2026年7月8日に発表された、株式会社トーモク個人投資家向け決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
目次
山口禎人氏:みなさま、こんにちは。取締役専務執行役員の山口です。本日は株式会社トーモクの説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。ご覧のスライドに基づきご説明します。
本日の目次です。説明内容は、トーモクの概要、トーモク(旧東洋木材企業)の歴史、2026年3月期決算と2027年3月期通期見通し、第3次中期経営計画について、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の5点となります。
会社概要

当社のプロフィールです。本社は東京都千代田区丸の内にあり、資本金は約136億円、従業員数は単体で1,157名、連結では3,965名です。東証プライム市場に上場しています。
工場は全国に17工場を有しており、連結子会社は20社あります。内訳は、国内が17社、海外が3社です。海外については、米国のロサンゼルス、ベトナムのホーチミン、スウェーデンの3ヶ国で事業を展開しています。
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パーパス・ミッション・ビジョン : 「包む」を軸として、事業を展開

当社のパーパス、ミッション、ビジョンについてご説明します。当社は「包む」をコンセプトとしています。段ボールは商品を包み、住宅は暮らしを包み、運輸倉庫は大切な商品を包んで届けます。この「包む」を通じて、これまで以上に価値を追求していきたいと考えています。
また、2035年3月期までの長期経営目標として、売上高3,000億円、ROE10パーセントを目指しています。
段ボール・住宅・運輸倉庫の会社からなるハイブリッド型事業体

事業の特徴です。当社は段ボール、住宅、運輸倉庫の3つの事業から成り立っています。各事業とも、缶詰用外装木箱の製造・販売を行っていたトーモクの前身である「旧東洋木材企業時代」にスタートしています。
直近の決算における各事業の売上高比率は、段ボール事業が55.6パーセント、住宅事業が24.6パーセント、運輸倉庫事業が19.8パーセントとなっています。
段ボール事業 : 段ボール加工専業メーカー国内最大手

主力である段ボール事業についてご説明します。当社では、自社で原紙の製造は行っていません。国内外から調達した原紙を加工し、段ボールの製造・販売を行う加工専業メーカーであり、国内最大手です。
原紙から段ボールを加工する一貫メーカーとは異なり、国内外から原紙を調達できる点が最大のメリットとなっています。加工専業メーカーとして揺るぎない地位を確立しています。
住宅事業 :「高気密・高断熱の省エネ住宅」スウェーデンハウスなどを提供

住宅事業についてご説明します。当社の住宅事業の柱であるスウェーデンハウスは、高気密・高断熱性能に優れた省エネ住宅を提供しています。木製サッシ3層ガラス窓を全棟標準採用しており、高い住宅性能が評価され、オリコン顧客満足度調査でも高い評価をいただいています。
また、50年間の無料定期検診システムを採用しており、安心してお住まいいただける体制を整えています。
運輸倉庫事業 : 段ボールユーザー(飲料メーカーなど)向けの配送支援

運輸倉庫事業についてご説明します。運輸倉庫事業では、段ボールを納めるだけでなく、その中に入る飲料や食料品などの輸送・保管までを一貫して行っています。段ボール事業とのシナジーを活かし、お客さまにワンストップでサービスを提供できる点が強みです。
また、物流業界の2024年問題については、自社車両の増車やネットワークの構築、さらにはM&Aの活用を通じて対応していきたいと考えています。
沿革図

缶詰用木箱メーカーとして出発したトーモク(旧東洋木材企業)の歴史についてご説明します。スライドに、当社の沿革図を示しています。各事業のヒストリーについては、次のスライド以降でご説明します。
グループ会社ヒストリー① : 段ボール事業 トーモク

段ボール事業であるトーモクのヒストリーについてです。1940年(昭和15年)に、北海製函乾燥株式会社として創業しました。1945年(昭和20年)に北海木材工業株式会社に社名を変更し、翌年に株式会社菅原木工場と合併しました。
1949年(昭和24年)には、東亜企業株式会社を買収すると同時に、東洋製罐株式会社の木工部門を分離し、「東洋木材企業株式会社」と商号を変更しました。この時期に、空缶用外装木箱の製造・販売を開始しています。
1950年(昭和25年)には、東洋製罐株式会社が集中排除法の指定を受け、小樽工場を分離し、北海製罐株式会社が発足しました。この時期を境に、系列が東洋製罐株式会社から北海製罐株式会社へと変更となっています。
1956年(昭和31年)からは、段ボール箱の製造・販売を開始しました。1974年(昭和49年)に東京証券取引所第二部に上場し、1981年(昭和56年)には東京証券取引所の市場第一部銘柄に指定されています。
スライド下段に写真を掲載しています。左側は、旧東洋木材企業(現トーモク)の設立時の場所です。小樽の色内1丁目、運河のすぐ横が発祥の地となっています。
中央の写真は、缶詰用木箱です。段ボールが普及する前は、みかん箱やリンゴ箱など、木箱での配送が行われていました。そのため、木箱から事業をスタートしています。
右側の写真は、コルゲートマシンです。1956年(昭和31年)に段ボール箱の製造・販売を開始する際にコルゲートマシンを導入し、初めて段ボール箱を製造したという流れになります。
グループ会社ヒストリー② : 住宅事業の要 スウェーデンハウス

