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IDEC、不測の事態に「人の命を守る」製品を開発 安全装置「イネーブルスイッチ」はグローバルシェアNo.1を獲得

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2026年3月8日にログミーFinance主催で行われた、ログミー IR Meet 2026春 第4部・IDEC株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

会社概要

元山理映子氏(以下、元山):IDEC株式会社コーポレートコミュニケーション室長の元山です。私からは、会社の概要についてご説明します。

IDEC株式会社は1945年11月に創業し、2025年11月に80周年を迎えた制御機器メーカーです。

IDECの有名人

元山:IDEC株式会社という社名をご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、当社には有名人が1人います。TBS系列の『SASUKE』という番組で、完全制覇を達成した「サスケくん」が、当社のエンジニアです。

番組は毎年年末に放送されていますが、当社のロゴがプリントされたTシャツを着て出場しています。次回放送時には、ぜひ応援いただければと思います。

At a Glance

元山:IDECは制御機器メーカーですが、どのようなことをしている会社なのか、社名からはイメージしづらいかもしれません。

当社では人と機械の接点となるヒューマン・マシン・インターフェース分野を「HMI」と呼んでおり、このHMI分野のグローバルリーディングカンパニーとして、さまざまな製品を世界に広く展開・販売しています。

創業当時から当社の主力製品である産業用スイッチは、国内でNo.1のシェアを獲得しています。

パーパス・経営理念

元山:当社は「人と機械の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現する」というパーパスを掲げ、さまざまな取り組みを推進しています。

グローバルネットワーク

元山:近年、グローバルでの事業強化を進めており、日本をはじめとするアジア、欧州、米国など、世界各地に拠点を整備して事業を展開しています。

事業概要

元山:こちらのスライドには当社の5つの事業を示しています。

事業の名前や製品をご覧になっても、それがどのような場所で、どのように使われているのか、想像しづらいかもしれません。実は、みなさまの身近なところでも使用されています。

さまざまなシーンで活用されるIDEC製品

元山:当社の製品はロゴが見えないため、一見してわからないことも多いのですが、オフィスビルの管理や、エレベーターの制御、公共交通機関・駐車場の安全確保などに使われていることがあります。ただし、最も多く使用されているのは工場などの生産現場です。

さまざまなシーンで活用されるIDEC製品

元山:生産現場では、大きく分けて2つのケースがあります。

1つ目は、工場の生産ラインの制御などで使用されるケースです。例えば、自動車や電子機器の生産ラインでは、ライン全体を制御・操作するために、さまざまな電気部品が組み込まれた制御盤が必要になります。この制御盤には、さまざまなIDEC製品が組み込まれています。

また、製品を組み立てるために使用する産業用ロボットや、大型機械と人の接触事故を防ぐための安全装置として、生産ラインに搭載されるケースもあります。

さまざまなシーンで活用されるIDEC製品

元山:2つ目は、生産ラインではなく、装置自体を制御するケースです。例えば、スマートフォンなどを生産する際に欠かせない半導体製造装置などにも、多くのIDEC製品が組み込まれています。

このような機械は工場内に設置されているため、実際に目にする機会はほとんどないと思います。しかし、みなさまが日常的に使用しているスマートフォンや自動車などを製造する工程で、IDECの製品が数多く活躍しています。

IDECの強み

元山:さまざまな場所で活躍するIDEC製品は、不測の事態が起きても「人の命を守る」というコンセプトで企画・開発を行っています。

さまざまな業界のお客さまのニーズにお応えするため、幅広い製品ラインアップを取りそろえています。

各製品は小型ですが、壊れてしまうとラインの停止や産業事故につながる可能性があるため、お客さまからの品質・安全性への要求は非常に高くなります。そのため参入障壁が高く、一度信頼を得て採用されると、継続的に使用されるケースが多い点が特徴です。

IDECの強み

元山:IDECの製品は、豊富なラインアップ、高い安全性、品質、信頼性を背景に、高い市場シェアを獲得しています。

特に、安全装置として多くのロボットにグローバルで搭載されているイネーブルスイッチは、90パーセントのシェアを獲得しており、国内・グローバルともにシェアNo.1の製品です。

