2026年7月15日に発表された、株式会社インテリックスホールディングス2026年5月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
INDEX
俊成誠司氏(以下、俊成):株式会社インテリックスホールディングス代表取締役社長の俊成です。2026年5月期の決算説明を始めます。
本日ご説明する内容は、スライドの第1部から第3部です。第4部についてはご参考として後ほどご覧ください。まずは2026年5月期の総括、続いて不動産市況の変化についてお話しします。
1-1 エグゼクティブサマリー

2026年5月期は、期初に掲げた計画を大きく上回り、売上・利益ともに過去最高を更新しました。2027年5月期についても、増収・増益を着実に達成していきます。
当期は第三者割当増資を実施し、財務体質を一段と強化しました。不動産市況が大きく動く局面において、好機を逃さず機動的に物件を仕入れる体制を整えたことは、今後の収益成長に向けた重要な布石となります。
今年1月に発表した中期経営計画の内容と重複しますが、不動産業界では新築からリノベーションによる既存住宅の活用へ、不可逆的な構造変化が進んでいます。さらに、金利のある世界では、市況に柔軟に対応し、成長機会を逃さない実行力が求められます。
そのため、当社では3つのステップを踏んでいます。1つ目はホールディングス化です。昨年12月、経営スピードのさらなる迅速化と次世代リーダーの育成を目的に、持株会社として東証スタンダード市場に新規上場しました。
2つ目は、中期経営計画の公表による当社のあるべき姿と目標の明確化です。これからの不動産流通を支える「リノベーション・インフラ企業」として「Renovation Forward 31」を公表しました。2031年5月期には売上高800億円、経常利益35億円、ROE11.2パーセントを目標に掲げています。
3つ目は、その実践です。戦略的パートナーとして、独立系住宅ローン保証会社のトップである全国保証社との資本業務提携を締結しました。また、マンスリーマンションやホテルを展開するみらいホールディングスに出資し、今後もリノベーションを核とした事業共創を加速していきます。
今期は中期経営計画の初年度として、着実に業績を積み重ねるとともに、今後の成長に向けた基盤作りを進めていきます。
1-2 私たちが目指す世界~リノベーションが主流の時代~

当社が目指す方向性について、お話しします。現在、日本のマンション市場は大きな転換期を迎えています。マンション開発用地や建設コストの高騰を背景に、新築マンションの供給は大幅に縮小しています。
一方、膨大なストックを抱える既存マンション市場は、リノベーションによって新たな価値を生み出しており、まさにリノベーションが主流となる時代へと突入しつつあります。
しかし、この市場が本格的に拡大するには、克服すべき課題があります。例えば、より高品質な住まいの提供、物件や資材価格の高騰への対応、省エネ住宅の普及、職人の高齢化と人手不足、そして誰もが安心して取引できる住宅流通の実現です。
これらの課題こそ、当社グループが解決すべき使命であり、成長の源泉でもあります。
1-3 中古マンション市場が新築市場を継続して上回る

マンション市場における構造変化を、具体的な数字でご紹介します。スライドのグラフは、東日本不動産流通機構および不動産経済研究所のデータを基に作成した、首都圏における中古マンションの成約件数と新築マンションの供給戸数を比較したものです。
青色の折れ線が中古マンション成約件数、グレーの折れ線が新築マンション供給戸数を示しています。2016年以降、中古取引が新築供給を上回るトレンドが続いていました。この傾向は首都圏だけでなく、大阪、札幌、福岡といった主要都市でも同様です。
そして、2025年には初めて首都圏の中古取引が新築の供給戸数の2倍を超えました。それまで3万件前後で推移していた中古取引が、5万件に近づく水準まで増加したのです。こちらは一時的なものではなく、国の方針とも合致する大きな転換点となっています。
1-4 中長期的にもリノベーション市場は拡大

