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日東精工、AIデータセンター向け特殊ねじが急伸 独自特許品を軸に国内外の需要取り込みを目指す

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2026年6月20日にログミーFinance主催で行われた、ログミー IR Meet 2026夏 出展企業対談・日東精工株式会社の内容を書き起こしでお伝えします。

会社概要

kenmo氏(以下、kenmo):中小企業診断士、個人投資家のkenmoです。本日は、ログミー IR Meet 2026夏 出展企業対談として、日東精工株式会社の松本さまにお話をうかがいます。

最初に会社概要について、簡単にご紹介いただけますか?

松本真一氏(以下、松本):日東精工株式会社 取締役兼常務執行役員 経営管理本部本部長の松本です。ねじに代表される締結部品を、私どもは「ファスナー」と呼んでおり、こちらの売上が7割強で主力事業となります。

kenmo:「ファスナー」というと洋服のファスナーをイメージしてしまいますが、それとは異なり締結部品ということだと、あまりイメージが湧きません。

松本:おっしゃるとおり、「ファスナー」は日本では「ジッパー」をイメージされると思います。英語の「fasten」は締結する・固定するという意味で、「ファスナー」はモノとモノを固定する、すなわち1つの部品ともう1つの部品をねじで締結するという意味になります。

海外を含めて「ファスナー」といえば締結部品を指しますので、私どももそのように呼んでいます。

kenmo:本社や工場はどこにありますか? 

松本:工場は、日東精工本社は京都府北部の綾部市にあります。京都駅から特急電車で北に向かい約1時間の、山あいの盆地にある非常にローカルな会社です。

kenmo:水がきれいな場所など、何か立地にこだわりがあるのでしょうか? 

松本:当社が綾部市で創業したのは、肌着メーカーとして知られるグンゼの発祥地が綾部市であることも、その理由の1つです。山あいの町で養蚕業が盛んだったため、グンゼのような会社が生まれ、当時、全国から養蚕工場に多くの女性が集まってきていました。

その状況の中で、「男性が働ける工場をつくろう」という意図から、町の有力者が集まり、1938年に当社が設立されました。それ以来88年間、綾部市に根ざし、地元で雇用を創出しながらモノづくりを続けています。

kenmo:事業は複数あると思いますが、主力はファスナー事業ですか? 

松本:おっしゃるとおりです。事業ポートフォリオでは、売上の7割強がファスナー事業となっています。

昨年の実績として、産機事業が売上の12.5パーセントを占めています。産機事業には、ねじ締め機といった自動化設備が含まれます。

もう1つが制御事業で、こちらは昨年実績で売上の13.4パーセントを占めています。制御事業における古くからのメイン事業は、流量計と呼ばれる液体を計測する機器です。それ以外にも、さまざまな検査・計測装置があります。数年前に買収した子会社で分析装置を製造しており、水分計や元素計が非常に伸びています。

kenmo:工場も含めて自社内にあるのでしょうか? 

松本:日東精工単体の主力工場は基本的に、ファスナー事業、産機事業、制御事業いずれも綾部市内にあります。また、私どもは日東精工を含めて国内外に30社のグループ会社があり、群馬県や神奈川県など、関東方面にも工場があります。

主力のファスナー事業 自動車向けに加え、AIデータセンター向けが伸長

kenmo:ここからは、事業ごとにおうかがいできればと思います。まずファスナー事業に関して、現在伸びているお客さまや製品についてうかがってもよろしいでしょうか? 

松本:ファスナー事業は、需要先や販売先の割合としては、自動車関係が最も大きいです。

自動車関係では、自動車部品に使われるものが多く、例えばドアミラーやメーター、ナビなど、さまざまな分野で採用されています。最近では、CASE関連の分野で、前方の障害物に対してレーダーを発する部品に使用されることもあります。

それに加えて、最近ではデータセンターの機器に特殊な加工を施したねじが急速に伸びています。

kenmo:AIデータセンター向けには、特殊な作り方や構造があるのでしょうか?

