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TOブックス、2026年4月期は売上高・営業利益ともに過去最高 ヒットIP寄与で営業利益72.7%増

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2026年6月15日に発表された、株式会社TOブックス2026年4月期決算説明(個人投資家・機関投資家合同IRセミナー)の内容を書き起こしでお伝えします。

財務ハイライト

川添永津子氏(以下、川添):本日、司会進行を務めます川添と申します。まずは、2026年4月期通期決算のハイライトについてご説明します。売上高は約118億円、営業利益は前年比72.7パーセント増となり、売上高と営業利益のいずれも過去最高を記録しました。営業利益は約20億円に達しています。

本田武市氏(以下、本田):株式会社TOブックス代表取締役の本田です。2026年4月期について、期初予算では売上を約106億円、営業利益を約14億円と発表しました。当社が上場したのは2月でしたが、第3四半期の決算開示とほぼ同じタイミングで、業績予想を上方修正しました。

売上高を110億円から113億円、営業利益を17億円から19億円というレンジで予想を出しましたが、最終的にその予想を上回る結果となりました。営業利益はもう少しで20億円に達する水準まで進捗し、会社の利益基盤がさらに向上しています。詳細については、後ほどご説明します。

商材別では電子書籍とその他で、それぞれ前年比+27%増と好調に推移

川添:商材別について、電子書籍とその他の売上がそれぞれ前年比27パーセント増と好調に推移しています。テレビアニメ化されたタイトルの原作ノベル、コミックスの売上も伸びており、営業利益率は16.8パーセント、前年比プラス4.6ポイントまで改善しています。

この結果を見ると、電子書籍の売上が好調ということでしょうか?

本田:おっしゃるとおりです。ヒットIPは営業利益を押し上げる効果があるため、営業利益率が改善しています。ヒットIPがあることから、当社ではノベルやコミックスをアニメ化する一連のメディアミックス戦略が効果を発揮しています。

結果として、電子書籍やその他カテゴリのうちアニメが占める割合が大きく、これらがしっかりと成長しています。また、アニメ以外の部分も着実に伸びており、その点については後ほどご説明します。

刊行タイトルの積み上がりにより、継続的な成長を実現

川添:『本好きの下剋上』が4月から日本テレビで放送されていることもあり、テレビアニメ化したIPが業績を底上げしているとのことですが、その点についてご説明いただけますか?

本田:テレビアニメ化したタイトルは、本の売上だけでなく、それに伴うグッズ販売なども安定して伸びています。これが業績に大きく影響している要因だと考えています。

川添:出版領域以外からの収益も業績に大きく貢献しています。

本田:まずアニメや舞台、さらには音響といった分野があります。これらの成長が、当社のその他というカテゴリで大きく成長しています。

当社は、この領域をセグメントとして分けずに情報開示していますが、その他カテゴリで30パーセント近い成長を遂げています。この分野は、今後さらに伸ばしていきたいと考えています。

出版領域以外からの収益も業績に大きく貢献

川添:アニメや舞台、音声、音響制作など、さまざまなメディアミックスの展開について、その収益成長についておうかがいできますか?

本田:当社では、アニメや書籍以外の売上がその他というカテゴリに含まれており、全体の売上の中で占める割合はまだ小さい状況です。しかし、伸び率としては順調に伸びており、この分野における市場との接点には、まだ非常に大きな成長余地があります。

電子書籍や紙書籍については、特に電子書籍がすでに100億円近い売上を達成しており、ここからさらに伸ばしていく方針です。ただし、電子書籍の今後の伸び方とその他カテゴリにおける成長の仕方は、大きく異なってくると思います。

主要IP数は編集体制の強化と生産性向上に伴い増加

川添:主要IP数についても見ていきたいと思います。

編集体制の強化と生産性向上に伴い増加している、主要IPあたりの売上高はメディアミックス展開に伴い上昇しています。主要IP数とは、1年で電子書籍において売上が1,000万円以上あったIPの数とのことですが、こちらについてご説明いただけますか?

本田:当社では主要IPの定義として、1年間に電子書籍で1,000万円以上の売上を達成したものを、主要IPとしてKPIにカウントしています。

当社はほとんどの書籍を紙の形式で販売し、全国の書店に流通させていますが、主要IPあたりの売上高には紙書籍の売上は含まれていません。

主要IPあたりの売上高については、大きくヒットするタイトルが出ると平均値が変動しやすくなるため、あくまでも安定した数字をKPIとして重視しています。

そのため、編集人員数の推移、主要IP数の推移、そしてこれらとは異なる視点で見た主要IPあたり売上高推移の3点が、IPを分析するうえでの重要なポイントです。

川添:編集人員を含むクリエイティブ人材の採用を加速しているとのことですが、その点について詳しく教えていただけますか?

