「英雄の末路、哀れむべし」か。日銀の行く末
現在の日経平均が大天井から1割下でとどまっているのは、もちろん日銀によるETFの買いがテコ入れになっているからだ。長期的に見れば非常に不自然な相場である。
結果的に上値は重いし下値も深くはないということになる。投資妙味がない相場となった。健全な資本市場ではないと言える。
アベノミクス相場は期待先行の金融相場から始まった。何事も大相場というものはそういうものだ。
その時に日銀の黒田総裁は英雄視された。アベノミクス相場の青春期の米フォーブス誌(だったと思う)のアンケートによれば「世界で最も影響力のある人物」は1位がプーチンで4位が黒田総裁だったことがあった。その後も、フォーブス誌のアンケートでは、日本人では黒田が最も順位が高かった。
当時は黒田総裁の記者会見は「黒田バズーガ砲」と言われ、2014年10月末の連休前の黒田会見は壮年期相場の活況を演出した。「黒田バズーガ砲第2弾」と内外で騒がれた。
しかし前述したように日本の株式市場は不健全な資本市場となった。国民年金の原資を運用するGPIFは25%を株式で運用することも安倍政権は決めた。
それと日銀のETF買いが結果的には日本株式市場を下支えした。こういう人工的なものは不健全さを招く。そして日本だけが出口戦略に最も遅れた。
2年前の年末にジャーナリスト嶌信彦氏とのパネル・ディスカッションで筆者は幕開けの基調講演を依頼されて、「英雄の末路、哀れむべし」として日銀の行く末を述べた。
シーザー・ナポレオン・源義経・織田信長を列挙して英雄の末路は悲劇で終わると述べ、後年の現代金融史では黒田さんは国賊扱いされるのではなかろうかと危うんだ。
まだそこまでは来ていないが、これからの日銀はどうなるのか、これからのGPIFはどうなるのか、これからの日本市場はどうなるのか、長期に見ればそういう懸念がある。
小池都知事、任期満了まで持たない?
小池都知事の再選は株式市場にはまったく影響がないが、任期満了まで持たない可能性がある。
故にこれまで本稿ではテーマとして扱わなかった。相変わらずのパフォーマンス政治に終始し、今後4年間の公約や過去4年間の実績についての議論もなく、コロナに注意しましょうということだけに話をそらせて、選挙前の党首討論もなく、コロナ問題のワンマンショーを演じて選挙対策として選挙は終わった。
最初から最後まで劇場型政治を貫徹している。
ただ選挙は多数決だから票が集まった者が当選する。だからトランプが再選されそうだという話しにもつながる。これは大きい。だが、小池都知事の話しは大きくない。
彼女が任期満了まで務められるかどうか不明である。「絞り込む」「差別する」「排除する」の言葉だけをマスメディアが独り歩きさせて国政の政治生命を喪失した、彼女の傲慢さの表れと見る。あれと似た事件はいつでも何度でも起きえるであろう。
現に自分でもそれを感じているらしく、テレビ東京の番組で池上彰から「任期を全うするのか」と問われたら返答を避けた。「健康をしっかり守っていきたいです」と話をそらせた。パフォーマンスオンリーの政治には寿命が近いことを自覚しているのであろうか。
こういうのを選ぶ都民のレベルも怪しい。こういう憎まれ口を言いまくる筆者含めて、だ。