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IPOしたマクアケの成長に必要なものは?選ばれるクラファンプラットフォームになれるか

思考実験──片づけるべき用事とは

『ジョブ理論』によれば、以下の問いに答えることで用事をより具体化できるようになる、としています。

1.その人がなし遂げようとしている進歩は何か。求めている進歩の機能的、社会的、感情的側面はどのようなものか。

2.苦心している状況は何か。誰がいつどこで何をしているときか。

3.進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か。

4.不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。ジョブを完全には片づけてくれない商品やサービスに頼っていないか。複数の商品を継ぎはぎして一時しのぎの解決策をつくっていないか。

5.その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のために引き換えにしてもいいと思うものは何か。

出典:『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(第2章 プロダクトではなく、プログレス)

用事の特定

イノベーションを起こすための最初のステップは、ある状況下で顧客がなし遂げようとしている進歩を特定することです。そして、その進歩には機能的、感情的、社会的側面があり、どれが重視されるかは文脈によって異なってきます。また、用事を特定することにより、真の競合相手もみえてきます。では、同社の場合はどうなるのでしょうか。

今回は、同社が課題とする「認知度向上とブランド力の強化」を取り上げます。同社はそれを次のように認識しています。

当社が成長を維持するためには、ユーザーに選ばれるプラットフォームであり続けることが重要であると認識しております。引き続き、魅力あるプロジェクトの継続的な発掘、ユーザーの満足度の向上を図るとともに、積極的なPR活動等による、「Makuake」のさらなる認知度向上とブランド力の強化に取り組んでまいります。さらに、これらの取り組みにより1次流通市場に潜んでいる新製品・新サービスのマーケットデビュー市場「0次流通市場」を創出、拡大してまいります。また、小売業者や大手流通業者との連携も進め、マーケットデビューを行った製品の販路拡大についても提供していくことを想定しております。

着目したいのは、「マーケットデビューを行った製品の販路拡大」であり、それとつなげるのは「アウトドア豆炭こたつ」です。エスオーナインのHPによれば、それは次のような特徴があります。

・熱源は電源不要の「豆炭こたつ」
・アウトドアに最適化された設計
 ー アウトドアで映える八角形の天板
 ー 片手で持ち運べる10kg*の軽量設計
 ー 折畳み時の厚さ6cm
・天然木素材のみを使用
・ウレタン塗装済み(天板表面は厚塗り仕様)

アウトドア豆炭こたつを雇うとする顧客がなし遂げようとする進歩の機能的側面は「体を温める」ということ。感情的側面として「魅力」「癒し」、社会的側面として「つながりの提供」「製作者への共感」といったことを重視するでしょう。

なお、同社は競合を次のように認識しています。

当社が事業対象とする領域においては、多数のクラウドファンディング事業者が参入及び事業展開しており競合関係にあるほか、一部の既存Eコマース事業者との間でも事業サービスにおける競合等が生じております。

当社は、事業開始以降においてプロジェクト実績を積み上げることにより、コンサルティング及びマーケティング等にかかるノウハウ等を蓄積するほか、当社サービスの認知度及び信頼性向上を推進しており、今後も各種施策による競合事業者との差別化を図っていく方針であります。

しかしながら、今後における競合事業者の業容拡大や国内外の新たな事業者参入等により競争が激化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

Next: マクアケがすべきは、誰も知らない商品を広める手段を増やすこと

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