本田:これまでの決算発表や記事をご覧いただいている方には、ご理解いただけている部分もあるかもしれません。当社は、未経験者の採用を積極的に行い、それを早期に戦力化するという方針のもと、当社のビジネスを深く理解した編集人員を着実に増加させています。

編集人員と一口にいっても、どのパートで本を制作するのかにより、非常に細分化されています。この点については、後ほど詳しくご説明します。

編集人員を含むクリエイティブ人材の採用を加速し、将来の成長基盤を強化

川添:刊行点数や印刷部数の適正化、さらに販促費の最適化を進めた結果、利益率が前年に比べてプラス4.6ポイント改善したとのことですが、これについてはいかがでしょうか?

本田:原価構造について、スライドに示されているように、原価の中で最も大きい部分は販売手数料です。この販売手数料はプラットフォームに支払うものであり、電子書籍の売上増加に伴い、販売手数料も比例して増加しています。

売上原価には、いわゆる原稿料などが含まれています。また、今期のヒットを牽引したアニメについて、アニメ製作に伴う出資金や制作費、それらの償却費用が含まれています。この点は、売上の増加や販売手数料の話とは少し異なりますが、前年比で増加しています。

これは先行投資といえますが、今期でしっかりと費用化しました。その費用化を経たうえでも、最高利益を達成できています。

2026年4月期の業績を牽引した主要IP

川添:2026年4月期の業績をそれだけ押し上げた主要なIPについて、簡単にご紹介いただけますか? みなさま、ご存知のタイトルも多いかと思います。

本田:スライドでは、6タイトルのIPを取り上げています。

『水属性の魔法使い』は、昨年夏に放送されたアニメです。同時期にさまざまな他社のIPなどがありましたが、それらを抑え、国内の11の配信プラットフォームでランキング1位を獲得しました。

『穏やか貴族の休暇のすすめ。』は、1月にアニメ化されたIPです。放送期間前後で比較すると、約50万部から60万部の売上を積み上げています。

4月からは『本好きの下剋上』が放送されていますが、みなさまご存知だと思いますので、ここでは簡単に触れるにとどめます。

『断罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す』と『バッドエンド目前のヒロインに転生した私、今世では恋愛するつもりがチートな兄が離してくれません!?』は、すでにアニメ化を発表しており、今後売上を牽引することが期待されています。

川添:アニメ化もぜひ、お楽しみにしていただきたいと思います。

2027年4月期通期業績予想

川添:今期の業績予想について、増収減益となる見通しで、TVアニメ化作品が収益性の向上につながることを期待しています。売上高は前年比プラス6.0パーセントを計画しています。この点について詳しくご説明をお願いします。

本田:今期に関しても、成長軌道をしっかりと継続していくことが見えています。売上高はしっかりとプラス計画を立てており、出版やアニメといった部門の伸びが計画にしっかりと反映されていると考えています。

当社は、前期も同様に、アニメ化タイトルを中心に一定のヒット作品をしっかりとリリースしていますが、そのヒット分の上積みについては、保守的に予想を立てる傾向があります。

一般的に決算発表の際には、「予想に対して思いのほか伸びませんでした」のようなお話が出ることもありますが、当社ではむしろ、「予想に対して伸びないなら、最初からもっと保守的に予想を立てる」という考えを基本としています。

「伸びませんでした」というような表現は好ましくないと考えており、しっかりと保守的に計画を組み、結果的に伸びた場合には、その際に上方修正を行うべきだという考え方です。

川添:前年は、予想以上に伸びたということでしょうか?

本田:第3四半期という第3コーナーを回った時点で予想を上方修正しました。その後3ヶ月しかない状況でさらに伸びているのは、予想以上と考えてよいと思います。

売上高の押し上げ効果の高かったIPと、今後アニメ化を予定しているIP展開

川添:売上高を押し上げた効果の高かったIPや、今後アニメ化を予定しているIPの展開について教えていただけますでしょうか?

