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「愛国倒産リスク」に怯えるアパホテル、破裂寸前の2つの爆弾とは?

アパホテルの快進撃を支えた「3つの戦略」は今後も本当に有効なのか?

お伝えしたように全般的に拡大基調にあるホテル業界ですが、その中でもアパホテルは突出して成長し続けているといっても過言ではないでしょう。

それでは、なぜアパホテルは抜きんでた成長を実現できているのでしょうか? ここでは、その成長の背景にある戦略を浮き彫りにしてみましょう。

1.「一点突破」の集中戦略

まず、アパホテルの強さの根幹となる戦略として、集中戦略が挙げられるでしょう。

2010年4月にスタートした「SUMMIT5」のスローガンである「一点突破」が示すようにアパホテルはニーズの高い地区に絞って集中出店を続けています。これは「ドミナント戦略」とも呼ばれ、特定地域に集中出店することによって地域内でのシェアを高め、結果としてブランド力が向上することによって、特定の地域で圧倒的な地位を確立することができます。

このドミナント戦略は、セブンイレブンがコンビニ業界で圧倒的な地位を確立するために採用した戦略としても有名で、アパホテルも同じように特定の地域で圧倒的No.1になるために、ドミナント戦略を駆使しているといえるのです。

2.時代の流れと逆行する「逆張り戦略」

また、「逆張りの戦略」も見逃せません。これはアパグループ代表の元谷外志雄氏のビジネス的な才覚によるところが大きいと言わざるを得ませんが、これまでアパグループは経済の大きな波に翻弄されることなく逆にその波を利用して拡大を続けてきました。

たとえば、2008年に起こったリーマンショックの影響で、地価が下落し上場不動産会社の倒産が相次ぎましたが、アパホテルはリーマンショック前に他社がミニバブルの波に乗って不動産投資を加速させていくのと逆行するように所有不動産を売却して銀行借入を返済し、難を逃れました。そして、リーマンショック後に他社が地価の下落した不動産を売り急ぐ中、今度は逆に買いに走り不動産を底値で購入することに成功します。

このような元谷氏の逆張りの戦略が、アパホテル急成長の礎を築いていったのです。

3.アパホテルの「勝利の方程式」

そして、アパホテルがここまで急速に勢力を拡大してきた背景には、独自の「勝利の方程式」もあります。

アパホテルは、駅に近いロケーションに続々と新たなホテルをオープンさせていますが、実際に足を運んでみると地形のあまりよくない物件を選んでいることがわかります。そのような物件は買い手があまりつかずに近隣の相場よりも割安なことが多く、その土地の上に高層ホテルを建築することにより、建築コストを大幅に引き下げることができるのです。

また、一般的にホテルを建設する際には銀行融資を欠かすことはできません。つまり、ホテルが建設できるかどうかは、銀行の判断次第ということなのです。一方アパホテルは、税引き後の利益とホテルの減価償却で生み出された潤沢なキャッシュで建設費用を賄っており、最近では銀行融資に頼ることなく次々に新たなホテル建設ができるという他のホテルチェーンにはない「勝利の方程式」がその成長を加速させているのです。

Next: 中国人客離れで崩壊も?アパホテル驚異の高収益率「2つのカラクリ」

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