日経平均2万円到達のシナリオは?
米国のトランプ新大統領の登場は世界経済の波乱要因になり兼ねないとの危惧をもって迎えられましたが、これまでのところ日米など先進国の株式相場は堅調に推移しています。とは言え、「米国第一」を旗印に入国制限を強行するなど荒っぽい施策には危うさが伴い先行きの不透明感は否定できません。
こうした状況の下、今後の投資環境が変わった場合に日経平均はどうなるか、理論株価に基づいて客観的な条件の変化に対応するシナリオを想定し探ってみました。ここでは一つのメドとして、日経平均が2万円に到達する条件を見ることとします。
理論株価の決定式は以下の通りです。
理論株価=-3,756+74.1*日経平均ベースの予想1株当たり利益(EPS)+103.1*米ドルレート
足元の日経平均ベースの予想EPSは137円08銭、米ドルレートは115円ちょうどです。これに見合う理論株価は上記の1万8,260円となります(各係数は丸めてあるため上式に当てはめた場合と若干の誤差が生じます)。
この2つの株価の決定要因が変わった場合の理論株価の水準をまとめたのが下の一覧表です。米ドルは足元の115円と120円のケース、予想EPSは足元の137円と145円から5円刻みで増益幅が拡がる4つのケースで併せて8つのケースを想定します。
シナリオ分析で見る日経平均の水準
緑色のセルが日経平均が2万円となるケースです。米ドルレートが120円まで上昇する一方、予想EPSが155円、すなわち足元の予想から13%程度増益幅が膨らむことが日経平均が2万円に達する条件となります。
米国の金利上昇によってドル高が後押しされ、為替差益を享受する一方で景気が底堅く推移することで企業業績が予想を上回る増益となることが2万円到達のシナリオになります。容易ではありませんが、可能性を否定するほどではなさそうです。
なお、現在の日経平均に近いのは黄色の箇所、1万9,363円になります。これは米ドレートが120円、予想EPSが145円のケースに相当しており、市場は足元で為替は5円の円安、業績は5%程度の上方修正を見込んでいることがうかがえますす。
トランプ大統領の登場という世界経済にとって大きな不確定要因が表れた現在、客観的な根拠に基づく相場見通しの道具として理論株価を活用されてはいかがでしょうか。
『投資の視点』(2017年1月31日号)より一部抜粋
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