本田:2026年4月期は、スライドに記載した『水属性の魔法使い』から『本好きの下剋上』までの3タイトルと、同年7月にアニメ化した『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』を加えた計4タイトルが、収益にしっかりと貢献しました。

今期については、まだ放送が続いている『本好きの下剋上』の他にも3タイトルがあり、計4タイトルとなります。来期は、6タイトルのアニメ化を予定しています。

当社としては、タイトル数を増やしながら展開を練り、IPをしっかりと伸ばしていく戦略を取っています。

川添:放送中の『本好きの下剋上』ですが、『名探偵コナン』の前の時間帯ということもあり、ファン層が広がりそうですね?

本田:この時間帯は、視聴率をご確認いただければおわかりいただけるかと思いますが、裏番組として川添さんもご担当されているニュース番組が放映されています。ニュース番組などの競合番組がある中で、回を重ねるごとに、(当社アニメの)視聴率は着実に伸びている状況ですので、この結果には感謝しています。

この時間帯で視聴率が伸びるということは、この時間帯に視聴する子どもや若い層にしっかりリーチできているのだと思います。

「本好きの下剋上」展開に関するトピックス

川添:『本好きの下剋上』には、さまざまな展開がありますよね? 

本田:そうですね。『本好きの下剋上』に限らず、多様なIPを使い、アニメにとどまらない展開を進めることが当社の強みだとお話ししてきました。特に、『本好きの下剋上』はアニメだけでなく、ミュージカルも展開しており、8月は東京で、9月は大阪で開催します。

それ以外にも、ポップアップショップの展開やグッズ販売など、さまざまな試みを行っています。このように、しっかりとIPを育てていくことが重要だと考えています。

川添:自社IPを活用したポップアップショップについては、具体的に展開されているということでしょうか?

本田:事例として4月に「京都 蔦屋書店」内の「京都 IP書店」で、ポップアップショップをオープンしました。また、渋谷の「SHIBUYA TSUTAYA IP書店」では、2年以上にわたり常設コーナーが設けられています。

そのほかにも、丸井などさまざまな企業と協力し、全国展開するポップアップショップを実施しています。当社のオンラインストアでもグッズを販売しており、さまざまなチャンネルを通じてみなさまにお届けしています。

IP展開に関するトピックス

川添:他社IPを積極的に活用して、IPのポートフォリオと収益チャンネルを拡張するということですが、他社のIPを活かす意図について教えていただけますか?

本田:日本語では他社IPという表現になりますが、英語的な表現では「サードパーティIP」となります。要するに、私たちが発掘・育成するものではなく、一定程度発掘され、育成されたIPを指します。これらを、私たちのプロデュース力を活用して展開し、収益を生み出していくというものです。

直近の例として、スライド右端の映画『モブ子の恋』が挙げられます。これは、コアミックスの大人気恋愛コミックを原作としています。本作は6月4日から劇場公開を開始し、好調なセールスを記録しています。

映画『氷血』については、他社IPではなく、オリジナル作品になります。7月から公開され、主演には元・Kis-My-Ft2の北山さんを起用しています。当社は商品化の運用も行いますので、北山さんのグッズが当社から販売される予定です。

IPについては、小説から始まるものに限定されるわけではないという点を強調したいと思います。

知的財産について、肖像権やキャラクターライセンス、さらにはゲームなど、非常に多岐にわたります。当社はIP企業として、小説なども非常に重要な要素ではありますが、特定ジャンルに限定されないIP展開を推進しています。

ただし、アニメや映画の制作には3年という長い時間がかかります。『氷血』の完成までに時間がかかりました。この作品の監督である内藤氏は、私が彼のデビュー前から知っている人物です。彼は以前、映画『呪怨』の監督である清水氏のもとで一緒に働いていた経歴があります。

非常に才気あふれる若手監督で、現在ではもう40歳になり、『氷血』だけでなくさまざまなすばらしい作品の監督を務めています。このような監督の才能もまたIPであり、それをしっかりと伸ばしていくことが当社のビジネスとなります。

今後の自社IP展開予定

川添:今後の自社IPの展開予定についておうかがいできますか? 

本田:すでに放送月を発表済みのタイトルも含めて、いくつものタイトルが準備中です。

スライド上段の『ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を〈はじめから〉プレイする~』や『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル』のほか、下段のタイトルはまだ放送月などの詳細を発表していませんが、アニメ化の発表は行っています。

今後、来るべき時期に詳細を順次発表する予定です。先ほどアニメ制作に3年かかるとお伝えしましたが、こうしたタイトルについてはすでに制作が進行しています。そのため、当社は制作が進んでいるタイトルを踏まえ、ぶれない計画をしっかりと立てられることが強みです。

IPバリューチェーンにおける発掘から価値最大化へ

川添:メディアミックス展開による長期収益化について、あらためてご説明いただけますか?