松本:私どもの「統合レポート」にも記載されていますが、ねじの先端にオイル系粘液が塗布されています。普通のねじの場合、ねじを締めて基板を固定する際に切粉(きりこ)が発生し、これが基板の上に落ちるとショートなどの問題を引き起こします。

当社の製品は、その塗布剤で切粉を吸着する構造が採用されています。今、日本のデータセンター向けにこの製品を納めているメーカーが、メキシコやアメリカでもデータセンター向けの提供を行っており、国内・海外を含め、データセンター向けとしての需要が爆発的に伸びています。

kenmo:ここが伸びているのは、御社だけが作れる技術だからなのでしょうか? それとも品質が他社よりも良いからでしょうか? 

松本:先端に塗布されている粘液が当社独自の配合であるため、基本的には当社にしか製造できない製品です。

この製品はもともと、かなり以前にプラズマディスプレイテレビ用として開発され、使用されていたものです。当時はテレビ製造において使用されていましたが、テレビ製造を中止した後にデータセンター向け製品が作られる際に、再び注目され採用されました。そして、そこで大きく需要が伸びています。

kenmo:ねじは単価が安いイメージがあります。しかしながら、ファスナー事業で売上400億円弱を達成しているというのは、非常に大きなスケールだと思います。

松本:連結ベースで見ると、海外にもファスナーの工場が複数箇所あり、国内外合わせて1ヶ月に22億本以上のねじを生産・供給できる体制を整えています。ご指摘のとおり、1本あたりの単価は非常に安く、1円以下の製品もあります。しかし、数量が集まることで、売上として非常に大きな規模になります。

kenmo:今後も、ねじは価格転嫁が可能なのでしょうか? 

松本:オリジナルの特許製品を中心に9万種類以上のオーダーメイド製品を製造しています。

基本的にオーダーメイドで、お客さまと仕様を擦り合わせながら製造しているため、簡単に他社に切り替えられない強みがあります。材料費の値上がりや人件費の上昇に関しては、若干のタイムラグやギャップはあるものの、基本的には概ね受け入れていただける環境があります。

kenmo:資料を読んでいてイメージが湧きづらかったのですが、ファスナー事業でCASE向けが伸びている点や、グローバル拡販というキーワードも気になります。ねじとCASE向けがどのように結びつくのか、具体的に説明していただけますか? 

松本:先ほどお伝えした衝突防止や障害物を感知するレーダーのようなものの部品には、当社の製品が含まれることがあります。小径のねじもその一例です。

また、EVやハイブリッドカーで使用されるモーターやバッテリーの部分には、ねじに限らず特殊な形状の製品も使用されています。「AKROSE(アクローズ)」という製品は、バッテリーの電極など車載バッテリーに使用されており、電動化関連ではかなり重要な役割を果たしています。

産機事業 自動ねじ締め機で国内トップシェア、海外市場を開拓

kenmo:続いて、産機事業についておうかがいします。この事業ではどのようなことを行っているのでしょうか? また、現在ニーズが高まっている分野についてお聞かせいただけますか? 

松本:産機事業で基本的に主力となるのは、自動ねじ締め機です。ねじを回して締めるドライバーを自動化した機械となります。

自動ねじ締め機の分野では、国内ではトップシェアを持つと自負しています。グローバルではナンバー2であり、1位はドイツの会社になります。自動化設備の中でも、特にねじを締める分野での経験が長く、多くのお客さまから指定をいただいています。

自動ねじ締め機は、自動車向けの比率が高く、例えば自動車のヘッドランプを組み立てる工程で使用されることがあります。また、自動車以外では、ハードディスクドライブやスマートフォンの組み立てにも使用されており、韓国のスマートフォンメーカーやアメリカの大手ハードディスクドライブメーカーなどに採用されています。

kenmo:中期経営計画を拝見しました。産機事業の売上が2028年に124億円強となっており、3年間で売上を2倍に伸ばす計画ですが、具体的にはどの分野が伸びると見込まれているのでしょうか? また、現在それだけの引き合いがあるのかといった点をお聞かせください。

松本:昨年は、産機事業が苦戦した年でした。その要因として、自動車関係が主力のお客さまであり、アメリカの関税問題などの影響で設備投資が先延ばしになったことが挙げられます。現在は、自動車メーカーの方向性がある程度固まり、動き始めている状況で、特にアメリカを中心に回復してきています。