例えば、装置やロボットなどを緊急停止するために使用される安全装置として、非常停止用の押ボタンスイッチがあります。高い品質を備えるだけでなく、例え壊れたとしても安全側に壊れる当社独自の技術を採用することで、高いシェアを獲得しています。

工場以外でもこれらの製品が多くの場所に搭載されており、みなさまも見かけたことがあるかもしれません。実際に押す機会はなかなかないと思いますので、会場にいらっしゃる方は、ぜひブースで実際に触れてみてください。

HMI-X推進による事業の強化

元山:現在、当社では「HMI-X(Human-Machine Interface Transformation)」というコンセプトを掲げて事業を推進しています。

時代の変化に応じて、IDECの強みであるHMIや安全に関する技術、ノウハウを活かし、「HMI-X」をリードする取り組みを進めています。

HMI-X推進による事業の強化

元山:「HMI-X」を実現する製品やソリューションの事例です。時代の移り変わりに伴い、顧客ニーズが変化しているため、多様なニーズを満たすためのラインアップやソリューション提案を強化しています。

事業強化に向けた取り組み

元山:既存事業とシナジーが見込める領域で、M&Aなども積極的に行っています。

2017年にフランスのスイッチメーカーであるAPEM社を買収したことで、収益性が高い主力のHMI事業の構成比が向上しました。もう1つの注力分野である安全事業や、センシング事業についても強化を進めています。

注力業界

元山:IDEC製品は幅広い業界でご利用いただいていますが、特に注力しているのは、グローバルで成長が見込める業界です。

例えば、工作機械や半導体製造装置、自動車業界などが挙げられます。これらの業界では、ほとんどの大手企業と取引があり、多くのみなさまがよくご存じのメーカーが当社のお客さまとなっています。

中期経営計画(2025-2027年度)

元山:現在、2025年度からスタートした3ヶ年の新中期経営計画を推進中です。「新生IDEC」として、顧客志向で高収益を実現する企業へと生まれ変わるために、グローバルでさまざまな構造改革を推進しています。

業績の推移

元山:直近の数年間は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で市場が混乱し、業績が大きく変動しましたが、今年度から回復フェーズに入っています。中期経営計画1年目にあたる今年度は、計画を上回る水準で第3四半期まで推移しています。

2027年度には、売上高770億円以上、営業利益率13パーセント以上を達成することを目指し、引き続き構造改革を推進していきます。

配当について

元山:配当については、成長に必要な投資を行いながら、積極的かつ安定的な配当を継続しています。今期の上期配当は65円で、年間配当は130円を予想しています。

質疑応答:競合環境や競合他社に対する優位性について

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):基本的な質問となりますが、競合環境および競合他社との比較における強みについて教えてください。

元山:当社事業における競合会社には、それぞれの事業分野で強みを持つ企業が異なるという特徴があります。例えば、HMI、PLC(プログラマブルコントローラー)、タッチパネル、リレー、安全機器といった分野において、それぞれ強みを持つ企業が異なります。

しかし、当社と完全に同じような事業を推進している企業は存在しないため、それぞれの領域で当社の強みを活かした展開を行っています。

もともと当社の祖業は制御機器であるため、制御の観点から見ても、スイッチや安全関連機器は最も収益性が高く、IDECの特徴を活かした強みを発揮できる領域と言えます。

具体的には、スイッチの国内シェアはNo.1であり、ロボットに搭載される安全装置の1つであるイネーブルスイッチにおいても、国内およびグローバルでNo.1のシェアを持つ、非常に特徴的な製品となっています。

イネーブルスイッチに関しては、当社が国際規格を取得していることで、グローバルでも高いシェアを獲得できている背景があります。

質疑応答:イネーブルスイッチの需要増のタイミングについて

Ken:イネーブルスイッチについてあまりイメージがわきません。ロボットに搭載されるとお話がありましたが、設備投資が増えるタイミングで御社の売上が立ちやすくなるのでしょうか?

元山:さまざまな業界のお客さまに採用いただいていますが、やはり工場などの設備投資需要に連動する部分も大きいため、ロボット、工作機械や半導体製造装置、さらには各種工場の製造ラインなどの設備投資需要が増加すれば、当社の業績もそれに連動して上昇しやすい背景があります。

Ken:非常にシェアが高い製品が多いと思いますが、競合環境を見ても、現時点ではシェアを脅かすような競合が現れていないという理解でよろしいでしょうか?

