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新生・村上ファンド「C&I」が気づかせた“新陳代謝”の重要性=公認会計士・平林亮子

かつてニッポン放送株の取得をめぐり、話題を集めた「村上ファンド」の村上世彰氏。その村上氏の娘、村上絢氏がCEOを勤めるプライベートファンド運用会社で、一部メディアからは『新生・村上ファンド』とも言われる「C&Iホールディングス」による黒田電気への株主提案が行われたのは今年6月のこと。8月21日の臨時株主総会で、村上世彰氏を含む4名を社外取締役にするよう求めるこの提案は否決されたものの、公認会計士の平林亮子さんは、今回の一連の騒動から「新たな流れ」を感じたと言います。

新生・村上ファンド「C&I」は企業のありかたに一石を投じた

「モノ言う株主」が沈黙を破り表舞台に帰ってきた

最近になって、2004年ごろによく話題になったあのファンドの名前を、また耳にするようになりました。そうです。村上ファンドです。株の取得により得た主導権を武器に、モノ言う株主として企業に対して様々な発言をするようになりました。ところが、2006年、ニッポン放送株の取得を巡り、インサイダー取引を行ったとして代表の村上世彰氏が逮捕され、表舞台には姿を見せていませんでした。

しかし、2015年になって、村上ファンド系の投資会社で、村上氏の自己資産を運用するC&Iホールディングス(以下、C&I)が大きな動きを見せたのです。大阪の電子部品商社である黒田電気株式会社(以下、黒田電気)に対し、かつて村上ファンドを率いた村上世彰氏ら4人を社外取締役に選任するよう株主提案をしたのです。なお、C&Iの経営者は、村上世彰氏のお嬢さんです。

2015年6月末、C&Iから黒田電気に、臨時株主総会招集の請求に関する書面が届きます。年に1回行う必要のある定時株主総会は、既に開催済み。つまり、C&Iからは、それとは別に株主総会を開き、提案した取締役についての決議を取れ、という要求がつきつけられたということです。

ちなみに、株主総会は、年に1回の開催は必須なのですが、その他、いつでも何回でも、必要があるときには招集することが可能です。年に1回の必須のものを定時株主総会、それ以外は臨時株主総会といいます。

通常、招集は取締役によって行われますが、一定期間、一定数の株を保有している株主は取締役に対して招集を請求する権利を持っています。そして、取締役が8週間以内にこの請求に応じない場合には、裁判所の許可を得てこの株主自ら株主総会を招集することができます。

黒田電気は、6月末の株主からの提案を受け、臨時株主総会の招集を決定します。臨時株主総会に出席できるのは、定時株主総会同様、「基準日」の株主です。黒田電気は、取締役会において2015年7月16日を基準日と定め、7月28日には、ウェブ上にて臨時株主総会招集通知をリリース、8月21日に臨時株主総会開催、となりました。

株主側の要求は、新しい取締役の選任でしたが、その理由として、黒田電気のプレスリリースの中では、

請求人らは、当社が、株主の目線による適切なガバナンスがなされていないものと考え、今後3年間は利益の100%を株主還元することが十分可能であると考えており、M&A等を積極的に進めていくことによって、当社の現在の中期経営計画(2018年3月期 売上高4,000億円 営業利益130億円)の実現を前倒しするとともに、売上高1兆円企業の実現を推し進めていくことを目指すべきと考えていることから、これらの施策を推進していくのに相応しい社外取締役として前記記載の取締役4名を選任する議案を速やかに可決することが当社における株主価値最大化に資すると考え、臨時株主総会の開催を請求するとのことです
出典:臨時株主総会開催及び株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ[PDF]

と記しています。

株主提案は否決されるも「新しい流れ」は感じられる

結果は、株主提案否決で終了。報道によれば、議決権を行使した株主の約6割が反対したとのこと。黒田電気側も、当初から、株主提案に反対の姿勢をはっきりと見せていましたが、他の株主もそれを支持した、ということでしょう。

私は逆に、賛成もそれなりにいたことに、新しい流れを感じました。村上氏が社外取締役になることが、黒田電気にとって良いことかどうかはわかりません。ただ、黒田電気の取締役は、どうやらみなさん還暦前後。もう少し若い年代の方々が参画していくことも、大切なのではないかと思います。それは黒田電気に限った話ではありませんが、新陳代謝をしなければ、企業も衰えていくだけ。若年者を取締役にすれば解決する問題ではありませんが、そうした柔軟性を、どんな企業にも持っていて欲しいと感じます。

安易な会社の乗っ取りでは困りますが、こうした株主提案が、今後、もっともっと出てくるようになって、議論が活発になるのは良いことであると信じています。

『平林亮子の晴れ時々株主総会』vol.26(2015年9月21日号)より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による

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