ジーデップ・アドバンス<5885>は、「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、主にAIを対象としたシステムインキュベーション事業を行う企業である。同事業は、主にAIやビジュアライゼーション、ビッグデータを取り扱う研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機や同社オリジナルソリューションなどを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスである。代表取締役CEOの飯野匡道(いいのただみち)氏が、2007年に米国ネバダ州で開催されたSupercomputing ConferenceでNVIDIA Corporation
1. 業績動向
2026年5月期第3四半期決算(累計)は、売上高で前年同期比14.3%減の4,659百万円、営業利益で同16.0%増の811百万円となった。売上高は、前上半期にクラウドベンダー向けの大規模案件があったことによる反動減、IT部材の品薄状況から一部の案件が2月中の入荷が間に合わず3月にずれ込んでことから減収となった。また、上半期はトランプ関税の影響により当初想定していた1億円前後の比較的大型な案件の意思決定が長期化したこと、製造業及び自動車業界の顧客で案件規模に関わらず投資が遅れたことなども影響した。一方で、リカバリー策として取り組んだ中小型案件の獲得が加速するなどセールスミックスの変化により、減収ながら増益を達成できている。また、リカバリー策が寄与して第3四半期のみでは増収に転じていること、第4四半期のスタート月となる3月までに取り込んだ売上高を元に通期の業績修正も発表、売上高は前期比2.5%増の6,800百万円(事前予想は7,308百万円)、営業利益は同19.1%増の1,000百万円(同934百万円)予想となり、増収かつ事前予想を上回る利益水準へ修正された。獲得が加速した中小型案件は元々同社が得意とする主にPoC(Proof of Concept:新しいアイデアや技術・手法の実現可能性を検証すること)フェーズの案件であり、顧客ニーズに沿ったカスタマイズと同社独自のギミックの搭載、並びに専門性の高い手厚いサポートを行うことで高い付加価値を実現したことが主因である。リピート率も87.0%となり、前期末より4.2pt増加した。
2. 今後の見通し
2026年5月期の業績については、売上高で前期比2.5%増の6,800百万円、営業利益で同19.1%増の1,000百万円と、いずれも過去最高の業績を予想する。AI向けの設備投資の需要は底堅いものの、上半期は米国の関税政策などの影響を見極めるために設備投資を先送りした顧客が多かった。下半期は、遅れた設備投資を年度内に取り込めるかが焦点であったが、中小型案件の取り込みに成功している。また、世界的なデータセンター需要を主因として、メモリーやストレージなどのIT部材の高騰や品薄が顕著になっており、部材の確保と納期の確定が業績計画達成の課題となっているが、セールスミックスを変えることでカバーしている。上半期の逆風下で高い収益性を実現し、同社の顧客基盤やビジネスモデルの強さを証明したことが、今回の利益予想の上方修正につながった。生成AI・エージェントAI関連の需要増や補助金予算の増加など市場の追い風がある点、トランプ関税等の不確実性の減少、NVIDIAの新製品ローンチが順調なことなど、市場環境は悪くない。1株あたり配当も29.00円(配当性向25.6%)から36.00円(同29.9%)に大幅上方修正された。
3. 成長戦略
同社は大規模AI時代に向けて技術に磨きをかけており、その実績が顕在化している。東京工科大学の大規模AIシステム「青嵐(SEIRAN)」は、NVIDIAの設計(リファレンスアーキテクチャ)に沿って、最新の高性能サーバー群(「NVIDIA Blackwell」を搭載した「DGX B200」を12台)を高速ネットワークと大容量ストレージでつないだ大規模な計算システムで、学生や研究者は、計算性能の制約を気にせず、生成AI・ロボティクス・デジタルツイン等の先端テーマを実践的に進められる。「青嵐」は、2025年11月に発表された世界スーパーコンピュータランキング「TOP500」において374位、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」において83位にランクインした。東京工科大学のAI教育・研究推進の成果であると同時に、同社が提供するGPUクラスター構築技術が世界基準の性能と品質を達成した証でもある。
4.株価
AIマーケット拡大の恩恵をストレートに受けるのは同社のような存在であり、もっともAI関連らしい評価を得る可能性がある一方、現状の予想PERは28倍となっており、類似企業比較で上値余地を残すと想定される点にも変化がない。同社は、独自性のある製品を展開しており競合は少ない。国内上場企業には、厳密な意味での類似企業は存在しないものの、AI開発の先進ユーザー向けハード、ソフト、ソリューションを提供する類似企業としては、VRAIN Solution<135A>、HPCシステムズ<6597>などがある。特にVRAIN Solutionが増収率、極めて高いROEなどで参考にされる可能性があり、VRAIN SolutionのPER(株価収益率)は、40~50倍程度で評価されている。その他、同社の主要顧客がAI関連企業ということも鑑みれば、AI企業と同様に規模拡大が進むであろうことが想定でき、同関連と比較されることも十分に考え得る。実際、増収率は遜色ない。PKSHA Technology<3993> 、Appier Group<4180> 、HEROZ<4382> 、エクサウィザーズ<4259> 、Ridge-i<5572> 、ABEJA<5574> などをピックアップしてみたが、特に利益面で規模感の近いHEROZ、エクサウィザーズ、Ridge-i、ABEJAの平均PERは特殊要因を考慮しても60倍程度である。同社のPERは25倍程度である。投資フェーズで利益成長率が抑制されているものの、営業利益CAGR+20~30%のポテンシャルは十分にあり、現状のPERは許容されよう。最もAI関連らしい成長を見せる企業との認識がさらに広まれば、類似企業と並ぶ形で2倍強の上昇余地があるということになる。
■Key Points
・NVIDIA最上位パートナー。AI開発向けに最先端テクノロジーを組み合わせたソリューションを提供
・2026年5月期第3半期期(累計)は、一部業界でAI投資先送りも、中小高付加価値案件へ注力し営業利益は前年同期比で16%増
・2026年5月通期は投資先送り案件を取り込み増収予想、当初予想よりも7円の大幅増配
・大規模AI時代に向けた環境整備が進捗、東京工科大学の大規模AIシステムプロジェクトに参画
・最もAI関連らしい企業として株価は現状比2倍強への上値余地。
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