元山:おっしゃるとおりです。スイッチのシェアに関しては国内では当社がNo.1を維持しており、さらに強化できる領域だと考えています。

今後はグローバルでのシェアをさらに伸ばすべく、さまざまなグローバル戦略や製品の強化にも取り組んでおり、国内はもちろん、グローバル市場のシェアをより一層拡大していきたいと考えています。

質疑応答:各事業の主要顧客について

Ken:各事業の主要顧客について教えてください。

元山:当社の特徴の1つとして、特定の業界に依存していない点が挙げられます。スライドに記載の8つの業界が、現在注力している業界です。

例えば、HMIの主力製品であるスイッチについても、特定の業界、例えば半導体業界や自動車業界だけに使用されているわけではありません。それぞれの業界でさまざまな製品が使用されています。

自動車の生産ラインでは、制御盤にスイッチ、リレー、端子台、PLCなど、さまざまな製品がケース・バイ・ケースで使われています。お客さまのニーズに応じて使用される製品も異なっています。

質疑応答:中期経営計画の進捗について

Ken:中期経営計画についてですが、現在、御社の利益率が向上しており、コストダウンや構造改革がかなり効果を発揮しているのかと思います。この足元の進捗について教えてください。

小川泰幸氏(以下、小川):IDEC株式会社グローバルファイナンス本部本部長の小川です。

今年度からスタートした中期経営計画では、さまざまな改革に取り組んでいます。当社は創業80年の歴史ある企業ですが、「新生IDEC」という考え方のもと、意識を新たに取り組んでいます。

その背景には、特に制御機器市場において、国内よりも海外の成長率が非常に高い現状があります。当社は日本において安定したシェアを持っていますが、海外展開を進めるためにグループ化や買収など、さまざまな取り組みを行ってきました。

その一環として、それをより実現し、成長につなげるために、今年度から経営体制を見直し、機能ごとにグローバルの責任者がリードする体制を推進しています。

この結果、グローバルの責任者が各リージョンの声を聞き、それに対応する体制が徐々に定着しています。例えば、R&Dや生産においても各地のニーズに迅速に対応できる仕組みが整いつつあります。

また、中期的な取り組みの一環として構造改革を進めています。国内においては、さまざまな産業の成長率を考慮しつつ、リソースを効率的に活用しながら運営するために、2025年にセカンドキャリア支援制度の拡充を進めました。

その一方で、グローバル人材の強化も推進し、海外への積極的な投資も積み重ねています。それらの取り組みが徐々に浸透し、現在の成果にも結びついてきています。

質疑応答:中期経営計画達成のポイントについて

Ken:中期経営計画における2027年度の目標として、売上高770億円以上、営業利益率13パーセント以上が掲げられています。あらためて、達成に向けたポイントについて教えてください。

小川:当社はこれまでにさまざまな改革を進めてきましたが、直近では新型コロナウイルス感染拡大の影響により、市場が非常に混乱し、パニックバイの状態となるケースもありました。その結果、先行受注が多く発生したことで流通の在庫が増加し、その在庫消化に時間がかかる状況もありました。

現在は、構造改革の一環としてグローバルのニーズをしっかりと把握し、需要動向に応じた対応体制を整えています。また、流通在庫やエンドユーザー在庫の水準もある程度正常化しています。

一方で、制御機器市場は安定的な成長を続けています。今年度の進捗においても当初の計画を上回るペースでの成長を達成しており、順調に推進できています。

さらに、中期的な取り組みとして、グローバルでのR&D体制について見直しを進めています。これまでは日本やフランスを中心とした開発体制がベースでしたが、成長のドライバーとして重要になっている米国市場への投資を積極的に進めています。

その取り組みの一環として、会社や拠点の統合を図っています。米国市場に合った製品を現地で企画・開発・生産できる体制を整備していますので、成長を続けている米国市場をさらに取り込むことができると考えています。

このように、米国市場は中期的な成長の1つのドライバーとして位置付けており、中期経営計画の中では収益性が最も高い市場になっています。

Ken:米国市場が現在成長しているのは、政府による国内投資が多く行われていることが追い風となっているのでしょうか?