スライドは国土交通省のデータを基に、当社が試算した国内マンションストックの築年数別内訳です。2024年の統計によると、全国のマンションストックは約713万戸となっています。
このうち、リノベーションが必要とされる築20年を超えるストックは約484万戸であり、全体のおよそ7割を占めます。新築供給が限られる中、この割合は今後も着実に増えていくと考えられます。
さらに、今年3月に国土交通省が発表した住生活基本計画では、今後10年間における国の政策指針が示されています。
新築を中心とした住宅市場から、質の高い既存住宅をリノベーションして循環させる市場への転換を最重要課題としています。新築信仰が根強い日本において、政策の大きな転換と言えます。このように、中長期的な事業としてリノベーションは成長産業になり得ます。
1-5 中古マンション市場の動向(成約件数の実数)

足元の状況について確認します。スライドのグラフは、首都圏における中古マンションの成約件数の月次推移を示しています。2022年1月から2026年5月までの実数の動きです。水色の折れ線が2025年の推移を、赤色の折れ線が2026年5月までの推移を表しています。
これまでとは大きく変化していることが、一目瞭然です。これまでになかった構造変化が起きていることが確認できます。
1-6 時代の転換点における機動的なアクションを実施

当社グループはこの大きな変化に対応するため、具体的な戦略を策定し、機動的に行動できる環境を整えてきました。当社は、グループ全体で、「ヒト」「テクノロジー」「ファイナンス」の3つに注力しています。
グループ内で補いきれない部分については、M&Aや事業承継、スタートアップへの投資を積極的に行い、リノベーションおよびソリューションの両分野の成長を加速していきます。
2-1 連結業績の概況

続いて、2026年5月期の実績および2027年5月期の計画について、ご説明します。損益の状況をそれぞれの事業分野ごとにお伝えします。
まずはリノベーション事業分野についてです。主力の「リノヴェックスマンション」では期初より、販売単価を引き上げ適正な粗利を確保する、という戦略を掲げました。
販売件数は1,043件で前期並みですが、平均販売単価は前期比30.1パーセント増の3,824万円となりました。この販売単価の上昇が収益を大きく押し上げた結果、当該事業分野の売上高は前期比28.7パーセント増、売上総利益は前期比32.9パーセント増となり、増収増益を達成しています。
次に、ソリューション事業分野についてです。2025年5月期の前期には、通常の一棟収益物件の利益率を大幅に上回る物件売却がありました。そのため、前期並みの利益水準を確保するには、売却物件数を積み上げる必要がありました。
期初から、前期同様の利益を上げることを目標に、積極的に在庫の入れ替えを進めました。また、パートナー共同事業が大きく成長したことも寄与し、売上高は前期比36.0パーセント増となりました。その結果、反動減となることなく、前期に近い利益水準を確保することができました。
両事業分野の売上高の伸びにより、連結売上高は前期比30.5パーセント増となりました。売上総利益も前期比で16.9パーセント増加しました。
販管費については、売上増に伴う仲介手数料や、人的資本経営に基づく人件費の増加、本社賃料の上昇などにより前期比12.7パーセント増となりました。しかし、売上総利益の伸びが販管費の増加分を吸収し、営業利益は前期比で26.7パーセントの増益となりました。
支払利息を中心とする営業外費用は、事業資産の増加や金利上昇の影響を受け、前期比で54.7パーセント増加しました。経常利益はこれらのコスト増を吸収し、前期比8.3パーセントの増益となっています。
2-2 連結貸借対照表の概況

連結貸借対照表について、ご説明します。前期に引き続き積極的な物件仕入れを進めた結果、販売用不動産の通常物件が前期末から84億円増加し、259億円となりました。そちらに伴い、有利子負債も前期末比で87億円増加し、437億円となっています。
自己資本比率は第三者割当増資による資本増強もあり、前期末から0.2ポイント増加して25.6パーセントとなりました。
2-3 2027年5月期 業績予想

続いて、2027年5月期の業績予想について、ご説明します。市況環境を的確に捉え、売上高・利益ともに過去最高を更新する計画です。
売上高は、引き続き物件価格の上昇を背景に、前期比26.2パーセント増の737億円超を見込んでいます。主力事業である「リノヴェックスマンション」では、販売件数を着実に確保しつつ、平均価格の上昇が売上高を牽引する計画です。
利益面では、販管費が前期比で15.9パーセント増加すると見込んでいます。しかし、この増加をしっかりと吸収し、営業利益は前期比13.6パーセント増を計画しています。
経常利益については、金利上昇を反映し営業外費用の前期比6.3パーセント増を見込んだ上で、前期比4.2パーセントの増加を計画しています。
2-4 リノヴェックスマンションの取引状況