本田:当社は、現在はTVアニメに特化した形式となっていますが、『本好きの下剋上』に限らず、新しいIPもアニメ化やメディアミックス展開を通じて多面的に広げていくことを強みとしています。スライドは、これまでお話ししてきた内容を振り返るかたちとなっています。

株主還元・配当性向

川添:株主還元及び上場後初の配当についてお話しいただけますか?

鳥海裕喜氏(以下、鳥海):取締役コーポレート本部長の鳥海です。今期は、上場後初の配当を実施しています。当期純利益13億1,000万円に対して配当性向18パーセント、配当額は1株当たり76円という水準で株主総会に上程する予定です。

2027年4月期に関しても、同じく1株当たり76円、配当性向としては20パーセントを超える水準を現時点では予定しています。

配当性向については、来期以降さらに引き上げられるよう、社内で資金繰りを検討しています。配当と成長投資のバランスを考慮しつつ、株主価値の最大化に向けて来期以降も取り組んでいきます。

成長戦略

本田:成長戦略についてご説明します。資料は、第3四半期決算説明資料とほぼ同じ内容となっています。具体的な内容としては、メディアミックス戦略の深化、安定的なIP創出、他社IPの活用、海外展開の加速といった項目です。

なお、以降のページには若干の変更点があります。当社の成長や進化を感じていただける内容となっていますので、あらためてご確認いただければと思います。

メディアミックス戦略の深化~主要IPの価値最大化~

本田:メディアミックス戦略の深化についてです。先ほど、IPをアニメ化することを中心にご説明しましたが、取り組みはアニメだけに留まりません。舞台や音声コンテンツ、5月には『穏やか貴族の休暇のすすめ。』の朗読イベントも開催しました。

これらの作品に合わせた多様なチャンネルを活用したメディアミックス、いわゆるIPの価値を最大化するオーダーメイドの展開を進めています。今後も、これをさらに加速していく予定です。

メディアミックス戦略の深化~製作委員会へのコミットメント~

本田:メディアミックス戦略の深化についてです。アニメ以外でも、舞台や映画などで製作委員会を組成することがありますが、当社では特にアニメでの製作委員会の組成が多い傾向にあります。今期の幹事比率は大きく伸びているように見えますが、計4本となっています。

ここで注目していただきたい点は、主幹事比率には主幹事だけでなく、共同主幹事としてパートナーと協力して幹事を務める作品も含まれていることです。

共同主幹事比率が示すように、当社のプロデュース能力が評価されており、業界のさまざまな方々と連携しやすいプロデューサーが社内にいることが、当社の強みとなっています。

安定的なIP創出~人材・施策~

本田:安定的なIP創出についてです。先ほど、編集人員の増加についてお話ししましたが、当社では編集人員を未経験者から採用しており、大卒求人倍率との比較で、当社のKPIを設定しています。

ただし、大卒の新卒を含む未経験者を採用する場合、戦力化までに時間がかかる点が課題です。そのため、当社ではDTPや電子化といった、通常は社外に委託されるような業務を内製化しています。

内製化により、DTPや電子化に対応する編集人員も必要となるため、単に編集者を育成するのではなく、編集チーム全体を構築し、作品を作り上げる体制を整えています。このような仕組みにより、さまざまな角度からIPの魅力を最大限に引き出せると考えています。

他社IPの活用~「届ける」機能のレバレッジ~

本田:他社IPの活用についてです。スライドに円グラフで示しています。過去のデータと比べて、どこが変化したのかをご確認いただければと思います。

他社IPの活用~プレゼンス拡大に向けた中長期ビジョン~

本田:他社IPの活用について、今回『モブ子の恋』の上映が始まりました。また先ほど『氷血』についても触れましたが、これらの作品が今後どの方向へ進んでいくのかというお話です。

現状としては、アニメを含むその他カテゴリに位置づけられており、その中でもアニメが中心となっています。このような状況の中で、こうした作品がどの程度しっかりと成長していくのかが注目点です。将来的には、一定規模以上の出資なども視野に入れています。