小川:もともと米国市場自体が経済成長している状況に加え、非常にインフレが進行している中で、産業への投資では可能な限り自動化・効率化を図り、効率的に製造を進める必要性が高まっています。

そのような背景から、制御機器についても安全かつ効率的に製品を製造する必要性が増しており、それが当社の米国市場における成長性や収益性の向上につながっていると考えています。

質疑応答:シクリカルな市場環境を踏まえた中期経営計画の考え方について

質問者:少し厳しい言い方になりますが、ビジネスモデルを拝見すると、資本効率の悪いグローバルシクリカルカンパニーと言わざるを得ないと思います。過去の業績を見ても、利益水準は一貫してシクリカルに上下している状況です。

米国市場が成長していると述べられましたが、一方で、中国や日本のように、それほど伸びていないリージョンもあります。

今後3年間で売上が720億円や770億円と成長していくのだと思いますが、全体として「本当にそうなのか?」という印象を受けざるを得ません。

米国が今後リセッションに入り、他のリージョンで成長する可能性もあるかもしれません。確かに現時点では米国市場は伸びているかもしれませんが、シクリカルな視点で考えると、その成長も数年後には減少する可能性が高いと考えられます。

このような状況下で、非常に楽観的な中期経営計画が発表されており、投資家や株主に対してどのようなメッセージを発信しようとしているのかが明確ではありません。その点についてどのようにお考えか、ご意見をうかがいたいと思います。

小川:中期経営計画では、1つの取り組みとして、これまでのシクリカルな状況を踏まえつつ、事業の集中と再編をテーマとして掲げています。

当社が行っている事業の中には、成長性や収益性が高いものもあれば、そうでないものも存在します。昨年度には、事業の一部について事業譲渡を実施しました。このように、収益性の高い事業やシナジーのある事業に集中する取り組みを進めています。

また、当社事業にはHMIや安全機器の事業があります。このHMI市場には操作スイッチやタッチパネルなど、さまざまなバリエーションがあります。

もともとは日本をベースに事業を推進してきましたが、フランス企業の買収など、海外市場の強化を推進しており、HMIの分野については、安定した成長を遂げています。

さらに、当社がもともとカバーしていた市場だけでなく、それ以外の市場分野についてもグループ化しながら投資を進め、カバー範囲を拡大しています。産業分野に特化した部分にとどまらず、防衛分野も含む新たな市場を取り込む取り組みを進めています。

安全機器の分野では、当社は日本市場において非常に高いシェアを誇り、安定的で収益性の高い事業となっています。

現在はアジア市場の中でも、特に中国市場で安全機器のニーズが非常に高まっており、当社の製品採用率が向上しています。現地のロボットや工作機械メーカーにも当社製品を採用いただいており、当社のアジア市場における収益性も高まっています。

当社ではより成長率が大きく、より強みを発揮できる市場に特化して投資を行い、強化を図っています。その結果、収益性が徐々に改善されており、実績に現れています。今後もこれらの分野に一層フォーカスして取り組んでいく計画です。

一方で、収益性の低い事業に関しては事業譲渡を行っており、場合によっては合弁事業を通じて他社の技術を活用するなど、積極的な施策を展開しています。

既存の事業構造の改革を進める中で、「新生IDEC」というスローガンのもと、各リージョンや機能の責任者などのグローバル人材がトップに立ち、従来の延長線上ではなく新たな発想で取り組む体制を築いています。

非連続的な成長を推進しようというのが、今回の中期計画における当社の取り組みです。徐々にではありますが、これが成果につながることは十分に想定できると考えています。

質疑応答:グローバルでの事業展開と各市場での成長戦略について

荒井沙織氏(以下、荒井):「グローバル展開を加速されていますが、地域別の売上や利益の伸び、課題について教えてください」というご質問です。

日本、米国、欧州、アジアにおける状況について、違いなども含めてご回答いただければと思います。

小川:先ほどの説明でも少し触れましたが、各市場の市場環境は異なるため、当社が製品を展開している内容もエリアごとに異なっています。

日本市場については、当社が長い間取り組んできた分野であり、HMIにおいてはトップシェアを持っています。また、安全機器の分野においても非常に優れた収益性を実現しています。