リノヴェックスマンションの取引状況について、ご説明します。仕入実績については、件数は微減したものの、平均単価の上昇により仕入高が大幅に増加しました。
一方、販売実績については、仕入単価の上昇分を販売価格へ転嫁できたため、収益を確保できました。
2-5 事業期間と粗利益率の相関性

在庫回転と収益性についてです。当社は、仕入から販売までの事業期間を重要なKPIと位置づけています。特に、今後の金利上昇局面においては、在庫回転をより意識した経営が求められます。マーケット変化に対応する柔軟性と、事業期間という規律の両面が必要です。
2024年下期以降、施工期間や販売期間の改善を現場の最重要事項として進めてきました。仕入から内装、そして販売までを一気通貫で手がけられることは、当社の強みでもあります。マーケットに対応した商品を継続して提供した結果、スライドのとおり、粗利益率が改善され、安定的に推移しています。
2027年5月期の粗利益率は、資材価格の上昇を織り込んだ上で12.7パーセントと計画しています。
2-6 注力・成長分野①リノベーション内装事業の状況

続いて、注力・成長分野として、2つの事業をご紹介します。まずは、リノベーション内装事業についてです。リノベーションが主流となる時代において、当社グループの「インテリックス空間設計」の価値は着実に向上しています。
「インテリックス空間設計」はこれまでに3万室以上のリノベーションを手がけており、設計力、現場管理力、アフターサービス保証までをワンストップで完結できる、業界でもユニークなポジションを築いています。
これからのリノベーションでは、見た目のきれいさよりも、長期間快適に住むための品質管理やアフター対応などが評価のポイントとなる時代に変わってきています。実際に、法人や個人からの請負が増加しており、こちらが実績となって現れています。
売上高は2026年5月期の実績で約60億円を計上し、前期比20.1パーセント増と順調に拡大しました。2027年5月期は、通期計画で売上高約65億円、前期比7.9パーセント増を見込んでいます。さらに、中期経営計画最終年度にあたる、5年後の2031年5月期に向けて、売上高100億円を目指していきます。
2-7 注力・成長分野②再生住宅パートナーによる共同事業について

成長分野の2つ目は、再生住宅パートナーです。簡単に事業モデルをご説明します。
金利が上昇する中で、金融機関が不動産会社への貸し出しに対してかなり慎重な姿勢をとるようになっています。そのため、良い物件情報を持ちながらも資金不足で買い取りができない、あるいは資金調達に時間がかかり物件取得の機会を逃してしまうといった企業が数多く存在します。
そこで、パートナー企業が得た物件情報を基に、再生住宅パートナーが物件を取得し、共同で物件の商品化を行い、収益をシェアすることで、双方の利益の最大化を実現しています。
当事業の売上高は2026年5月期の実績で約46億円となり、前期比で27パーセント増加しました。2027年5月期は売上高約72億円、前期比54パーセント増を計画しています。
これまで培ってきた業界ネットワーク、不動産の目利き力、そしてファイナンス力を活用し、パートナー企業との共創による価値創造モデルをさらに広げていきます。
2-8 アライアンス・資本業務提携について①

他社とのアライアンスを着実に進めていきます。現在、全国保証社とのアライアンスを進めており、今期中に具体的な内容を順次リリースする予定です。
2-9 アライアンス・資本業務提携について②

みらいホールディングスとも、具体的な案件での協業が進行中です。
今後のアライアンスや資本業務提携については、例えばエリア展開を補完する不動産会社や施工キャパシティの拡充に向けた建設会社・工務店、さらにグループに新たな機能を提供するシナジーを持つ事業会社とのアライアンスの可能性を検討していきます。
全国の主要都市における地域企業とのアライアンスを通じて、事業承継や地域ビジネスの活性化にも寄与していきます。
2-10 株主還元について

