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中国が人民元を突如切り下げ=輸出メリットは限定的との見方、ホットマネー流出懸念が広がる

11日の日経平均株価は一時20,946.93円まで上昇し堅調に推移していましたが、取引時間中に伝わった想定外の人民元切り下げにより急落、前日比87.94円安の20,720.75円で取引を終えました。

香港・中国株式市場では、人民元の切り下げが中国の輸出促進につながるとの見方は限定的。短期投資資金(ホットマネー)の流出懸念が高まり、外貨建て(米ドル建て)有利子負債を抱える航空株などが大きく値を下げています。

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想定外の人民元切り下げ 11日中間レートは1.8%元安水準に

人民銀が人民元中間レート算出方法を変更

中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元相場の中間レートの算出方法を変更すると発表した。同日から、銀行間外為市場の前日終値を参考に、外為需給や国際主要通貨の相場変動などを総合的に考慮して中間レートを決定する。

人民銀の報道官は変更理由について、中間レートは基準金利として市場予想を誘導することで為替相場を安定させる重要な機能を担ってきたが、「最近は中間レートと市場の為替レートとの乖離(かいり)が大きくなり、基準としての地位と権威に影響が出ていた」と述べた。

11日の人民元相場の中間レートは1米ドル=6.2298元と、前日に比べ1.823%の元安/ドル高水準。人民銀報道官は、中間レート算出方法を変更したことで、これまでの中間レートと市場為替レートの差がまとめて補正され、2%近く変動したと説明。

最近発表された一連のマクロ経済・金融データを受け、人民元相場に対する市場予想がばらつき、市場参加者が市場の需給変化により敏感になったことも影響したとした。

人民元/円 15分足(SBI証券提供)

人民元/円 15分足(SBI証券提供)

日経平均株価 15分足(SBI証券提供)

日経平均株価 15分足(SBI証券提供)

香港大引け:小幅続落、元切り下げによる資金流出懸念や様子見ムードが重し

11日の香港株式市場でハンセン指数は小幅に続落。終値は前日比0.09%安の24498.21ポイントだった。H株指数は0.24%安の11264.64ポイント。メインボードの売買代金は概算で961億200万HKドル。

ハンセン指数は高く寄り付いた後、中盤まではプラス圏で推移していたが、終盤にマイナス圏に転落した。

香港ハンセン指数 15分足(SBI証券提供)

香港ハンセン指数 15分足(SBI証券提供)

中国人民銀行(中央銀行)が11日発表した7月の金融統計で融資増加額が予想を大きく上回ったことを受け、序盤は本土系金融株主導で買われた。一方、人民銀は同日、人民元相場の中間レートの算出方法を変更すると発表。これに伴い、人民元の中間レートを大幅に引き下げた。

突然の人民元実質切り下げを受け、人民元の先安観から次第に短期投資資金(ホットマネー)の流出懸念が高まったほか、向こう数日間の人民元レートを見極めたいとする様子見ムードも強まった。中国の輸出促進につながるとの見方は限定的で、買いは続かなかった

個別では、時価総額の大きいテンセント(00700)やAIAグループ(01299)などが売られ、指数を押し下げた。香港を代表するコングロマリットの長江和記実業(00001)も安い。本土系金融株では銀行株の中国建設銀行(00939)や中国銀行(03988)などが売られた半面、保険株の中国人寿保険(02628)、中国平安保険(02318)が買われた。中国石油メジャーのペトロチャイナ(00857)、CNOOC(00883)も逆行高を演じた。

H株では、事実上の人民元切り下げを受け、中国南方航空(01055)、中国東方航空(00670)など外貨建て(米ドル建て)有利子負債を抱える航空株が大きく値を下げた。7月の中国自動車販売の落ち込みを受け、自動車メーカーのBYD(01211)、広州汽車集団(02238)も安い。半面、長城汽車(02333)が堅調。油田サービスを手掛ける中海油田服務(02883)も買われた。

本土大引け:3日ぶり小反落、人民元切り下げで銀行・航空が下落

11日の中国本土株式市場で上海総合指数は3営業日ぶりに小反落。終値は前日比0.01%安の3927.91ポイントだった。上海、深セン両市場の売買代金は概算で1兆3354億1400万元。

上海総合指数は方向感を欠いた値動き。強弱材料が拮抗し、前日終値を挟んで一進一退の展開だった。前日がほぼ全面高だった反動で、4000ポイントに接近する水準では利益を確定する売りが出た半面、国有企業改革の進展に期待する買いも引き続き入った。朝方に発表された7月の金融統計で、マネーサプライM2伸び率と人民元建て貸付残高増加額が市場予想を上回ったことも、投資家心理の改善につながった。

一方、中国人民銀行(中央銀行)が11日付で人民元相場の中間レートの算出方法を変更し、中間レートを2%近く引き下げる事実上の人民元切り下げに踏み切った。輸出関連セクターが上昇したものの、ホットマネーの流出や、銀行などが抱える人民元建て資産の価値下落に対する警戒感が広がった

上海総合指数 15分足(SBI証券提供)

上海総合指数 15分足(SBI証券提供)

セクター別では、保険と銀行が全面安。証券、空港も売られた。一方で輸出増期待から繊維・アパレル、貿易関連が買われたほか、小売り、非鉄金属が上昇した。

A株市場では、中国工商銀行(601398)や中国人寿保険(601628)など金融株が総じて売られ、相場の重荷となった。中国航空大手の中国東方航空(600115)、中国南方航空(600029)、中国国際航空(601111)はそろって急落。鉄道車両メーカーの中国中車(601766)、鉄道インフラ建設の中国鉄建(601186)も大幅に下げた。一方でエネルギー資源株のペトロチャイナ(601857)、中国神華能源(601088)が上昇。金鉱株の紫金鉱業集団(601899)は制限値幅の上限(ストップ高)まで買い進まれた。アリババグループの出資が明らかとなった蘇寧雲商集団(002024)、政府系証券金融会社がA株の3位株主となった中聯重科(000157)もストップ高を付けた。

上海B株指数は0.36%安の365.87ポイント、深センB株指数は0.32%安の1242.49ポイントとともに3営業日ぶりに反落した。不動産デベロッパーの江蘇新城地産(900950)、航空会社の海南航空(900945)、山東航空(200152)などが売られた。

【DZH】中国株マーケット&ニュース』(2015年8月11日号)より一部抜粋
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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