一時期、大きな注目を集めて株価も大きく上昇していたサンリオ<8136>ですが、ここに来て株価が下落しています。今回は、長期的な観点からサンリオが今後どのような状況になりそうか、そして足元で株価が下がっている原因について解説します。サンリオに興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
サンリオ株価の現状と変動の背景
<2024年初頭からの株価推移>
サンリオの株価は、2023年から特に2024年にかけて大きく上昇しました。2024年の半ばには約3,000円だった株価が、一時期は8,000円を超える水準にまで上昇しました(約2.5倍の上昇)。しかし、足元では下落し、現在は約5,300円となっています。

サンリオ<8136> 週足(SBI証券提供)
<株価変動の一般的な要因と注目銘柄のリスク>
株価が大きく上がった銘柄は、どこかで反転して下がるのが一般的です。特にサンリオのように注目度の高い銘柄は、ボラティリティ(アップダウン)が大きくなる傾向があります。
また、株価が上昇した結果、割高になりすぎたという側面も考えられます。その状態で、成長鈍化などを示す少しでも悪い材料が出ると、株価は下がりやすくなります。
投資家として留意すべき点として、大きく上昇し注目を集めている銘柄ほど変動率が大きい点です。成功すれば大きな上昇益を得られますが、少しのミスで大きな損失を計上する可能性があるため、注目されている銘柄ほど慎重になった方が良いと言えます。
株価急上昇を支えた実態と経営改革
サンリオのこれまでの株価上昇は、単なる人気化やテーマ的な上昇ではなく、実態を伴うものであったと考えられます。これは過去の業績推移を見れば明らかです。
<長期的な業績の変遷とコロナ以降の急伸>
2001年からの長期的な業績推移を見ると、サンリオは長らく低迷していました。営業利益は赤字すれすれになったり、一時的に回復してもまた下がるという繰り返しでした。

出典:マネックス証券
しかし、コロナ禍以降、特に2022年からは利益が急激に伸びており、グラフで見ても急上昇していることがわかります。
<辻社長による経営改革と戦略転換>
この急成長の背景には、サンリオの経営改革が間違いなく存在します。特に、創業者の孫にあたる現社長の辻さんが就任して以来、サンリオは大きく変わりました。
新たな戦略は、「サンリオのキャラクターを活かし、その価値を増大する」という一点に全振りしたものです。
<キティちゃん依存からの脱却とIP多角化戦略>
かつてはハローキティが大人気でしたが、ブームとしては落ち着いている状況でした。しかし、現在のサンリオは、キティちゃんだけでなく、ポムポムプリンやマイメロディなど、他のキャラクターの人気が非常に高まっています。総選挙なども行われ、ある意味でキャラクター間の熾烈な争いが繰り広げられています。
業績拡大の秘密は、キティちゃん一人に任せるのではなく、様々なキャラクターがそれぞれ「何十周年」といったイベントを起こすことで、次から次へと話題を提供できるようになった点にあります。直近のキティちゃん50周年に加えて、キティちゃん以外のキャラクターが生きてきたことが、成長の大きな要因です。
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