一方で、日本市場は成熟した市場であり、成長が限定的です。そのため、当社はAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)のエンジンとなるような機器を展開しています。海外企業を買収することでシステム化やソリューションの提供を可能にし、当社の強みであるHMIや安全機器分野と自動搬送分野を組み合わせたソリューション提供を行っています。

コンポーネントにとどまらず、システム化されたソリューション提供を通じて、さらなる付加価値を高める取り組みを進めており、これにより日本市場での成長を実現したいと考えています。

アジア市場では、先ほども少し触れたように、安全機器の搭載率や採用率はこれまで低い状況にありました。しかし、現在はグローバルで人命や安全を確保する必要性や、その合理性が高まってきており、そこにコストが発生するという認識も浸透しつつあります。

その結果、アジア市場でも当社製品である安全機器の採用率が高まっています。アジア市場に適した安全機器を引き続き提供し、この地域での事業を推進しています。

また、インド市場を今後の成長ポテンシャルが非常に高い市場と捉えています。現在は拠点の設置や、インド市場向けに企画・開発・販売を行えるパートナーとの連携を進めており、インド市場での成長に向けた取り組みも進めているところです。

荒井:インド市場でのパートナーは、すでに見つけていますか?

小川:もともとインド市場への展開に際して、複数のパートナーを想定しながら進めてきた経緯があります。しかし、まずは自社でしっかりと地に足をつけ、販売ネットワークを構築することが重要だと考え、自社主体で取り組んできました。

パートナー候補としては複数挙がっており、次の展開としてインドでの製造や開発を行いながら展開を進め、パートナーと連携していくことを想定しています。

米国市場については、もともと当社のIDECブランドを日本およびアジアで開発・製造し、米国で販売するモデルを採用していました。一方、買収したフランスのAPEMブランドは、米国市場で企画から製造まで行う体制を整えていました。

今年度から、米国では2つの会社を統合し、拠点も集約して新たな新本社を設立しています。この体制により、IDECブランドもAPEMブランドも米国市場に適した製品の企画・開発・製造が可能となるよう体制整備を進めています。

これまで、IDECブランドとして現地ニーズに十分に対応した製品を提供できていなかったという課題がありましたが、新たな体制の中でこれを実現できるようになりました。この取り組みが、本年度以降の成長の源泉になると考えています。

欧州市場については、グループ化や買収以前は非常に限定的な売上規模でした。そのため、欧州の大手メーカーとのコラボレーションを通じて共同開発を行い、欧州市場を展開してきた経緯があります。

しかし、現在は欧州の会社であるAPEMをグループ内に取り込み、製造、開発、販売のリソースを大幅に拡充しています。非効率な部分が一部存在していますが、連結体制を見直しながらシナジーを生み、購買や製造の適正化を進めています。その結果、欧州市場の収益性も徐々に向上しています。

Ken:このビジネスでは、企画や製造、設計などは現地に拠点があるほうが、有利に働くのでしょうか?

小川:安全機器については国際規格が求められるケースが多く、そのような製品ではグローバルでの安全規格に対応していく必要があります。

また、各国にはそれぞれ必要な規格やルールがあり、その認証を受けなければ、販売することができません。そのため、現地の法律や規制に合わせた対応が重要になっています。

質疑応答:オートメーション&センシング事業の進捗とバーコードリーダーの売上動向について

質問者:それぞれの事業が安定して成長していると感じますが、オートメーション&センシング事業の進捗が少し気になっています。

資料には特に日本でのバーコードリーダーの売上減少が影響していると記載がありますが、その背景をお聞かせください。また、売上が底を打った状態なのかもあわせて教えてください。

小川:当社では「HMI-X」のコンセプトのもと、人と機械の最適な環境を構築するためのHMI製品を提供することが基本方針となっています。

現在、協働ロボットやAGV・AMRなどのさまざまな製品が産業現場に導入され、人と機械が協働する環境が増加しています。これに伴い、センシングやオートメーションへのニーズは急速に高まっています。

当社ではこの分野に関して他社とのコラボレーションも含めて積極的に進めています。具体的には、アルプスアルパイン社との合弁会社の設立や、海外企業との合弁事業などにも取り組んでいます。

バーコードリーダーに関しては、昨年度は日本において新紙幣対応のための需要が非常に高かったものの、一時的な需要が収束し、今年度はやや落ち着いた状況です。

しかし、バーコードリーダーやセンシング製品が使われるシーンは拡大しており、アプリケーションの増加に伴ってセンシング分野の需要も引き続き高まっています。中期的には成長率が高く見込める分野と考えています。