住宅事業の柱であるスウェーデンハウスのヒストリーについてです。戦前は木箱のほか、木製軍事用品も手掛けていました。終戦後は、朝鮮戦争までは木箱事業と木製軍事用品に加え、炭鉱住宅、いわゆるプレハブ住宅も手掛けていました。
この事業は当社が引き継ぎ、1967年(昭和42年)に北海道富良野市の山部工場が閉鎖されるまで、床材も含めて展開していました。
1964年(昭和39年)には、石狩開発株式会社を設立しました。この会社は、石狩湾新港地域の開発を目的として事業を開始したものです。
1972年(昭和47年)に石狩新港開発が重要港湾に指定され、第3セクターとして発展しました。同地域における従事者向けの住宅提供を目的として、1984年(昭和59年)にスウェーデンハウス株式会社を設立しました。
スライド下段の左側の写真は、当時のプレハブ住宅の様子です。中央の写真は石狩湾新港地域を示しており、こちらの従事者への住宅提供として右側の写真のようにスウェーデンヒルズを作りました。ここは580区画ありますが、ほとんどが完売しています。
また、一昨年からこの近くに新たに173区画の開発を進めており、従事者向けの住宅提供を推進しています。
グループ会社ヒストリー③ : 運輸倉庫事業 トーウン

運輸倉庫事業のトーウンのヒストリーについてです。1954年(昭和29年)に、旧東洋木材企業(現トーモク)が北海製罐株式会社の運輸業務を継承し、運輸部を設置したことにより、運輸事業が開始されました。
当時、北洋漁業は200海里水域制限ができるまでの間行われ、ベーリング海やオホーツク海でのサケ、マス、カニ、スケトウダラなどの漁が盛んに行われていました。特に北海道でカニやサケなどの缶詰製品がこの時期に増加し始め、北海製罐株式会社が缶詰を、トーモクが缶を入れる木箱を製造し、運輸部は原材料と製品の輸送を担当していました。
1959年(昭和34年)には運輸部が独立し、東洋運輸株式会社を設立しました。その後、1995年(平成7年)に運輸子会社4社(小樽、横浜、埼玉、九州の会社)が対等合併し、トーウンサービス株式会社となりました。そして2021年(令和3年)に株式会社トーウンへ商号変更し、現在に至ります。
スライド下段の写真は、打検作業後のラベル張りを行っている様子です。当時は鉄の棒で缶を叩き、内容物が少なくないか、たくさん入っているか、膨張缶やへこ缶がないかを確認する打検作業を行っていました。この業務は免許事業であり、こうした作業を手掛けながら物流を行っていました。
2026年3月期決算ハイライト : 増収増益、過去最高益を更新中

2026年3月期決算および2027年3月期の通期見通しについてご説明します。まずは、決算ハイライトです。売上高は2,240億9,000万円で前期比プラス2パーセント、営業利益は113億7,000万円で前期比プラス21.6パーセントと増収増益となり、過去最高益を更新しました。
2026年3月期セグメント別決算(前期比): 3事業全て二桁増益

2026年3月期のセグメント別決算の前期比較です。段ボール事業の売上高は1,246億2,800万円で前期比プラス4.1パーセント、セグメント利益は104億5,500万円で前期比プラス21.7パーセントとなりました。
国内では販売量が減少しましたが、価格改定の効果により増収となっています。海外は、米国は通商政策の影響を受けて販売量が減少し、減収減益となりました。ベトナムは販売量が増加しましたが、人件費等のコスト増加により減益となっています。
住宅事業の売上高は551億7,100万円で前期比マイナス4.6パーセント、セグメント利益は10億1,500万円で前期比プラス10.7パーセントとなりました。国内住宅市場の低迷に加え、昨年は4号特例の影響で販売棟数が減少しました。一方で、価格改定とリフォーム事業の強化により増益となっています。
運輸倉庫事業の売上高は442億9,000万円で前期比プラス5.2パーセント、セグメント利益は10億7,600万円で前期比プラス14.5パーセントとなりました。夏場における飲料の取扱数量の増加と価格改定により増収となりました。人件費や集車コストは上昇しましたが、価格改定の影響で増益を達成しています。
2026年3月期セグメント別決算(計画比): 段ボール収益改善で営業利益は計画比+3.4%