続いて、株主還元についてご説明します。当社は配当性向を30パーセント前後を目安とし、継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針としています。業績が変動する局面においても、安定的な配当水準の維持に配慮していきます。
2026年5月期の期末配当は、期初予想から1円増配し、24円となりました。2027年5月期は年間48円を計画しており、配当性向は28.4パーセントを見込んでいます。
3-1 中期経営計画目標とロードマップ

中期経営計画について、進捗状況と併せてご説明します。2026年5月期は、中期経営計画を策定した当初の想定を上回るペースで、業績が進捗しています。
2027年5月期は特に売上高の伸びが著しく、進捗率のペースが加速しています。ただし、初年度からの3年間である「Phase 1」においては、今後のグループの成長基盤を支える人材の確保と育成期間、また先行投資に充当していきます。そのため、売上と利益の成長ピッチはそれぞれ異なるものと想定しています。
3-2 セグメント別計画

セグメント別計画についてです。セグメントごとに売上高の濃淡があります。中期経営計画で掲げた目標売上高の早期達成を視野に入れつつ、今後は人材育成や業務提携を通じて収益力の強化を図り、市況を見極めながら収益性を重視した事業運営を継続します。
3-3 中期経営計画における注力テーマ

中期経営計画で掲げた注力テーマである「ヒト」「テクノロジー」「ファイナンス」について、あらためてご説明します。
当社は、不動産と建築を掛け合わせることで新たなリノベーション分野を開拓し、30年以上にわたり、仕入ネットワーク、リノベーションの設計・施工力、そしてアフターサービスといった現場力を培ってきました。
リノベーションが主流となるこれからの時代では、コアバリューである現場力を持つことが重要です。その上で、成長と差別化を加速させるために、テクノロジーとファイナンスを掛け合わせていきます。
3-4 経営基盤の強化 (人的資本経営の推進)

その中で、人の力は欠かせない要素です。自社の発展にとどまらず、業界全体の底上げには人材育成が必要です。先ほどもお話ししたとおり、中期経営計画の最初の3年間は人作りと組織作りのために投資を行っていきます。
業界を牽引する「リノベーション・インフラ企業」を目指し、当社のビジョンやミッションを体現できる人材育成に注力していきます。また、こうした人的資本への投資を通じて、持続的な成長を支える強固な経営基盤を築いていきます。
3-5 持続的な成長に向けて

持続的な成長に向けて、PBRについては単に1倍超えを目指すのではなく、ROEやPERを意識し、機動的なバランスシートに基づいて、「ヒト・モノ・カネ」の最適な利活用を志向した経営を心がけていきます。
3-6 財務戦略

具体的には、足元の金利動向を加味し、資本コストを上回る水準でROEを高めていくことを目指します。2026年5月期は利益の伸長により、ROEが11.2パーセントとなりました。
2027年5月期は、増資に伴う1株当たり利益の低下によりROE9.8パーセントを想定していますが、中期的には再び11.2パーセントの水準を目指していきます。
3-7 当社グループが将来目指す『エコシステム』

当社が目指すエコシステムについてです。当社を取り巻くさまざまな社会課題に対して、リノベーション業界におけるパートナー企業との共創により解決に向けて取り組むことで、結果として当社の企業価値を高めていけると考えています。
中期経営計画の達成は一つの通過点に過ぎません。リノベーションが中心となるこれからの時代に向けて、当社のビジョンとあるべき姿を明確に描きながら、着実に実現していきます。
引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:中期経営計画達成に向けた最重要KPIについて

