社の代表者が政府の審議会に参加し、規制緩和に向けた意見提言を行っています。その結果、この2年から3年の間に規制緩和は大きく進展しましたが、実用化までの道のりはまだ遠いと言えると思います。
もう1つは、技術革新が進む必要がある点です。ドローンの機体は非常に先進的で、テコの原理を利用した構造を採用しており、多くの特許を有しています。具体的には、風などで機体が揺れても内部に積載された物が一切揺れない設計になっています。
なによりも重要なのは、機体の大型化を進める必要がある点です。現状では、先ほど動画でご覧いただいたサイズ程度の物しか運べない状況に留まっています。このため、規制がどのように緩和されていくかが課題となっています。規制緩和が進めば、ドローン機体自体の技術革新もさらに進展するだろうと考えています。
質疑応答:白馬プロジェクトの展開について

司会者:「スライド37ページの白馬プロジェクトについて、どのような展開を考えているのか、もう少し詳しく教えてください」というご質問です。
佐藤:すでにお伝えしましたように、開発規模についてはリリース済みであり、約1万坪と相当広大なものになります。
中心となるのはバスターミナルですが、アルピコグループが展開する流通、小売、観光、ホテル、物販、飲食などのセグメントをどのようにベストミックスで組み合わせるかについては、賑わいの創出や売上・利益の観点から検討を進めています。
現時点ではこれ以上のご説明はご容赦いただきたいと考えています。
質疑応答:インバウンドの動向と取り込み施策について
司会者:「足元のインバウンドの動向とインバウンドをどのように取り込んでいくか、御社の施策を教えてください」というご質問です。
佐藤:マクロ的なお話になりますが、長野県の宿泊者における外国人比率は12.7パーセントです。そのため、活況を呈していると言いながらも、客観的なデータを見ると、インバウンドのお客さまを取り込む伸びしろはまだ大きいと考えています。
今年度の上高地の運行は4月にスタートし、国内・インバウンドを合わせて前年比130パーセント程度で推移しています。4月は特に台湾からのお客さまが多く見られ、インバウンド需要はまだまだ伸びしろが大きいと考えられる中で、着実にお越しいただいていると実感しています。
一方で、中東情勢の影響により、4月にはイスラエルからのホテル団体客が20本以上キャンセルとなり、痛手を受けました。しかし、最近ではイスラエルからイスタンブールやドバイを経由する航空便が再開され、急速に回復が進んでいます。第1四半期においては、イスラエルからの需要も回復が見込まれる状況です。
当社の施設におけるインバウンド比率は、ホテルが約20パーセント、温泉旅館が約10パーセントです。この点からも、まだ受け入れ余地はあると考えています。ただし、戦争やパンデミックといった外的要因に非常に大きく左右されるため、インバウンドにはボラティリティが大きいというリスクを十分に認識しています。
そのため、現在、内部的には国内のお客さまを増やすプロジェクトを立ち上げ、具体的には着地型観光の強化に取り組んでいます。インバウンドにも注力しつつ、それに依存しない体制を整備していく方針です。
