圧倒的な強みその1:ブラックボックス化された「秘伝のレシピ」
村田製作所が世界シェアトップを維持し続けられる最大の理由は、その製造工程における「レシピ」のブラックボックス化にあります。
同社は単なる電子部品メーカーではありません。
実は、原材料となるチタン酸バリウムなどのセラミック材料の配合(研究開発)から自社で行っており、やることは化学メーカーに近い側面を持っています。
さらに驚くべきは、その材料を「料理」するための製造装置までも、自社で設計・開発しているという点です。
半導体業界などでは製造装置を外部から買ってくるのが一般的ですが、村田製作所は「外部の機械では自分たちが求める極限の性能は出せない」と考え、装置そのものを自前で作り上げてしまいました。
この、材料・配合・製造プロセスのすべてが社内で完結し、外部からは決して伺い知ることのできない「秘伝のレシピ」となっていることこそが、強力な参入障壁となっているのです。
圧倒的な強みその2:ミリ単位以下の世界で戦う量産プロセス
村田製作所が作っているMLCCのサイズは、もはや肉眼で捉えるのが困難なレベルに達しています。
製品の中には、ペンの先よりも小さく、定規の1ミリの目盛りよりも遥かに細いものが存在します。
これほど小さな「貯水タンク」の中に、セラミックと電極を何層にも均一に積み重ね、どのような過酷な環境でも性能を発揮させるには、無数の変数を制御しなければなりません。
粒子の細かさ、添加物の配合、焼き上げる際の温度や圧力…これらの膨大な組み合わせの中から最適解を見つけ出し、かつ高品質な状態で大量生産する技術は、一朝一夕に真似できるものではありません。
この「小ささ」と「高性能」を両立させる量産能力において、村田製作所は他社を圧倒する「すごみ」を持っています。
4社が支配する「寡占市場」
これほど高度な技術を要するMLCCの市場は、事実上の寡占状態にあります。
主要なプレイヤーは世界にわずか4社しかいないと言っても過言ではありません。
業界トップはもちろん村田製作所で、世界シェアの約40%を握っています。
2番手には3割弱のシェアを持つ韓国のサムスンが続き、残る2社は日本のTDKと太陽誘電です。
つまり、世界シェアの8割から9割を、日本企業3社を含むわずか4社で占めているのです。
当然、AI需要の盛り上がりはこれらすべての企業の株価を押し上げることになりますが、その中でも全方位に強く、最も高い技術的優位性を持つのが村田製作所であるという評価は揺らぎません。
AIだけではない未来の伸び代
村田製作所の将来性は、AIサーバーだけに留まりません。
もう一つの巨大な成長エンジンが自動車分野です。
自動車の電動化(EV化)や自動運転化は、村田製作所にとって追い風以外の何物でもありません。
具体的な搭載数を聞けば、そのポテンシャルがわかります。
スマートフォン1台に使われるMLCCが約500〜1,000個であるのに対し、一般的な自動車1台には約3,000〜5,000個が使われています。
さらに、自動運転機能などを備えた高級車やEVになると、その数は1万個以上にまで跳ね上がります。
自動車自体は大きいですが、制御用の基盤を収めるスペースは限られているため、ここでも同社の「小型化技術」が決定的な価値を持ちます。
今後、車が「動くウェアラブルデバイス」へと変貌していく中で、MLCCの需要は長期にわたって右肩上がりを続けることが予想されます。
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