2026年3月期のセグメント別決算の計画比です。売上高は段ボール事業と運輸倉庫事業で微減となりました。住宅事業は、先ほどお伝えしたとおり、4号特例の影響で販売棟数が減少し、未達となっています。
営業利益については、運輸倉庫事業でマイナスとなりましたが、段ボール価格の大幅改定により、全体では3.4パーセントの増加となっています。
2027年3月期通期見通し : 減収だが、収益性強化で二桁営業増益を予想

2027年3月期の通期見通しです。売上高は前期比マイナス1.6パーセントの2,205億円、営業利益は前期比プラス11.6パーセントの127億円を計画しています。売上高は連結子会社売却の影響で減収となりますが、価格の適正化による収益の改善により、営業利益は2桁増益を見込んでいます。
2027年3月期セグメント別見通し : 3事業全て増益へ

2027年3月期のセグメント別見通しです。すべての事業で増益を見込んでいます。段ボール事業は、価格改定を継続することで増収増益を見込んでいます。
住宅事業は、スウェーデンハウスおよび玉善において、価格の適正化と商品力の強化を進め、収益の改善を図ります。運輸倉庫事業は、子会社株式の売却により減収となるものの、物流コストの価格転嫁や輸送効率の向上により、利益率の改善を進めます。
株主還元 : 2027年3月期(計画) 年170円(前期比+40円)

2027年3月期の株主還元策についてです。2027年3月期は、前期比で40円の増配となる年間配当170円を計画しており、累進配当を継続していきます。
前中計(第2次中期経営計画)で見えてきた課題点

ここからは、第3次中期経営計画の基本方針と数値目標についてご説明します。まず、第2次中期経営計画で見えてきた課題点についてです。売上高・営業利益は増収増益を達成し、特に段ボール事業と運輸倉庫事業が成長を牽引しました。一方で、住宅事業は業界全体で厳しい環境が続き、未達となりました。
この状況を踏まえ、第3次中期経営計画では、利益重視の経営への転換をさらに進め、収益性の改善と資本効率の向上に取り組んでいきます。
第3次中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)(2026年5月28日発表)

第3次中期経営計画の概要です。第3次中期経営計画では、段ボール・住宅・運輸倉庫の3事業のバランスを維持しつつ、これまでの安定成長志向経営から「質」を重視した経営へ転換していきます。
基本方針として、「コストを意識した経営」「資本効率(ROE・PBR)向上」「成長投資と株主還元の両立」の3点を重点項目に掲げています。
数値目標 : 2035年3月期にROE10%を目指す

第3次中期経営計画の数値目標についてです。2029年3月期の中期経営計画最終年度では、売上高2,400億円、営業利益率6パーセント、ROE8パーセントを目標としています。また、2035年3月期の長期目標では、売上高3,000億円、ROE10パーセントを掲げています。
特に段ボール事業の成長を中心としながら、住宅事業の回復と運輸倉庫事業の収益改善をさらに推進し、持続的な企業価値の向上に取り組んでいきます。
キャッシュアロケーション(2027年3月期~2029年3月期 3ヵ年累計)

第3次中期経営計画におけるキャッシュアロケーションです。営業キャッシュフローは、3ヶ年累計で550億円を見込んでいます。このキャッシュを活用し、設備投資280億円、M&A150億円を中心とした成長投資を積極的に実施します。設備投資については、主に段ボール事業へ重点配分し、生産性の向上と省人化を進めたいと考えています。
株主還元は、150億円を計画しています。自己株式取得を機動的に実施し、成長投資と株主還元を両立させながら、PBRの改善につなげたいと考えています。
段ボール事業戦略

第3次中期経営計画における各事業の成長戦略についてです。段ボール事業では、生産性向上による原価低減や、原紙調達力を活かした収益安定化を基本方針としています。
国内では、最新設備による加工能力の強化、省人化や省エネを目的とした投資を進めるとともに、包装設計やデジタル印刷を活用したオリジナル商品の開発強化に取り組みます。
海外では、米国は国内同様に省人化を進め、ベトナムでは地元食品メーカーをターゲットに営業活動を展開し、販売拡大を図ります。また、現地の日本企業との協業を進めることで、成長をさらに加速させます。
当社の強み : No.1段ボール製品加工専業メーカーとしての優位性

