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黒田バズーカ3に期待できない今の相場でも、財政出動は直ちに効く=山崎和邦

「GDP600兆円」達成可能論。だが何か1つでも欠ければ――

名目GDP600兆円は達成可能という高橋洋一氏の意見がある。彼も大蔵省10新にしては異端児の方だ。そのための条件は以下である。

  • 20兆円の補正予算
  • 10%消費税増税の凍結
  • 日銀法を改正しインフレ目標3%

第1次アベノミクスでは足りなかったからさらに増強を図ろうという提案である。これから100兆円規模に異次元緩和を拡張しようということである。

筆者が思うに、高橋洋一氏の言う通りやってもできないであろう。平成になって1991年以降は3%成長は1回もなく、潜在成長率(実力)は0.5%くらいで好意的なIMFさえも0.8%限度である。

3%成長を5年間連続して1年の例外もなく遂行しなければ、今の490兆円が5年先に600兆円になることはないのだから、まず無理である。

だが、ひょっとしたらできる方法もあると思う。

「490兆円×1.03の5乗≒600兆円弱」だから、(1)20兆円を全部財投に回せばケインズの乗数が掛るから23兆円くらいの効果になって効くし、(2)消費増税を止めて、財政再建の一時は辞めて経済成長に邁進し、(3)農政改革を一挙にやって農協をつぶし農産物輸出をオランダ並みに10兆円にする――

そうすればできるかもしれない。財務官僚出身の高橋先生は、財政再建を棒に振って成長に邁進すると言うのだから「見上げた人」である。

財政再建は、高度成長の結果で自然に税収が増えて、さらにドル円相場が250円になれば国の外貨資産も倍になるから自動的に可能となる。このくらいの思い切った政策を打てば2020年600兆円は可能だろう。しかしこのうちの1つでも欠ければ絶対にできない。

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山崎和邦(やまざきかずくに)

山崎和邦

1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。

大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。

趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。

著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。

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