こちらは内容をしっかりとアップデートしましたので、お時間が許せばご覧いただければと思います。

海外展開の加速

本田:海外展開についてです。こちらも、内容をアップデートしています。昨年秋に、日本の漫画の出版に特化したTAMA STUDIOをアライアンス先として迎え、業績を順調に伸ばしています。

現時点ではまだ漫画のみを扱っていますが、将来的には漫画以外のビジネスにも積極的に関与していくという目標を「STUDIO」という名前に込めています。東南アジアでは、そのような展開を進めています。

北米においても、現地出版社や漫画の英語サイトとのアライアンスに加え、当社IPを活用したメディアミックスに関わる重要な企業とのパートナーシップを具体化できるよう取り組んでいます。

質疑応答:紙書籍とアニメ放送・配信の戦略および収益構造について

川添:「アニメ化作品が原作小説やコミックスの販売増加に寄与しているということですが、アニメ化による販売押し上げ効果は、放送期間中に大きく出るのか、それとも放送後も長く継続する傾向があるのでしょうか?」というご質問です。

本田:Appendixとして、スライドに「アニメ化がもたらす収益拡大サイクル」というチャートを掲載しました。

まず、紙書籍については、『ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!』が7月からアニメとして放送されますが、ドコモや一部の配信サイトでは6月後半から先行配信されます。テレビ放送よりも先行配信されることが1つの戦略となっています。

放送や配信がスタートする前には、紙書籍を本屋さんにしっかりと並べる必要があります。放送された翌日にお客さまが来店しても本がなければ売れないため、確実に展開することが重要です。

紙書籍の売上は、本屋さんに納品した時点で計上されます。そうした意味では、紙書籍では放送前に売上を立てる戦略をしっかりと練る必要があります。一方、電子書籍については、アニメを見て「面白いな」「続きを見たいな」と思った方が購入することが多いため、放送期間中の販売が中心となります。

アニメの収益に関しては、アニメの放送が終了した後も配信が続き、さらに関連グッズが展開されることで、将来的にも継続して収益が発生する仕組みになっています。もちろん、アニメの放送期間中にも収益は発生しますが、長期的に収益が発生する構造となっています。

この点については、スライドのグラフをご参照いただければと思います。

質疑応答:メディアミックスの投資回収比率について

川添:「アニメや映画などのメディアミックス投資について、原作販売の増加、配信印税、版権収入、グッズ展開など、どの収益が最も投資回収に貢献しているのでしょうか?」というご質問です。

本田:どの収益にも貢献しますが、先ほどお話ししたとおり、作品の特性によって収益を生む枝の太さは変わります。それも作品の特性に合わせて、私たちが考え、プロデュースしていくことが当社の強みです。

質疑応答:IPの育成時間とポートフォリオの分散について

川添:「出版アニメ関連事業は、ヒット作品の有無に左右されやすい印象があります。御社では、特定作品に依存しすぎず、安定的に成長していくために、どのような作品ポートフォリオを意識されていますか?」というご質問です。

本田:私たちは会社を立ち上げて10年余りであり、IP(知的財産)を育てる企業としては、まだ若輩者に過ぎません。

例えば、『サザエさん』や『ドラゴンボール』『名探偵コナン』のように、30年や40年、さらにはそれ以上の長い時間をかけて作り上げられたIPを持つ企業では、それだけ1タイトルの事業への貢献度が大きくなると考えます。

当社はまだそこまでの時間が経っておらず、まだ若い会社です。そのため、スライドでご説明しているように、当社の売上は非常に分散されたポートフォリオで構成されています。

先ほどもアニメ化されたタイトルが売上と利益に貢献したとお話ししましたが、当社は特定のIPに依存せず、91タイトルのIPを活用して着実に売上と利益を積み上げていることが特徴です。

質疑応答:アニメ『本好きの下剋上』の長期展望について

川添:「『本好きの下剋上』は第2の『薬屋のひとりごと』になることを期待していましたが、世間的な盛り上がりはまだまだかなという感じがしています。ここからさらなる盛り上がりは期待できるのでしょうか?」というご質問です。

本田:ぜひご期待いただければと思います。今回のアニメ放送は夕方、子どもたちが見る時間帯に行われます。そのため、子どもたちが大人になっても楽しめる作品にしていきたいと考えています。

ご指摘の点は、直近数ヶ月という時間軸でのお話かとは思いますが、今後3年、5年、10年と見ていただければと思います。

例えば、『ハリー・ポッター』は30年の歴史がありますが、若いユーザーが次々に加わってきています。そのように若い人たちが楽しめる作品になれば、40年、50年と続いていくことが可能です。『本好きの下剋上』も10年後を見据えて、ぜひご期待いただければと思います。

