品川リフラ<5351>は、工業用耐火物・断熱材分野において、売上高で世界トップクラスに位置付けられる耐火物メーカーである。2025年10月に創業150周年を迎え、品川リフラクトリーズ(株)から品川リフラ(株)に社名を変更した。同社の事業セグメントは、「耐火物」「断熱材」「先端機材」「エンジニアリング」で構成される。グループの2026年3月期の売上高・セグメント利益構成比(調整額控除前)では、耐火物セクターが売上高61.8%、セグメント利益63.0%と、過半を占める。海外事業を成長エンジンとし、海外売上高は2026年3月期までの5年間で約4.7倍に伸長した。長期目標「ビジョン2030」では2031年3月期までに海外売上高比率50%を目指す。直近でも米国でのM&Aを実行するなど積極的な成長投資を進めている。
1. 2027年3月期第1四半期の業績概要
8月10日に2027年3月期第1四半期決算を発表、売上高465.90億円(前年同期比21.8%増)、EBITDA39.98億円(同9.3%減)、営業利益17.36億円(同39.9%減)、経常利益30.09億円(同2.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益46.79億円(同166.2%増)で着地した。耐火物セグメントは増収増益で着地、同社単体における耐火物販売数量の増加に加え、海外関係会社の増収効果が寄与した。中東情勢の影響による原燃料コストの上昇に加え、一部海外関係会社の設備トラブルによる一時的な生産低下や修繕コスト等の増加の影響があったが、高付加価値製品を中心とした拡販活動、価格設定の適正化および継続的なコストダウンに取り組んだ結果、増益となった。断熱材セグメントは、半導体関連分野における需要回復に加え、国内外での拡販活動による案件獲得が進展したことから、売上高は増収となった。一方、セグメント利益は、販売構成の一過性の変化により、減益となった。先端機材セグメントはファインセラミックス製品の拡販に加え、半導体製造装置関連事業の需要拡大により、売上高は増収となった。一方、損益面については、瀬戸内工場の稼働に伴う減価償却費増加の影響により損失となった。エンジニアリングセグメントは前第2四半期より連結対象となったブラジルのReframax Engenharia S.A.(以下Reframax社)の売上寄与により、売上高は増収となった。一方、損益面については、Reframax社において主要顧客の工事時期が後ろ倒しになったことや、インフレ進行に伴うコスト上昇の影響により、損失となった。
2. 2027年3月期業績予想を上方修正
足元の事業環境および第2四半期の連結業績予想等を踏まえ、2027年3月期の通期業績予想を上方修正した。2027年3月期の連結業績は、売上高1,980億円(前期比11.4%増、従来計画1,890億円)、経常利益140億円(同12.4%減、同130億円)、親会社株主に帰属する当期純利益105億円(同59.7%減、同100億円)に引き上げた。EBITDA220億円(同0.6%減)、営業利益130億円(同4.5%減)は据え置いている。中東情勢を含む不透明な事業環境を踏まえて保守的な見通しを策定していたが、下半期において、耐火物セグメントで原燃料コスト上昇分の価格転嫁の進展と、海外関係会社における設備トラブルの収束による受注残の解消を含めた業績の改善を見込んでいる。また、エンジニアリングセグメントの Reframax 社では、第1四半期から後ろ倒しとなった案件を含む工事案件の売上計上に加え、インフレに伴うコスト上昇分の価格転嫁を見込み、断熱材セグメントおよび先端機材セグメントでは、半導体関連分野を中心とした需要拡大を見込んでいる。
3. 「ビジョン2030」に向けた第6次中計の進捗と第7次中計の方向性
2024年5月に長期目標「ビジョン2030」を策定し、事業成長における財務目標と社会課題解決におけるサステナビリティ目標を設定した。2031年3月期の財務目標は、売上高2,400億円(2024年3月期は1,441億円)、ROS12%(同9.6%)、EBITDAマージン16%(同12.3%)、ROIC10%(同9.1%)、海外売上高比率50%(同29.8%)である。同時に第6次中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を開始し、最終年度の目標として売上高1,800億円、ROS(売上高営業利益率)11%、ROIC(投下資本利益率)10%、海外売上高比率45%を掲げている。2024年10月に実施したGoudaに対する大型M&Aに加え、2025年9月にはイタリアで合弁会社を設立、耐火物事業では従来未開拓であった欧州市場での拠点展開を実現し、中東・アフリカ市場も視界に入れた。また、2026年3月には新たに米国でもM&Aを実現し、北米、南米にまたがるセクター横断型のグループネットワークを拡充した。第6次中期経営計画の最終年度である2027年3月期は、多種多様なグループ連携を実現し、シナジー発揮によるオーガニック成長を目標達成のカギとする。なお、第7次中期経営計画については、「ビジョン2030」設定当初に対し厳しさを増す足元の事業環境を踏まえて経営戦略を軌道修正し、競争力の強化を通じた事業の成長、グローバル調達・供給体制の最適化などに向けて具体的な施策を検討する方針だ。
4.株主還元
同社は2025年3月期より、株主への利益還元の充実を図るため配当性向40%を基準とする配当方針を掲げてきた。しかし、近年は積極的なM&Aの実施に伴いのれんの償却額が増加し、キャッシュ創出能力を示すEBITDAと営業利益の乖離が拡大しているほか、成長資金の確保を目的とした資産売却等により当期利益が大きく変動するなど、会計上の利益に基づく配当性向を基準とすることが必ずしも適切とは言えない状況となっていた。そのため、2027年3月期からは、配当性向を基準とする従来の方針に代えて、連結株主資本配当率(DOE)4%以上を基準に、累進配当を実施する方針へと変更。本方針の下、株主資本コストを意識した経営を一層推進し、より安定的かつ持続的な株主還元を実現する。
2027年3月期は新たな配当方針に基づき、年間配当金を前期比5.0円増の95.0円とする予定であり、配当性向は43.4%となる見込み。中間配当は1株当たり47円、期末配当は1株当たり48円を予定している。
5.株価
同社の株価は3月に過去最高値2,507円をつけた。ただ、その後は調整局面入りで6月11日に安値1,824円をつけたが、再度じりじりと上げ幅を広げて決算発表当日の8月10日には2,158円に到達した。足元PBR0.8倍台で推移するなか、これが1倍水準に是正されるだけでも、株価は2,700円付近までの戻りが期待できる。また、2031年3月期の財務目標となる売上高2,400億円(2024年3月期は1,441億円)、ROS12%(同9.6%)、EBITDAマージン16%(同12.3%)で、目標達成時の営業利益288億円は今期予想(2027年3月期の営業利益見通し130億円)から約2.2倍となる水準である。今期予想EPS230.10円から仮に2.2倍水準となる510円にマーケット平均のPER15倍で評価すると7,650円程度は試算される。総じて、PBR0.8倍台かつ配当利回り4.6%付近で推移する割安高配当株としての一面を持つ中、まずは過去最高値水準に迫れるか注目しておきたい。
■Key Points
・2027年3月期1Q時点で業績予想を上方修正
・2027年3月期はオーガニックな成長力強化がカギ、不透明な事業環境を踏まえて保守的な見通し
・強化されたグループによるシナジー発揮で第6次中期経営計画達成を目指す
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