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「佐川」は「ヤマト」に勝てるのか?今年最大の大型上場(SGHD)のポイント=栫井駿介

どちらに投資するか:この2社なら佐川に軍配

物流業界はインターネット通販の拡大や人件費の高騰、働き方改革などまさに激変の中にいます。佐川もヤマトもその中でもがいている最中であり、一概にその企業価値を評価することはできません。

しかし、どちらの戦略が株主にとって理に適っているかといえば、私は佐川に軍配が上がると考えます。環境が変化している以上、自らも変化しなければ企業は生き残っていくことはできません。上場を機にさらに変化を加速するとすれば、この苦況を乗り切る新たな発見が見つかる可能性もあります。

一方で、「サービスが先、利益が後」とするヤマトの哲学もないがしろにするわけにはいきません。この哲学はヤマトをここまでの規模に育てた小倉昌男氏のものであり、その言葉には重みがあります。論理的には理解しがたいですが、やがて何かしらの答えが見つかるかもしれません。

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株価に着目すると、公開価格におけるSGホールディングスのPERは17.67倍、ヤマトホールディングスのPERは51.81倍です(2017年3月期基準)。ヤマトは未払い残業代の支払がなかった2016年3月期基準でも24.37倍となり、数値の上でも佐川の方が投資妙味があると言えます

目まぐるしく変化する業界で難しい判断ではありますが、「この2社の中で投資する」とすれば、私はSGホールディングスを選択するでしょう。


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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年12月10日)

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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