今年度もオートメーション&センシング事業の成長率は徐々に上昇しており、オートメーション製品全体の実績としても結果が出てきている状況です。

質疑応答:顧客産業別の影響度について

Ken:「御社の製品はさまざまな装置に採用されています。顧客産業別の売上では、どの分野の設備投資の影響を最も受けやすい構造なのでしょうか?」というご質問です。

小川:当社は注力業界として、AGV・AMR、ロボット、半導体、搬送機械、建設機械、工作機械、自動車、食品機械の8つの分野を設定しています。

そのうち装置として採用いただく機会が多いのは、工作機械、ロボット、半導体製造装置の分野です。そのため、これらの分野の成長が、当社の成長に寄与する要素として非常に大きなインパクトを持っています。

Ken:設計の段階で指定され、採用されるケースが多いのでしょうか? その場合、一度採用されると長期的に使用されるように思いますが、いかがでしょうか?

小川:そのとおりです。当社はスペックインに向けた活動を中心に営業活動を行っています。お客さまが新しい製品を開発される際に、お客さまのニーズをうかがいながら、当社製品のご紹介だけでなく、カスタマイズやお客さまの製品に合わせた開発を行います。これは当社の得意分野でもあります。

例えば、特殊車両、建設機械などの分野では、装置の制御方法が押ボタンのスイッチか、ジョイスティック、タッチパネルといった具合に異なります。そのようなさまざまなニーズに対応するために、設計段階から参画し、そこで当社製品がスペックインされるかたちとなります。

その結果、高い品質を求められる分野でも、一度採用いただくと長期間ご使用いただける傾向があります。

Ken:お客さまとの距離や関係性が非常に重要ということですね。その一方で、自前で営業や関係性を構築するより、現地企業をM&Aで取り込むなど、グループインのようなかたちで協力するほうが効率的だという考え方でしょうか?

小川:そのとおりです。地域ごとに産業の成長性が異なりますので、タイムリーにニーズに対応することが重要なポイントです。現地で確実に販売活動を展開し、そのニーズに応えることが重要だと考えています。そのため、地産地消とグローバル展開を強化してきた背景があります。

Ken:設計の段階からお客さまと進めていく中で、性能や価格といった要素があると思います。価格競争になりやすい部分もあるのでしょうか?

小川:当社が扱う制御機器は、業界として価格が比較的安定しています。そのため、積極的に価格対応して採用いただくケースは多くない状況です。

特に安全機器となると、装置や機器自体はトータルの生産ラインや装置全体の中では非常に小さな製品です。そのため、採用いただく企業にとっては、当社のような専門企業に任せ、安定的な供給を確保することで安全性や生産性を担保することのほうが重要とされる場合が多いのです。そのため、価格競争になりにくい構造があります。

また、一定の信頼性のあるプレーヤーでなければ採用されにくい状況もあります。そのため、品質や安全性が非常に重要な要素となっています。

質疑応答:海外市場での製品採用と売上向上の要因について

Ken:「御社の売上成長において、顧客層での生産台数の増減の影響が大きいのでしょうか? それとも装置1台あたりの採用部品点数が増えている影響が大きいのでしょうか?」というご質問です。

小川:当社では、特に海外向けの製品で生産ボリュームが増加しています。アジア市場では採用件数が増えたことでボリュームも拡大し、この点が非常に大きな影響を与えています。

また、欧州市場や米国市場においては、安定的に価格を維持することや、品質を確実に守ることも含めて基本的に毎年価格の改定を実施しています。その結果、海外市場においては数量だけでなく、価格改定の影響も加わり、全体のボリュームが増加しています。

また、グループ化や新たな拠点の開拓といった投資も行っており、リーチできる範囲を広げています。これらの取り組みにより、海外市場の売上向上につながっています。

Ken:採用点数を増やすことが、御社にとって最も重要なポイントなのでしょうか? 特に生産台数が多い製品に確実に採用されることが重要になるのでしょうか?

