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「愛国倒産リスク」に怯えるアパホテル、破裂寸前の2つの爆弾とは?

中国人客離れで崩壊も?アパホテル驚異の高収益率「2つのカラクリ」

また、アパホテルは2015年度の実績で売上高900億円に対して経常利益は272億円にも達しています。つまり、経常利益率で30%とホテル業界の中では突出した収益力を誇っているのです。

この高収益体質の背景には売り上げを極大化する戦略と費用を極限まで削減する数々の方法があります。

1.アパホテルの飽くなき売り上げ追求策とは?

たとえば、売り上げを極大化する戦略としては、アパホテルは航空業界で生み出されたレベニューマネジメント」を取り入れています。レベニューマネジメントとは、需要の強弱に応じて柔軟に価格を変更し、売り上げの最大化を図る戦略です。たとえば、ゴールデンウィークやお盆、お正月など需要が高まる時期には室料を1室3万円など高い価格を設定してより高い売り上げを目指します。一方、それ以外の需要が低くなる閑散期には8,000円など同じ部屋でも室料を低く設定することによって極力空室にならないように稼働率を高めて、売り上げを高めていきます。このような価格の上げ下げは、すべて各ホテルの支配人に任されており、支配人は様々なデータを分析して、売り上げの極大化に努めることになるのです。

さらに売り上げアップに関していえば、アパホテルでは客室の稼働率を高めるためにデイユースを取り入れています。たとえば、ホテルの客室を当日の15時から翌日の11時までなどといった宿泊だけでなく、当日の11時から17時などといった日帰りプランも提供しているのです。このデイユースにより、通常は利用されないスキマ時間も埋めることになり、客室稼働率は100%を超えることもあるのです。

アパホテルは、他にもアパカード会員による囲い込みによって売り上げアップを図っています。

アパホテルの利用者は、アパカードの会員になれば、様々な特典のメリットを受けられます。たとえば、アパカード会員は、公式サイトから予約すれば、一般会員でも10%という高い還元率を得られ、5,000ポイントになると5,000円のキャッシュバックを受けることができます。つまり、宿泊費が1泊1万円だとすれば、5回泊まっただけで5,000円のキャッシュバックを受けることができるのです。通常クレジットカードなどでもポイントは貯まりますが、1%~2%の還元率なので、いかにアパカード会員の還元率が高いかがわかるでしょう。

このような魅力的な会員特典に引き付けられ、2016年11月30日現在でアパカード会員は1,200万人を超えており、日本国民の10人に1人はアパカード会員という計算が成り立ちます。これら多くの会員がリピーターとなって、アパホテルは業界の中でも屈指の高い客室稼働率を誇るのです。

2.アパホテルの徹底したコスト削減法

続いては、アパホテルの費用を極限まで削減する方法を見ていきましょう。

アパホテルのシングルルームは一般的なホテルが14平米に対して11平米と若干小さく統一されています。これは1ホテルあたりより多くの部屋数を確保して売り上げアップにつながるばかりでなく、各部屋の光熱費を削減する狙いもあるのです。

加えて2015年からは、試験的に顧客がいたとしても数時間で空調を強制的に止める「アイドリングストップ」を実施して更なるコスト削減に努めています。

また、アパホテルのひとつの売りになっている大浴場は顧客満足度を高める効果がありますが、宿泊客が客室の浴槽を使わないことにもつながり、結果として水道代の削減に一役買っているのです。

他にも、予約に関しては、高い手数料を支払わなければならない旅行代理店は利用せず、コストのあまりかからないインターネット経由の予約に特化するなど、アパホテルは売り上げアップを図る策と同時に徹底的なコスト削減を図ることによって、ホテル業界の中で突出した利益率を実現することが可能になっているといえるでしょう。

Next: 資金面と人材面に「爆弾」を抱えるアパホテルの苦しい台所事情とは?

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