いま日韓関係で何が起きているのか。韓国の地裁が元慰安婦裁判で、日本政府に賠償命令を出した記事を特集したい。すで判決が出た1月8日から10日余りが経過しているので、その後の動きも紹介しよう。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2021年1月17日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慰安婦被害者にそれぞれ950万円 日本政府へ賠償命令
8日、韓国のソウル中央地裁で旧日本軍の元慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟の判決があり、元慰安婦の女性らの訴えが認められた。
それによって、日本政府は各950万円を賠償することになった。
概要はこのような感じだ。これがどうして日韓関係をさらに最悪な状態にしたかというと、国際法上の「主権免除」の原則を否定した異例の判決であるという点だ。
この主権免除とは、国際民事訴訟において、被告が国または下部の行政組織の場合、外国の裁判権から免除されるもの。だから、日本政府は主権免除に従って、裁判に参加もしていないのだ。
つまり、日本の言い分などまった聞かず原告だけの訴えで勝手に裁判が行われたあげく、日本政府への賠償命令が下った。
下級裁判の判断を高位の裁判所に判断を仰ぐ「上告」という制度はあるが、この場合は使えない。なぜなら、上告すれば韓国側の主張を認めたことになるからだ。
そのため、これで上告もなく刑が確定する。日本政府は慰安婦被害者たちに950万円ずつを払えということ。払わない場合は、日本政府が韓国に所持している資産を差し押さえが可能としている。
訴えを棄却しない韓国裁判所の異常さ
それよりも深刻なのは、韓国の裁判所が「主権免除」を理由に、訴えを棄却しなかったことだ。
まさに「国民情緒法」という韓国だけの斜め上に従ったものである。そして、韓国政府は「司法の判断を尊重」するという考えで、徴用工問題と同じく他人事である。
しかも、日本人を完全に怒らせておいて「対話」しようと言い出す始末。当然、日本政府は大変遺憾とか、結果を受け入れられないとか、いつものように述べているのだが、韓国に報復措置を取らない限りは相手に舐められたままだ。
韓国は「司法が勝手にやった」という言い逃れしかしないだろう。
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