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過去最高益・株価急騰「サンリオ」は買いか?強さの正体と長期投資家が見るべきリスク=栫井駿介

サンリオ<8136>について、その業績と将来性を徹底的に解説していきます。2026年2月12日に発表された決算を受け、翌13日に株価がストップ高を記録するなど、市場で大きな話題となっています。サンリオの現状を分析することは、単に一企業の動向を知るだけでなく、投資全般において「どのような視点で銘柄を評価すべきか」という本質を学ぶ絶好の機会でもあります。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

過去最高益を更新し続けるサンリオ

かつて2024年から2025年にかけて大きく上昇した株価は、一度ピークを打ってから半値近くまで下落するという厳しい調整局面を経験してきましたが、今回の決算によって一気に底打ちから反転の兆しを見せています。

サンリオ<8136> 日足(SBI証券提供)

サンリオ<8136> 日足(SBI証券提供)

今回の2026年3月期第3四半期決算の内容は、まさに「絶好調の極み」と言えるものでした。

連結累計で売上高は前年同期比36.7%増、営業利益に至っては51%増という凄まじい数字を叩き出しており、売上・利益ともに過去最高を更新しています。

投資家として気になるバリュエーションですが、株価が急騰した後であっても、PER(株価収益率)で見れば約25倍という水準にあります。
この数字だけを捉えれば、今の凄まじい成長率に対して決して法外な割高感があるわけではない、という見方も十分に可能です。

しかし、この「数字上の好調さ」の裏側で、なぜ株価はこれまで低迷していたのか、その背景を理解しておく必要があります。

業績絶好調でも、なぜ株価は半値近くまで下がった?

業績がこれほど好調であるにもかかわらず、サンリオの株価は2025年の後半をピークに大きく値を下げていました。

この要因の1つとして挙げられるのが、株式市場全体における「IP(知的財産)テーマ」への期待の変化です。

2024年から2025年前半にかけて、サンリオや任天堂、ソニーといったIPを武器にする銘柄は、相場の大きなテーマとして非常に強く買われてきました。
しかし、その期待が一巡したことで、テーマ全体の反落という流れに飲み込まれてしまった側面があります。
いわば、個別の業績とは別に「IPブーム」の調整という大きな波にさらされていたわけです。

さらに、中国経済の停滞やポップマートといった中国発の玩具ブームの沈静化、あるいは中国人観光客の減少といった外部要因も、サンリオに対する投資家心理を冷え込ませる一因となっていました。

中国人観光客の減少は業績にどう影響しているのか

多くの投資家が懸念していた要因の一つに、インバウンド需要、特に中国人観光客による消費の減少がありました。
しかし、今回の決算説明会で語られた具体的な数字は、その懸念が「実態以上に膨らんでいた」ことを証明しました。

具体的にサンリオ単体の物販売上の内訳を分析すると、全体の売上が約200億円ある中で、店舗での売上は約4割、すなわち80億円程度です。
さらにその店舗売上のうち、インバウンド需要が占める割合は約3割、金額にして24億円ほどです。
そして、そのインバウンド需要の中で中国からの顧客が占める割合はさらに3割程度に過ぎません。

計算すると、中国人観光客による直接的な影響額は7〜8億円程度であり、サンリオ全体の巨大な収益規模からすれば、決して致命的な影響を及ぼすものではないことが明らかになりました。
この「インバウンド懸念の払拭」も、今回の株価反転を支える大きな要因となっています。

Next: ブーム終焉にどう対処する?サンリオ改革の行方と今後の勝負どころは…

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