阿部康二氏(以下、阿部):質疑応答の司会は私、経営企画部長の阿部が担当します。「中期経営計画達成に向けて最も重要なKPIは何でしょうか?」というご質問です。
俊成:最も重要なKPIについて、事業分野別にご説明します。まずリノヴェックスマンション事業分野についてです。この分野は、中期経営計画達成において、売上と利益の両面で非常に重要な位置を占めています。
スライドに示したとおり、当該分野では事業期間と粗利益率の相関性が高くなっています。したがって、事業期間を短くしつつ在庫回転を意識して粗利益率を確保することが重要なKPIとなります。
このKPIを的確に管理し、マーケットに合った物件を仕入れ、早く商品化して販売することが、リノベーション事業分野における最も重要なポイントとなっています。
もう1つ大きな分野として挙げられるのが、ソリューション事業分野です。こちらでは、一棟収益物件を継続的に購入し、リノベーションを施した後に販売するという流れを行っています。
この事業においては、財務バランスと物件のパイプラインを見極めながら、在庫の入れ替えを的確に行うことが重要です。そのため、先を見据えた対応が求められます。
財務の資金調達力や収益物件から得られるキャッシュフロー、そして売却による売上利益をコントロールしながら、マーケットの状況を見極めて適宜調整を行うことが、この事業のポイントとなっています。
質疑応答:利益率維持の要因および実需への対応について
阿部:「中古マンション価格が高止まりする中でも利益率を維持できる理由として、どのようなものが挙げられますか?」というご質問です。
俊成:簡潔に申し上げると、実需の動き、つまりマーケットを正確に捉えることにかかっています。当社としては在庫回転をいかにマーケットに合った価格帯で進めるかが重要です。
昨年は、都心3区の成約件数が大幅に伸びた一方で、在庫数が減少するという傾向がありました。しかし昨年12月頃から在庫数が増加し、成約数が減少している状況です。
当社はこのような動向をいち早く把握し、対応しています。都心3区の2億円以上の高額物件については慎重にアプローチしており、住宅ローン等も含め実需に基づいて、より取り組みやすいマーケットを狙っています。
この方針のもとで、事業期間と粗利益率を重要なKPIとして設定し、利益率を着実に確保することを前提に事業戦略を組み立てています。
質疑応答:金利上昇の影響の見込みについて
阿部:「金利上昇が続いた場合の利益への影響をどの程度見込んでいますか?」というご質問です。
俊成:不動産業であることから、事業資産を多く抱えていることを考慮し、金利の影響についてはすでに予算に組み込んでいます。
今期の予算では、上期の金利は2.4パーセント、下期の金利は2.5パーセントと想定しており、想定の範囲内で進むものと考えています。
利益に対する具体的な影響としては、2026年5月期の営業外費用が約10億円であり、2027年5月期の営業外費用が約11億円、前期比6.3パーセント増の影響を見込んでいます。
質疑応答:不動産売買プラットフォーム「FLIE」の事業概要と収益モデルについて
阿部:「不動産売買プラットフォーム『FLIE(フリエ)』を将来的にどのような収益モデルへ育てたいと考えていますか?」というご質問です。
俊成:今回は「FLIE」について詳しくご説明することができませんでしたが、当社は同事業を非常に重要なものであると認識しています。
「FLIE」は、不動産取引の透明性を高めることを目的とした会社で、マンションを購入される買主が安心して購入できるプラットフォームを構築するために設立されました。
将来の収益モデルおよび現在の収益モデルについてご説明すると、大きくフロー収益とストック収益に分かれています。
まず、フロー収益についてご説明します。当プラットフォームは、売主物件リノベーション専用サイトとして国内最大級となっています。このプラットフォームは、買主が直接購入できる仕組みとなっており、収益モデルとしては売主企業からの仲介手数料が主体です。
リノベーションに詳しいエージェントの存在が当社の強みとなっており、独自の優位性を生み出しています。さらに今後は、全国保証社との提携による事前審査サービスや、提携ローンの仕組みの構築も進めており、より一層の利便性を提供していく予定です。
このように、買主が使いやすく集まりやすいサイトを作り、住宅ローンも組みやすい環境を提供することで、掲載いただいている売主からの成約に基づく手数料をフロー収益としています。
また、toB向けのDXサービスが現在拡大しています。こちらはストック収益として位置付けられています。物件の確認システムを初めとして、まずはインテリックス内で業務効率化を進めてきました。
