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日本人が知らない「トランプ支持」の代償。エルサレム首都認定の何が危険か?=斎藤満

トランプ大統領が描く中東戦争のシナリオ

米国はイスラエル支援のために、天敵であるイランをどこかで攻撃する計画のようですが、イスラエルや米国自身が前面に出るのは具合が悪く、できればサウジやエジプトなど親米国で「中東版NATO」を結成し、イスラエルや米国の代わりにイランを攻撃させることを期待しています。

イスラエルや米国が前面に出れば、アラブ全体を敵に回す次の中東大戦争になりかねないからです。ところが、これら親米国がトランプ氏への反発を強めると、米国のシナリオが狂ってきます。

もともとサウジは軍隊を持たないので、サウジの資金支援の下にエジプトやヨルダンが兵を動かす必要があるのですが、これが動かなくなれば、イラン攻撃に際してイスラエルがより前面に出ざるを得なくなります。

そうなるとイランとの戦いは「個別の地域紛争」の域を超え、アラブをも敵に回した中東全域での「本格戦争」になりかねないため、欧州やアジアからも米国やイスラエルへの反発を招いているのです。

もっとも、穿った見方をすればこれら親米国は、自国内の原理主義や過激派組織の脅威を考えると、逆にますます米国依存を強めざるを得ない面があるのも確かです。トランプ氏はそこまで読んであえて強硬策に出て、インティファーダ(蜂起)の声を高め、「テロを利用」しようと考えている可能性もあるでしょう。

怒りの矛先をイランに向け、結果として親米国がテロにあぶりだされる状況をつくり、イランへの攻撃に踏み切らせる、という危険なシナリオです。これは北朝鮮への空爆と異なり、中東が本格的な戦争状態になることを意味します。

世界貿易に収縮リスク

トランプ大統領はすでに自由貿易体制を否定し、米国との2国間交渉で通商問題を解決しようとしていますが、これを突き詰めれば世界貿易の収縮をもたらす面があります。そこへ中東戦争を引き起こせば、産油国による「油断」によりエネルギー危機が生じる懸念があるほか、ヒト・モノ・カネの流れが一段と悪くなります。

つまり、トランプ・リスクの1つでもある保護主義の拡大に、エネルギー制約の強まり、政治紛争、戦時下での経済制裁などが重なると、世界貿易は縮小を強めるリスクがあります。ようやく広がりつつある世界経済の改善の動きが、トランプ大統領の独断によるエルサレムの首都承認発言で崩れる可能性があるのです。

Next: 世界から見た日本は「米国の別働隊」テロのターゲットに

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