質疑応答:アニメ『本好きの下剋上』に関する通期予想について

川添:「アニメ『本好きの下剋上』の製作委員会からの収益について、今期から2クール分入ると思います。それに対して、今期の通期予想が保守的のように感じますが、いかがでしょうか?」というご質問です。

本田:通期予想については、先ほどご説明したとおり、一定程度しっかり地に足のついた予想をしています。

質疑応答:今期予想の表記について

川添:「今期の予想は減益予想になっていますが、スライド31ページには『当期は過去最高収益・最高利益を見込む』と記載されています。どちらが正しいのでしょうか?」というご質問です。

鳥海:「設立以来、売上高は高い成長率を維持、当期は過去最高収益・最高利益を見込む」とスライドに記載がありますが、先ほど本田から説明したとおり、来期は増収減益を見込んでいます。スライドのリード文は修正し、開示を差し替えます。

質疑応答:アニメ『本好きの下剋上』の計画および目標について

川添:「今期の『本好きの下剋上』は、アニメ視聴率4位まで上がっており、放送時期も今年9月まで続くということで、上半期の業績にヒットする認識ですが、前年比で減益となる理由を教えてください」というご質問です。

本田:ヒットの有無についてはしっかりと数字を精査した上で、実現可能な数字を設定しています。もちろん、それを上回る結果が出れば、2026年4月期同様に適時しっかりと新しい予想を発表していく予定です。

全社員が計画に満足するのではなく、さらに確実な数字を出すために努力しています。その点については、しっかりとした数字を出そうと努力しています。

質疑応答:ヒット作品とIP展開の考え方について

川添:「IP創出が重要とのことで、育成や採用についてご説明がありました。ヒットさせるIP作りや連続創出という意味では、どういった工夫や投資が必要になるとお考えですか? 御社独自の取り組みや工夫があれば教えてください」というご質問です。

本田:「ヒット」という表現について、私が当社を立ち上げる前から業界で使用されているものだと思います。ただし、明確な定義がないまま「ヒット」という表現が使われることが多いです。

本の場合は「1万部売ったらヒットなんですか?」や「100万部売ったらヒットなんですか?」という疑問があります。また「その1万部、100万部というのは、どれくらいの時間で売ったらヒットなんですか?」という疑問も生まれます。

例えば、絵本では『はらぺこあおむし』が数百万部売れています。それでも多くの人はそれをヒットだと意識していないかと思います。その理由は、長い時間をかけて売れ続けているためです。

数字のみを見ると、実際に数百万部という大きな数字を達成しており、ちょっとした漫画よりもはるかに多く売れています。しかも、絵本1作品だけでその売上を達成しているのです。しかし、それが認識されないのは、非常に長い時間をかけて売れているからだと考えます。

私たちは、その点を意識しています。ヒットという単なる結果ではなく、IPをどのくらいの期間で、どのくらいの規模に広げ、アニメ化、舞台化、グッズ化のどのジャンルで展開していくのかと、しっかりと届けていくことを考えています。

ヒットという言葉にとらわれないことがヒットを生む秘訣だと思います。

質疑応答:IP企業としての作品制作に対する考え方について

川添:「KADOKAWAが収益悪化の要因として、異世界作品や『小説家になろう』の原作作品に偏重し過ぎた点を挙げていました。御社は、異世界・なろう偏重でも成長し続けていけるのでしょうか?」というご質問です。

本田:当社は、異世界・なろうに偏重しているという認識はありません。また他社との比較については、私たちはKADOKAWAの詳細を把握しているわけではないため、ここでのコメントは控えます。

ただし、繰り返しお話ししているとおり、当社はIP企業です。当社は「なろう作品」を作っているのではなく、IPを作っています。IPを作るには、その裏にクリエイターの存在があります。

例えば、『氷血』であれば内藤氏、『本好きの下剋上』であれば香月氏といったクリエイターがいます。クリエイターが制作しているため、当社は「なろう作品」を作っているという認識ではありません。

一人ひとりの編集者や社員、プロデューサーがIPを創出するクリエイターとしっかり向き合いながら制作しています。これこそが、IPを作り出す会社として重要なことだと考えています。ご質問のように受け取られるのは、少し寂しく感じます。