不動産業界では、特に買取、リノベーション、再販といったプロセスにおいて、効率化の余地がまだ多く残っています。こちらをまずインテリックスで試し、効果が得られたものをDXサービスとして提供しています。
現在、物件確認システムは多くの大手仲介会社に導入されています。また、自動内覧システム、スマビューもあり、多くの売主に導入いただいています。
このシステムを利用することで、買主が不動産会社の立会いなしに、直接内覧することが可能となります。さらに、自分の好きな時間に内覧できるうえ、セキュリティ面でもきちんとログが残る仕組みになっており、こうした点からニーズが非常に高まっています。
マンションの売買だけにとどまらず、今後はマンスリーマンションや施工会社向けにも活用したいというニーズをいただいています。このようなニーズがさらに広がれば、ストック収益を生む新たなサービスとして展開できる可能性があります。
以上のように、フロー収益とストック収益の両軸で「FLIE」の収益モデルを構築していきたいと考えています。
質疑応答:今期の仕入計画と全国保証社との提携ルートについて
阿部:「今期の仕入方針について、全国保証社との提携によるルート拡充の効果などを併せて、教えてください」というご質問です。
俊成:まず、今期の仕入計画と方針についてご説明します。先ほどもお伝えしたように、販売価格は平均で4,000万円を超える見込みとなっています。この販売価格に対する価格戦略を考えています。
通期予想では、「リノヴェックスマンション」の平均価格が4,921万円となっており、前期比で1,097万円上昇する見込みです。
ただし、当社は基本的に実需を中心に考えています。そのため、都心のマンションについては、都心3区にある高額なタワーマンションではなく、仕入価格が4,000万円から5,000万円、最大で1億円程度までの実需向け物件をターゲットにしています。都心においては、そのような物件を積極的に仕入れていく方針です。
また、他のエリアにおいても、それぞれのエリア特性を踏まえ、最も流動性の高い地域をピンポイントで分析しながら、各支店長が仕入戦略を進めていく方針をとっています。
今回、執行役員を3名増員しました。営業の執行役員が機動性を持ちながらマーケットを的確に分析した上で仕入を行うことで、店長と相談しながら、執行役員制が機能する体制を構築しています。
今期の仕入戦略方針については、より細かくマーケットを分析した上で仕入を行い、その後の販売につなげていくという戦略を採用しています。
次に、全国保証社との提携ルートについてご説明します。全国保証社は、20兆円規模の住宅ローン保証を手掛けており、その一部、約0.09パーセントにおいて代位弁済が発生しています。こちらは、住宅ローンの返済が難しくなった方が物件を売却されるケースです。
当社では、そのような物件を査定し、購入可能なものについては積極的に購入していく仕組みを作りつつあります。今期中にいくつかの物件を購入できるよう準備を進めていく方針です。
質疑応答:中東情勢による施工期間の長期化リスクについて
阿部:「リノベーション施工期間長期化のリスクについてはどのように考えていますか?」というご質問です。
俊成:おそらくご質問の意図としては、中東情勢やその影響を受けた資材の状況を踏まえてということだと考えています。その点も併せてご説明します。
中東でナフサが供給不足となり、世間でもその影響が取り上げられています。実際に今年の4月や5月にはユニットバスがなかなか入荷せず、納期が決まらないといった事態も発生しました。
ただ、7月完工予定の物件に多少影響はあるものの、8月以降完工予定の案件については、納期がほぼ決定しています。そのため、大きな影響はないと考えています。
したがって、施工期間の長期化については、現時点である程度コントロールできていると考えています。また、どのような物件で施工期間が延びているのかを築年数ごとに分析しています。
当社としては、早めに下見や着工を行うなど、段取りの部分で日数を減らす地道な作業を進めるとともに、中東情勢に対応可能なメーカーや商社と連携し、資材を含めて施工期間への影響が極力ないよう、先手を打つ取り組みを行っているところです。
質疑応答:中東情勢による資材価格への影響について
阿部:「中東情勢による今後の資材価格等への影響について、現時点でわかっていることをご教示ください」というご質問です。
俊成:影響があるとすれば、主に価格の面です。資材メーカーからは6月、7月以降、新価格の提示がすでに来ており、特に大手については10月発注分からの改定に向けて調整中の状況です。
こちらはある程度想定していた部分でもあり、やむを得ないものとして、当社としてもすでに予算を策定しています。
