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なぜ米国民は銃と食料を買い漁る? 大統領選後の「最悪シナリオ」=高島康司

米下院の議決が最終決定

トランプが敗北宣言をせず、法廷闘争が続いた場合、決着はつく方法はあるのだろうか?

米最高裁が判断を下すとも言われているが、実はそうではない。最高裁は大統領選挙の勝者と敗者を決める権限はなく、選挙の手続きの不備について判断をするだけだ。それもその決定には強制力はない。勝者と敗者の最終決定がゆだねられるのは、実は米下院である。

合衆国憲法の規定では、選挙で結果が明確にならなかった場合、各州に1票ずつ割り当てられ、下院が大統領を選出する投票を行うことになっている。いまの議席数では民主党が232議席、共和党が198議席で民主党が過半数を握るが、多数派の党が州の代表になるので結果は異なってくる。州ごとだと共和党が26州で民主党は22州だ。現行の議席数であれば、共和党は過半数を得ている。

いまのところ最悪なシナリオは、トランプが敗北を認めず1月6日までに決着がずれ込むことである。そうなる可能性は決して否定できない。

この間、トランプ支持と、これに反対するバイデン支持の過激な武装勢力がアメリカ各地で暴力的に衝突する可能性もある。まさに内戦という言葉が当てはまるような状況だ。

銃が売れている?アメリカ国内で起こっていること

そのような状況で、いまアメリカ国内でなにが起こっているのだろうか?日本ではあまり報道されていない状況を紹介しよう。

まず首都ワシントンだが、厳戒体制になっている。ホワイトハウスに近い目抜き通りの商店街は、暴動の発生を恐れ、入り口とショーウインドウを板張りにしている。これはワシントンのみならず、全米の大都市でも同じような状況だ。カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州で特に増えているようだ。

また、ワシントンのホワイトハウスから徒歩10分程度の距離に「ジョージ・ワシントン大学」という名門校がある。ここでは大学当局が全学生に一週間の食料を備蓄しておくように勧告している。理由はワシントンで暴動や武力衝突が発生した場合、食料の流通が滞ったり、食料を買いに行けなくなる可能性があるからだという。事実、ワシントンやニューヨークなど、全米のいくつかの大都市ではスーパーからものがなくなっている。

アメリカでは新型コロナウイルスのパンデミックが始まった当初、トイレットペーパーのパニック買いが発生して店から商品がなくなったことがあったが、同じことが起こっている。ただし、買い占められている商品はトイレットペーパーではない。今度は、暴動と混乱に備えるために食料、そしてキャンプに使う製品などが買われている。キャンプ製品は、電気や水道などの遮断を想定した動きだ。

また治安部隊としての州兵の動員も進んでいる。州兵とは各州の知事の権限で動員ができる治安部隊のことだ。選挙による混乱や暴動、そして武力衝突の発生を恐れた知事がすでに州兵の動員を行っている。まだ数は数は少ないが、いまの時点で全米で4,000人程度がすでに動員された。

さらに、全米の大都市圏を中心に前例がない銃の売れ行きを記録している。暴動や武力衝突に備え、自衛の必要性を感じている人々が多くなっているからだ。特にどの州でも、これまで銃には関心がなかった女性の購入が増えている。

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