質疑応答:長期間愛されるIPの特徴と展望について

川添:「『本好きの下剋上』がここまでヒットした一因は、老若男女に受け入れられたからだと思っています。今後も幅広い年齢層に向けたIP創出を意識されるのでしょうか?」というご質問です。

本田:IPが長く愛されるには、いくつかのパターンがあります。例えば、今日生まれたIPを楽しんでいる人が20歳だとします。そのIPが20年続くと、楽しんでいる人は40歳になります。そのような時間の経過によるIPの愛され方もあると思います。

『本好きの下剋上』は1つの顕著な例ですが、親から子へ、子から孫へと愛されていくパターンもあります。そうやって愛され続けることで、10年、20年、30年という時間を経過するに従い、自然と老若男女に親しまれるようになります。

親から子へとつながっていかないと、時間の経過とともにIPのファンの年齢層が上がっていく一方ですが、しっかりと親から子へと受け継がれていくIPを育てることが、私たちにとって重要です。

私たちは、IPを長く届けることを大切にしています。その際、親が自分の子どもに勧めたいIPや、子どもと一緒に楽しめるIP、さらにおばあちゃんが孫と一緒に楽しめるIPを作ることが重要だと思います。それこそがエンターテインメントだと考えています。

質疑応答:短期的な業績評価と長期的な成長見通しについて

川添:「公募価格を株価が一度も上回っていないことについて、どうお考えですか? ベンチャーキャピタルがいないようですし、上場した意義があまり感じられません」というご質問です。

本田:上場時にもお話ししましたが、当社は2年後を見据えてビジネスを展開しています。

現状では公募価格をなかなか上回れないという状況もありますが、短期的に成果が見えづらいビジネスであるため、短期志向の考え方にはそぐわない部分があるかもしれません。2年から3年というスパンで成長を見守っていただければと思います。

質疑応答:減益計画の背景について

川添:「上場し成長戦略を掲げる中で、今期はさっそく減益計画です。上場をゴールと捉えられかねないと思いますが、成長に向けてどういう費用を使った結果、減益になる計画なのか教えてください。ヒット作については、御社が一番伸びを信じてあげるべきだと思いますが、その中で保守的に見る理由を教えてください」というご質問です。

本田:先ほど、上方修正をさらに上回った数値に対する減益計画の背景についてご説明しました。その点をもう一度しっかりご確認いただければと思います。

質疑応答:競合他社に対する当社の成長戦略について

川添:「ほぼ無借金経営でキャッシュが潤沢にありますが、大きな投資予定があるのでしょうか? 配当性向20パーセントというのは、競合のオーバーラップが、配当性向40パーセントとしているのに対して見劣ります」というご質問です。

本田:当社はこれまで、競合がどのような会社かについてご説明したことはありませんので、今挙げられた会社を当社の競合として比較されるのはご自由です。

ただし、当社はIP企業として成長を進める中で、配当や成長資金への振り分けをしっかりと考えています。競合を明確に挙げてご説明していませんが、当社なりに見据えている競合は存在します。

その企業に追いつくためには資金が必要です。そのため、まずは成長を図り、さらに高い成長を目指していきます。その点については、異なる観点でご期待いただければと思います。

質疑応答:今期予想の経費について

川添:「今期は売上高が7億円増えて、営業利益が1億円減るということは経費が8億円増えることになります。売上連動の手数料以外で、どのような費用が膨らむのでしょうか?」というご質問です。

本田:もちろん、現在の計画ではそのようになります。しかし、そのような視点ではなく、前期の期初予想の営業利益14億円の構成要素と、ヒットを保守的に見るという構成要素を比較した結果です。

そのため、決して経費が増えるわけではなく、上積み分をしっかり精査した結果の予想であることをご理解いただければと思います。

質疑応答:株主還元と株主優待の検討について

川添:「株主価値の最大化に取り組んでいただけるということですが、御社が幅広い層をIPターゲットとされているように、幅広い層に株主になってもらうことも、企業価値および株主価値の向上につながると僭越ながら考えています。

その上で、例えば個人株主増加のための株主優待の導入などは、今後考えていますでしょうか?」というご質問です。

鳥海:株主還元については、配当に加え、株主優待も社内で検討を進めています。当社はエンタメ企業として、多くの方々やファンのみなさまから「株主優待を期待する」というご意見をいただいていると認識しています。社内で引き続き検討し、決まり次第公表します。

