今回は日本を代表する成長企業であるリクルートを分析します。あなたはリクルートにどんなイメージを持っていますか?優秀な人が多い、ゴリゴリした営業マンが多い、起業している人が多い、給料が高い……こういったイメージを持たれてるのではないでしょうか?しかし、こういった熱いイメージから進化し、リクルートはITを活かした知的な会社になろうとしています。これまでの変化を振り返り、これから先どのような企業になろうとしているのか?それは企業の成長にどう影響するのか?投資する際の注意点は?といったリクルートの本質を考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
『Indeed』で業績が急拡大
まずは企業の事業内容を押さえましょう。業績推移を確認します。

リクルート<6098> 業績(SBI証券提供)

リクルート<6098> 月足(SBI証券提供)
上場以来、売上・利益共に順調に成長しています。特に目立つのは22年3月期の営業利益の増加です。この増加要因はなんでしょうか?
リクルートの事業別の営業利益推移を見てみましょう。

出典:各年度決算短信より作成
グラフを見ると、青線のHRテクノロジー事業の利益拡大が目立ちます。よってリクルートの22年3月期の営業利益が大幅増加した理由は、HRテクノロジー事業の成長が大きなポイントです。「HRテクノロジー事業」とは、主にアメリカ・欧州を中心に、求人検索エンジンのIndeed等を展開している事業です。
では、HRテクノロジー事業の他、それぞれの事業は、どのようなサービスを展開しているのでしょうか?確認してみましょう。
<メディア&ソリューション事業>
創業以来続く事業である。就職、住宅、美容、旅行、結婚、飲食などの分野でユーザーと法人を結びつけるビジネスを展開している。リクナビ、SUUMO、ホットペッパーなどが該当する。
<人材派遣事業>
事務職、製造業、各種専門職など幅広い人材派遣サービスを提供している。
リクルートスタッフィング、スタッフサービスホールディングスなどが該当する。
リクルートの主要な収益源は、企業が支払うサービス利用料です。転職サイトや住宅情報サイトにクライアント企業が情報を掲載し、その際にクライアントから手数料をとっているのです。
Indeedの強みは何か?
それではなぜIndeedは急成長したのでしょうか?まずはIndeedの強みを考えます。
結論から言うと、Indeedの強みは自分に合った求人に辿り着くまでの速さです。
私たちがよく広告で見る転職サイト等は、細かい会員登録を行い、企業の大量の求人広告の中から求人応募を行います。つまり、これまでの転職サイトは求人を調査・応募するまでに時間と手間がかかるのです。
一方でIndeedを経由すれば、会員登録不要であり、ネット検索と同じような感覚で自らの条件に合った求人を検索することができます。
実際にご覧になっていただきたいのですが、非常に簡単、かつ短時間で求人まで辿り着きます。この利便性の良さが、多くのユーザーを集めることに成功しました。
そして、企業側もできる限り効率的かつ安く採用活動を行いたいニーズがあります。Indeedはその両方を満たせるサービスです。企業側へ人材提案もする場合、その企業内で最もスキルを発揮できる人材を提案します。また、サービス利用料は基本的に無料です。
従って、自社で採用ページを持たない会社も大勢の人に求人を周知できるのです。そして、課金すると、求人広告が優先的に表示される・求人広告を見た人の動向をデータ分析できるなど、さらに効率よく採用活動を行うことができます。
さらに、AIと機械学習を用いることでその精度が改善されていきます。
このように、Indeedは今後も求職者と企業の採用・就職活動の効率を高めることが期待されているのです。これがIndeedの強みです。