国内での需要停滞が続くガラス産業が、人工知能(AI)半導体向けの需要の急拡大を受けて活気づいている。日本勢が得意な熱膨張などに強いガラス材料の引き合いが急増している。今回はAI半導体向けガラス事業に関わる代表的な企業を以下にいくつか挙げておく。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
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プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
AI半導体向けに引き合い急増のガラス
国内での需要停滞が続くガラス産業が、人工知能(AI)半導体向けの需要の急拡大を受けて活気づいている。日本勢が得意な熱膨張などに強いガラス材料の引き合いが急増している。
半導体などの基板の絶縁材にはガラス繊維を布状にした「ガラスクロス」が使われる。高性能の半導体やデータセンター向けに、信号の遅延などを抑えて高速通信を可能にする「低誘電型」や、熱膨張や反りに強い「低熱膨張型」の製品の引き合いが急増している。
ガラス素材はこれまでも半導体基板の一部や製造工程で使われてきた。だがAI半導体の登場は、半導体向けの材料を巡るニーズを大きく変えつつある。AI半導体は大量のデータを高速で処理する必要があり、回路の多層化やパッケージの大型化が進む。従来の樹脂基板では反りや熱膨張の制御が難しくなっており、平たん性、低熱膨張といった特性を持つガラス材料の需要が急増している。
こうしたガラス材料は日本勢が強みを持つとされる。そこで、今回はAI半導体向けガラス事業に関わる代表的な企業を以下にいくつか挙げておく。
日東紡<3110>
1938年に世界で初めてガラス繊維の工業化に成功。気泡が入らないようにしつつ、細かい糸にしてガラス繊維を造るなどの技術を活用している。
いまでは、低熱膨張型のガラスクロスで世界9割のシェア。同社の製品は一般品よりも熱膨張を約半分に抑えられる。生産できる企業が限られ、米エヌビディアなどのAI半導体向けの需給が逼迫している。
約150億円を投じて福島市の工場に新たな工場棟を建設する。27年に稼働させ、低熱膨張型のガラスクロスの生産量を現状の3倍に高める。
足元は、AI半導体などに使われるガラス材料を手がける電子材料事業が好調。26年3月期は売上高が前期比10.1%増の1,200億円、営業利益は同21.6%増の200億円、純利益は同196%増の380億円と過去最高益更新を見込む。

日東紡<3110> 日足(SBI証券提供)
株価は2月25日に上場来高値を更新して、以降は調整含み。足元は一目均衡表の日足「雲」下限が下値をサポートする格好となっている。3月23日、JPモルガンは目標株価を17,000円から28,000円に引き上げている。
旭化成<3407>
旭化成は低熱膨張型のガラスクロスに参入し、数年以内の発売を目指す。基板の絶縁材でAI半導体の市場に参入し、世界で9割のシェアを握る日東紡を追う。
旭化成はもともと低誘電型のガラスクロスの世界大手。ガラス繊維は他社から調達し、クロスを編み込んで布状にする技術を得意とする。低熱膨張型については現在開発中で、顧客評価を進めている。AI半導体のチップを載せるパッケージ基板向けに出荷する。
足元は、スウェーデンの製薬子会社で医薬品販売が高い伸び。AIサーバー向けを中心に好採算の電子部材の販売も好調に推移する。先端分野を中心に半導体材料の伸びが続き、27年3月期も増収増益が続く公算が大きい。26年3月期は売上高が前期比0.9%増の3兆650億円、営業利益は同6.2%増の2,250億円、純利益は同7.4%増の1,450億円を見込んでいる。

旭化成<3407> 日足(SBI証券提供)
株価は3月2日に上場来高値を更新して以降は調整含みの展開が続くも、足元は切り返す動き。
ユニチカ<3103>
撤退を決めた祖業の衣料繊維事業からガラスクロスで復活を遂げ、最近は有力半導体メーカーからの引き合い活発となっている。ガラス繊維事業で手掛けるガラスクロスはガラス糸で織られ、電子部品を搭載するプリント回路板用の銅張積層板に使用される。
構造改革を続ける同社の足元の状況を見ると、まずガラスクロスの主要な用途であるスマホ向けの薄型の供給が伸びている。また、食品などを包装するガスバリア性フィルムでも安定した収益を上げており、業績改善の芽は育っている。
26年3月期は売上高が前期比13.0%減の1,100億円、営業利益は同62.4%増の95億円、純利益は土地売却益の寄与も大きく、前期荷計上した240億円余りの赤字から200億円の黒字への転換を見込んでいる。

ユニチカ<3103> 日足(SBI証券提供)
株価は2月18日に年初来高値を更新し、以降は大きく調整。27年3月期の会社予想が待たれる。
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