質疑応答:電子書籍市場の現状と今後の展望について

川添:「電子コミックの市場環境に変化はありませんか? 一部の大手電子書店の売上が減速しているというお話も聞きますが、御社からはどう見られているでしょうか?」というご質問です。

本田:業界で先般リリースされた資料をスライドに掲載しています。見る人によっては見覚えのある資料かもしれませんが、ご指摘のとおり、電子書籍市場は踊り場に差し掛かっているのではないかと思います。

こちらも上場のタイミングでお話ししましたが、私がこの業界に入ったのは1998年です。当時、角川書店に入社しましたが、その瞬間から出版業界は斜陽だと言われていました。

当社はIP企業として特定の電子コミックにこだわった目線を持っているわけではありませんが、電子コミックはここ数年で市場規模を着実に伸ばしてきました。現在は踊り場の状況にありますが、電子書籍に注力している書店や出版社が取り組みを続けています。

当社はIP企業であり出版社とは異なる立場ですが、出版業界の関係者とも意見交換する機会が多々あります。情熱を持って取り組まれている様子を見る中で、今後なにか大きなうれしい変化が生まれることを願っています。

質疑応答:IPの源泉への投資と今後の展開について

川添:「配当性向20パーセントは高くない印象です。56億円の現預金の活用を含め、成長に向けて、どのような資金の活用を今後お考えでしょうか?」というご質問です。

本田:先ほどもお伝えしたように、IPは幅広いかたちで派生します。本から派生するIPもあれば、『氷血』のようにアーティストから派生するIPもあります。

当社はIP企業として、どのようなかたちであれ、IPを生み出すクリエイターやアーティストといったIPの源泉に対して投資していくことを基本的な方針としています。また、その取り組みをニュートラルかつ純粋なかたちで守っていく姿勢を大切にしています。

今後の展望として、海外展開についてもお話ししましたが、当社が現在進めている成長中のビジネスにおいて、IPをより広い視野で展開し、世界的なシェアを拡大することを目指しています。

この取り組みには、まだまだ多くの資金が不足していると考えています。この資金をどのように活用し、展開を進めるのか、今後の展開にご期待いただければと思います。

質疑応答:編集人員の早期戦力化とチームの重要性について

川添:「編集人員数は64名まで増えていますが、IP創出力を高めるには、採用だけではなく育成も重要だと思います。未経験編集者の早期戦力化について、どの程度手応えがありますでしょうか?」というご質問です。

本田:先ほど早期戦力化の部分でお話ししたチームでの取り組みについて、KPIとして編集人員を示しました。ただし、編集部全員がクリエイターとの書籍制作という直接的な業務に関わっているわけではありません。

DTPや電子化など、編集に関連する人員も非常に重要な役割を担っています。こうした編集人員がチームとして活躍できる土壌を社内で築くことが重要だと考えています。このような環境を生み出すことこそ、私たちが目指すべきポイントだと思います。

例えば、スペースXが上場し、そこで食堂で働いている方にもストックオプションを提供しているという話があります。日本では「そんなところにストックオプションを出すなら、株主還元しよう」となるかもしれませんが、彼らがチームとして取り組んでいるからこそ、会社が成長するのだと思います。

編集者やプロデューサーとして仕事をしていると、自ら発信する個人主義的な側面が目立つ場合もあります。しかし、良いIPを生み出すには、やはりチームの存在が重要だと私は考えています。

私たちの存在は、クリエイターがあってこそのものです。そのため、私たちは裏方としてクリエイターを支え、1人で担うのではなく、チーム全体で支えるという体制が必要です。この体制が、編集人員を早期に戦力化する上でも重要な要素になると思っています。

早期戦力化の際、1人では不安を感じる部分があるかもしれません。しかし、チームとして取り組むことで、「こうやって支え合っているから、しっかりと早く成長していくんだ」という明確な成果が見えてくると考えています。

私は、チームの重要性を大切にしています。このメッセージが株主のみなさまにも伝わればうれしく思います。

本田氏からのご挨拶

本田:来月も株主総会が予定されており、ご指摘をいただくことも多いかと思いますが、このような機会にみなさまとお話しできるのは非常に楽しく、また貴重な機会だと感じています。これからも良い発信ができるよう努めていきます。

IPの創出は1ヶ月や2ヶ月といった短い期間で達成できるものではなく、何年もの歳月をかけて作り上げていくものです。これから2年、3年、さらには5年、10年というスパンで、私たちが成長していく姿を応援していただければ幸いです。よろしくお願いします。

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