今回は特別編として、27年ぶりの「月足5連続陽線」を示現するも、6月は陰線で終わった日経平均株価の今後のシナリオをご紹介。過去の類似局面で株価はどう動いたか?1961年、1972年、1987年の教訓をどう生かすべきか?投資歴54年の山崎和邦氏が解説します。
※山崎和邦 週報『投機の流儀』vol.160 2015/6/28号より、マネーボイス編集部にて再構成
まず、日足で12連騰のその後の展開は?
5月15日から6月1日まで日経平均は12日連騰した。これはブラックマンデー直後の年の月以来の27年ぶりのことであったと既報で述べた。
こういう「異常現象」の後はどうなったか?
過去20回の10連騰越えはすべて89年末の市場最高値の前に示現しており、「失われた20年」に於いては20年間1度もなかった。
過去の12連騰のその後の展開を見ると、いずれもその何割高の大相場を示現している。
- 60年12月~61年11月の14連騰→その後は1,403円→当年7月の1,829円最高値へ(1.3倍)
- 86年3月の12連騰→その後は14,600円→当年8月の18,900円(約1.3倍)
- 88年2月の13連騰→その後は25,284円→当年8月の28,428円(約1.12倍)
6月21日号で「欧州の伝統的な中間期末である6月にはアク抜けするという楽観論も出ると想定している」と述べたことが現実味を帯びてきた。
では、月足5連続陽線のその後の展開は?
61年、72年、87年、今年、これが過去半世紀で年初から5本の月足陽線を引いた年である。その年はその後にどうなったかと言うと61年は7月に史上最高値をつけて夏から秋にかけて深い下げ。これが筆者の(編注:野村証券に)入社した年でその7月高値を抜くのに7年を要した。
72年は年間通して上げっぱなしで71年11月から連続14本の月足陽線という過剰流動性相場、別名「列島改造バブル」、71年1月~73年1月の2年間で日経平均は約2.7倍に。
87年は10月にブラックマンデーで深い下げ。15年6月は陰線となり、72年以来の6本連続陽線は阻まれた。
では、72年に因んで年末まで連続陽線か、あるいは61年、87年の例にならって夏から秋に中国暴落か米利上げという海外要因で調整を迎えるか、というシナリオである。後者の方が可能性は高いであろう。
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山崎和邦(やまざきかずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。
大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。
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