小川:おっしゃるとおり、新たな装置やラインなどに採用いただくことが重要です。

特に当社では安全機器や防爆の分野に力を入れて取り組んでおり、産業現場の安全を守るために、コンポーネントの提供にとどまらず、安全セミナーや安全コンサルティングなども実施しています。お客さまの産業現場におけるリスクアセスメントをご支援し、それを通じて製品を採用いただく取り組みを行っています。

この分野はお客さまにとって付加価値が高く、投資にあたる分野でもあります。そして、当社にとっても付加価値の高い重要な分野であり、このような分野での積極的な採用が当社の成長につながっています。

付加価値が高い分野での採用や、パッケージ化やシステム化した提供により、より一層当社の成長につながっている状況です。

質疑応答:配当政策の中長期方針について

荒井:「配当性向が高く、株主還元にも積極的ですが、今後も継続可能な水準なのでしょうか? 配当政策の中長期方針をお聞かせください」というご質問です。

小川:当社は過去から配当による積極的な還元を行っています。それは当社の特徴でもあり、基本的な方針でもあります。安定的な配当に加えて成長に伴う増配も実施し、株価によっては自己株の取得も機動的に行ってきました。

現在の配当性向は非常に高い状況にありますが、今年度も業績がかなり改善していること、中期的な業績の向上を踏まえると、この配当水準は十分継続可能であると認識しています。今後も積極的な還元を行っていきたいと考えています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:FA企業では中国の設備投資動向が業績に影響するケースが多いと思いますが、御社の場合、中国向け売上は現地需要によるものなのか、輸出装置向けなのか、どのような構造なのでしょうか?

回答:中国での売上は、現地企業向けが多いこともあり、中国の需要動向に影響を受けることが多いです。

<質問2>

質問:御社製品は装置設計段階で指定され、長期採用されるケースが多いのでしょうか? それとも価格や納期で他社製品と置き換えられることも多いのでしょうか?

回答:高い品質や安全性が必要とされるため、価格が安いだけで他社に変更されることは少なく、一度採用されると継続してご使用いただけるケースが多くなっています。

<質問3>

質問:御社は安全関連機器を強みとしてご説明されていますが、現在の売上の中で安全関連製品はどの程度の割合を占めているのでしょうか?

回答:安全関連機器と、防爆機器を同じ「安全・防爆事業」として開示しており、2024年度実績は110億円(16.4パーセント)でした。

<質問4>

質問:海外売上高比率が64パーセントと高いですが、為替の影響について教えてください。1円円安が売上高、営業利益にそれぞれどの程度影響しますか?

回答:2025年度の業績予想では、ドル145円、ユーロ160円の前提としており、1円変動した場合の影響額は以下のとおりです。

ドルの場合、売上高は約1億円、営業利益は約1,000万円、ユーロの場合、売上高は約1億1,000万円、営業利益は約1,000万円です。

<質問5>

質問:現在、顧客企業の設備投資状況は回復傾向にあるのでしょうか? あるいは慎重な状況でしょうか?

回答:業界や地域によって強弱感はあるものの、グローバルで設備投資需要は回復傾向となっています。

<質問6>

質問:新規顧客の採用はどのような経路で増えるケースが多いのでしょうか? 代理店経由、あるいは装置メーカーへの直接提案が多いのでしょうか?

回答:IDECブランド製品は代理店経由の販売比率が高いですが、装置メーカーなどエンドユーザーに対して営業活動を行っています。APEMブランド製品は、顧客ニーズに合わせてカスタマイズしていることが多いため、直販比率が高いという特長があります。

<質問7>

質問:センサや安全機器など新規需要が高まる分野について、 直近の受注動向や顧客ニーズの変化はどのように捉えていますか?

回答:生産現場の自動化に伴い、AVG・AMRや協働ロボットなどの導入が進んでおり、生産現場で働く人々の安全・安心・ウェルビーイングを向上するためのニーズが高まっているため、多様な現場でセンサや安全機器をご導入いただいています。

小川氏からのご挨拶

小川:本日はご参加いただき、誠にありがとうございます。

当社は、積極的な投資を行いながら成長を実現するとともに、さまざまな構造改革を進めることで収益性の改善を図り、業績の向上に取り組んでいます。これらは中期的な取り組みの一環として推進しているものです。

その一方で積極的な還元も継続的に行っており、今後もこの方針を維持していく考えです。引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。

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