予算上では、通期で内装工事費が5パーセントから10パーセントほど上昇する見込みであり、下期には10パーセントから15パーセントの上昇を想定しています。
これらの内装費については、今回の事業計画および予算に反映しています。また、工事単価についても、営業部門および内装部門と十分に協議した上で引き上げ、さらにメーカーからの価格アップを考慮した計画を立てています。
質疑応答:再生住宅パートナー事業の拡大の背景について
阿部:「再生住宅パートナー事業は前期と比較しても今期は伸びが高まる計画ですが、その背景を教えてください」というご質問です。
俊成:先ほどKPIの部分でも触れましたが、ソリューション事業分野には、再生住宅パートナーの売上や利益も含まれています。パイプラインという観点では、一棟物件や再生住宅パートナーの物件について、ある程度見通しが立っています。
現在のバランスシートをご覧いただくと、販売用不動産がかなり積み上がっている状況であり、「リノヴェックスマンション」だけにとどまらないことがわかります。一棟収益物件、土地、戸建など、販売用不動産に含まれる物件がさまざまあります。また、これから仕入や決済を行うパイプラインについても見えている部分があるため、これらを基にある程度見通しを立てて数字を作成しています。
再生住宅パートナーに関しても、現在さまざまな良質な物件情報が入ってきており、それらを積極的に取得しながら数字を固めていく方針です。このような方針のもと、売上高70億円超の予算が組まれています。
質疑応答:中古マンション市場の状況と販売計画について
阿部:「中古マンションの価格の高止まりが続く中、今後の販売戸数への影響をどのように見ていますか?」というご質問です。
俊成:販売戸数に関しては、あまり増やしていません。現在、通期予想の「リノヴェックスマンション」販売戸数は1,066件で、前期比23件増えるという計画です。販売価格については、中古マンションのマーケットで価格が上昇している状況があります。
先ほどの話と少し重複しますが、都心3区においては、2億円以上の高額タワーマンションの需給バランスが高止まりしています。高止まりから需給バランスが崩れつつあり、このエリアは調整局面に入っているのではないかと考えています。
一方で、都心3区以外、例えば山手線の外側を含めたエリアを見てみると、需給バランスは悪くないと見ています。当社の売れ筋物件や流動性の高い物件も、そのようなエリアをターゲットに含んでいます。
そのため、高額物件には引き続き注意が必要ですが、郊外の実需層が購入可能な物件については、しっかりと需要を捉えられると考えています。また、需要と供給のバランスを見極めることも可能と捉えています。
中古マンションの価格の平均値ではなく、物件ごとの特性やエリア、売りやすさなどを細かく分析することが重要であると考えています。
その意味で、販売件数と販売単価は、一定の想定範囲内で推移するのではないかと思っています。ただし、上期の動向を見ながら、販売件数をもう少し伸ばして、販売単価を調整したりする必要が生じるかもしれません。そのあたりは、柔軟に対応していきたいと考えています。
質疑応答:自己資本比率の現状と目標について
阿部:「ネットD/Eレシオなどの自己資本比率の指標はありますか?」というご質問です。当社はD/Eレシオを出していないため、自己資本比率についてコメントをお願いしたいと思います。
俊成:自己資本比率については、25パーセント以上、おおよそ30パーセント近くを常に想定しています。ただ、現在は物件の購入が先行しているため、25パーセントぎりぎりというところです。
そのため、事業回転率を高め、できるだけ自己資本比率を30パーセントに近づけられるよう努力していきます。
質疑応答:今期の販管費の増加の内訳について
阿部:「2027年5月期の販管費は前期比15.9パーセント増の見込みというご説明でしたが、内訳として、人件費、仲介手数料、本社賃料増加分がそれぞれどれくらいコスト増に反映するのでしょうか?」というご質問です。
俊成:パーセンテージでお伝えします。人件費は前期比11.5パーセント増を予定しています。仲介手数料は売上の成長に伴い、前期比43パーセント増を見込んでいます。家賃については前期比14.7パーセント増となる見込みです。
質疑応答:仕入対象エリアの拡大について
阿部:「中期経営計画達成に向けて対象エリア、埼玉や千葉の郊外等を拡大するといった計画はあるのでしょうか?」というご質問です。
俊成:まさにその点を今後広げていく予定です。現在、実需層は、都心から郊外、沿線の良いエリアへ広がっています。例えば埼玉や千葉といった地域でも動きが好調な場所があります。そのため、そうした状況を見極めながら、今後の仕入を進めていきたいと考えています。
