結婚相手を「スペック」で選ぶ時代へ
男性はすでに相手にされなくなった20代の容姿の良い女性を探し求める。女性は年収1000万円以上、そうでなければ800万円以上、妥協して600万円という希少種を探し求める。
そして互いに相手が見つからず、妥協もできず、そしてあきらめる時代になっている。男女共に、現状認識がしっかりとできていないのである。
今は結婚相手をスペックで選ぶ時代と化した。だから、少しでもスペックから外れた男たちは「結婚」の対象から弾き飛ばされて相手にされない。
若い男女を無理やりセッティングさせて結婚させる見合いも消えて恋愛至上主義になっており、恋愛に貪欲になれない男女がやはり取り残されていく。
そうやって多くの日本人男性が日本人女性をあきらめた。妙な話だが、日本人男性にとっても、日本人女性は「高嶺の花」になっていったのだ。
結婚に絶望した日本人男性が向かう先
1990年代からそうなったのだが、実はその時、わずかな活路で現れていた光明があった。どこにあったのか。それが「アジア女性」だった。
1980年代から日本の国富に羨望の眼差しで見つめていたのは、周辺国のアジア女性だった。
その中でも、特に出稼ぎに抵抗のないタイ女性やフィリピン女性が、大挙して日本に押し寄せてきていた。この時代、日本人は彼女たちを「じゃぱゆきさん」と呼んだ。
日本の安月給が、フィリピンでは高給取り
1990年代から2005年まで日本の国際結婚は増え続けていた。この時代、日本の底辺ではフィリピン女性が年間約8万人も流れ込んできていた。このフィリピン女性が、日本で次々と日本人男性と結婚していたのである。
フィリピン女性だけではない。タイ女性も、中国女性も、韓国女性も、こぞって日本人男性と結婚していった。日本は世界有数の経済大国であり、日本人男性は金持ちのシンボルであり、彼女たちにとっては一種のブランドだったのだ。
今もその名残りは残っているが、1980年代から1990年代の日本人男性のモテぶりは尋常ではなかった。
だから、選り好みする日本人女性に弾かれた男たちの一部は、歓楽街でたまたま出会ったアジア人女性の熱烈な歓迎に驚き、そしてそこに希望を見出したのだ。
年収300万円の男性は日本では低い部類に入って日本女性から見下されるかもしれないが、他のアジア女性にとってはその300万円も”Very big money”(大金)だったのである。若く美しい彼女たちは、嬉々として日本人の男と付き合った。