当社の強みと優位性についてです。当社の強みは大きく分けて3点あります。1つ目は、原紙調達を特定のメーカーに依存しない最適調達力です。安定した調達コストの管理を実現しています。
2つ目は、多様な用途に対応した高付加価値製品の供給力です。各種コンテストでも高い評価を受けています。
3つ目は、最新鋭設備を備えた国内外の生産拠点による高い供給力を有しており、顧客ニーズに迅速に対応できる体制が整備されていることです。これらの強みにより、当社の段ボール事業は持続的な成長を続けていきます。
段ボール事業で同業他社と覚書を締結、協業を検討へ

同業他社との協業の検討についてです。当社は2026年4月に、日本製紙グループおよび特種東海製紙グループと段ボール事業に関する協業検討の覚書を締結しました。
原紙メーカーおよび加工メーカーのそれぞれの強みを活かし、生産・販売のノウハウやリソースの相互活用を進めていきます。環境対応やコスト競争力強化を含め、段ボール業界全体の価値向上につながる協業を目指します。
協業検討の仕組と検討項目

協業検討の仕組みと検討項目についてです。具体的には、オリジナル商品の共同開発、生産・物流の効率化によるコスト削減、古紙リサイクルの強化、マーケティングでの連携をテーマに挙げています。各社の強みを最大限に活かし、新たなシナジー効果を発揮していきたいと考えています。
住宅事業戦略

住宅事業の戦略についてです。スウェーデンハウスでは、シニア向け住宅や若年層向け企画型住宅など、多様なお客さまのニーズに対応しています。
また、需要が拡大するリフォーム事業や、新規および既存のお客さまへのアプローチの強化の一環として、東京(有明)に大規模なデザインセンターを設置しました。これにより、定期的にお客さま展示会等を実施し、認知度とブランド価値の向上を図ります。7月11日と12日には、お客さま300人を招待し、デザインセンターで展示会を実施する予定です。
玉善は、建売住宅が主体となっており、引き続きお客さまニーズに応えた土地の取得に加え、デザイン力の強化を進めていきます。
運輸倉庫事業戦略 : 段ボールの補完事業として、国内物流需要の増加に的確に対応

運輸倉庫事業の戦略についてです。物流効率化法改正による市場環境の変化は追い風になると考えています。事業の拡大と適正料金化による収益強化をさらに推進していきます。また、M&Aも活用し、飲料輸送に強みを持つ物流会社として、さらに存在価値を高めていきたいと考えています。
M&Aを活用したネットワーク拡大 : 地域物流業の株式取得による網の目事業展開

M&Aを活用したネットワーク拡大についてです。M&Aは物流ネットワークの拡大を図る上で必然的に必要であり、積極的に進めていきたいと考えています。
改正物流効率化法では、二次下請けまでと規定されています。そのため、自社車両の拡大と積極的なM&Aを通じて、元請けとしての確固たる地位の確立を目指します。直近では、岡山県の物流業者を子会社化し、西日本におけるネットワークの強化を進めました。
今後も新規拠点や中継拠点の整備を進めながら、全国規模での物流網の構築を推進していきます。
現状分析・評価 : PBR/ROE/PERの経年変化

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、一部内容を更新しましたのでご報告します。まずは現状分析と評価についてです。足元ではPBR、ROE、PERのいずれも改善傾向にあります。ただし、PBRは依然として1倍を下回る状況が続いています。
現状分析・評価 : ROEと株主資本コストの比較

ROEと株主資本コストの比較です。投資家との対話を通じて把握した当社に求められる株主資本コストは、概ね8パーセントから10パーセントと認識しています。一方で、当社のROEはCAPMベースで算出した株主資本コストの水準にはあるものの、投資家が期待する水準には届いていない状況です。
第3次中期経営計画では、収益力の強化と市場価値の向上により、ROEの改善を図りたいと考えています。
進捗状況・PBR改善に向けた取り組み

PBR改善に向けた取り組みの進捗状況です。配当性向は40パーセント以上を目標に段階的に引き上げるとともに、株主優待の実施を検討し、ROE向上を進めていきます。また、IR活動の強化も継続し、PBR1倍割れの解消を目指していきます。
参考までに、これまでに掲載された雑誌等としては、『ダイヤモンドZAi』『ニューヨーク・タイムズ』『ロサンゼルス・タイムズ』『日経マネー』『会社四季報』の表紙や北海道新聞による『昆布新聞』等があり、積極的なIR活動を行っています。
株主・投資家との対話状況(2026年3月期)

株主・投資家との対話状況です。2026年3月期は、決算説明会や個別面談を通じて33社、58回の対話を実施しました。今後も積極的な対話を継続していきたいと考えています。前期の実績は26社、37回ですので、コミュニケーションの回数が大幅に増加しています。
この後に、参考資料として当社のESGへの取り組みについてまとめた資料を添付していますので、後ほどご覧ください。
以上をもちまして、株式会社トーモクの説明会を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
