世界的に知られるスマートフォンのApple「iPhone」とサムスン「Galaxy」。その原価はどちらか高いのでしょうか?今回は両者の製造原価率と戦略の違いを分析します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年10月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
この記事は ゆべしさんとの共同制作です。
Q. iPhoneとGaraxyの製造原価率が高いのはどちら?
Appleは、iPhoneやMac等の自社製品を提携先の企業経由に加えて、自社ECやApple Store経由でも顧客に提供しているため、ビジネスモデル上はD2C(消費者直接取引)企業と捉えることができます。
本日は、そんな世界最大規模のD2C企業であるAppleについて、主力製品であるiPhoneの最新シリーズ「iPhone 13 Pro」と、競合であるサムスンのGalaxyシリーズ「Galaxy S21+」を比較しながら、各端末の製造原価率を見ていきます。
この記事では、わかりやすく1ドル=100円($1=100円)、1,000ウォン=0.90ドル(KRW1,000=$0.90)として、日本円も併せて記載しています。
Appleの売上総利益率
まずは、Appleの決算内容から見ていきます。
※参考:Apple Inc. Consolidated Financial Statements(2021年7月27日)
Appleの売上や売上原価は、以下の2つのセグメントで構成されています。
(2)Services : Apple MusicやApple Care等のサービス
iPhoneが属するProductsセグメントに注目すると、2021年3Q(2021年4-6月)の3ヶ月間の売上は$64B(約6.4兆円)でYoY+37.4%、売上原価は$41B(約4.1兆円)でYoY+14.6%、売上総利益率は36%です。
上のグラフは、私シバタが提供しているKPIデータベースからAppleのProductsセグメントの業績を時系列で抜き出して整理したものです。2021年1Q以降の売上総利益率が高い水準で維持しているのは、iPhoneやiPad等の販売数量の増加や為替レート等が関係しているためです。
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