さらにインド向けでは、この1年から2年で売上が倍々ゲームで伸びています。

kenmo:インド向けが伸びているのですね。

松本:当社は昨年、インドの会社を買収しました。この会社はファスナー事業の会社ですが、これを足がかりとして展開しています。

また、産機については販売商社もインドにあり、これらを軸に特に海外市場での伸長を目指していきたいと考えています。その展開先としては、インドやベトナム、回復基調にあるアメリカ、さらにはヨーロッパというところで、海外市場を中心に大きく拡大を図る予定です。

さらに、製品の多様化を進め、既存製品をブラッシュアップしつつバリエーションを広げることで、産機事業の成長エンジンとしての役割を果たしていきます。加えて、M&Aやアライアンスも含めた戦略的投資による事業の拡大を図っていきます。

制御事業 環境対応領域で新たな事業を育成

kenmo:続いて、制御事業では、安定的な売上を緩やかに伸ばしていくような計画になっているのでしょうか?

松本:おっしゃるとおりです。制御事業については、かなり幅広い製品を扱っています。それぞれニッチな分野ではありますが、従来の主力製品である流量計に加えて、現在は分析装置や検査装置といった、環境対応を中心に成長している製品群もあります。

特に現在取り組んでいる新たな事業としては、有機溶剤のリサイクル装置があります。これは現在ベンチャー企業と共同で開発を進めています。今期、市場に投入して量産化できる段階まで進んでいます。

従来の溶剤リサイクルは非常にコストがかかり、特に環境負荷が大きいとされていましたが、分離膜管を使用することで環境負荷の削減が期待されています。

PFAS(有機フッ素化合物)の問題が最近日本でも取り上げられていますが、この分析を行う装置を私どもはすでに製造・販売しています。そして、これを分解する装置を産学連携で現在開発中です。環境をキーワードに製品ポートフォリオを少しずつ入れ替えながら、新しい事業に取り組みたいと考えています。

中期経営計画 営業利益60億円を必達目標に設定

kenmo:中期経営計画についてもう1点うかがいたいのが、2028年の営業利益60億円という目標についてです。

2025年、2022年と過去2回、計画目標に対して未達となってしまっており、そのため「今回も達成できないんじゃないか」と捉える投資家も多くいらっしゃるかと思います。この目標の達成確度や達成に向けた戦略について教えてください。

松本:ご指摘のとおり、前回の計画では目標を達成できませんでした。課題の1つとして、海外展開の遅れがありました。

今回については、この点を加速させるため、昨年インドに子会社を設立し、さらに現在も複数の事案を検討しており、M&Aを含めて海外展開をこれまでよりもさらに推進していきたいと考えています。

また、主力のファスナー事業においては、利益率が他の事業に比べて低い状況です。これに対しては、製品ポートフォリオを高付加価値製品に入れ替える取り組みを進めていますので、これをさらに遂行していきます。

基本的な考え方として、いわゆるKGI、トップの目標に営業利益60億円を据えました。

前回の中期経営計画では売上と営業利益を並列のKPIとして取り組んできましたが、今回は60億円の営業利益を達成するために必要な戦略とは何かを考え、それを目指していくという方針を採用しています。つまり、結果として売上は、営業利益60億円を達成するためのプロセスであるという立場です。

また、資本効率を徹底的に追求する方針の下、設備投資においても、その投資効果を厳密に検証しつつ進めていきます。さらに、インドのような成長著しい地域や製品分野に経営資源を集中的に投入していきたいと考えています。

本中期経営計画では営業利益60億円を必達目標として、これらの取り組みを中心に進めていきます。

kenmo:イメージとしては、販路をより拡大して売上を伸ばす方針なのか、それとも主力で利益率の高い製品の拡販を進める方針なのか、どちらのイメージでしょうか? 

松本:並行して進める方針です。販路を拡大する中で、新しい市場では付加価値の高い製品を展開していく方針を軸に、タイミングを見て、より利益率の高い製品へシフトしていく戦略を取ります。つまり、拡大と入れ替えを同時に進めるという両立を目指すことが、本中期経営計画の目標となっています。

成長市場への設備投資とインド展開

kenmo:加えて、設備投資86億円という試算が中期経営計画に盛り込まれていますが、これは具体的に何をどこに投資する方針なのかについてお聞かせいただけますか?

松本:今回、このキャッシュアロケーションを開示するかたちで導入しました。この設備投資については、先ほどお伝えしたように、成長が見込まれるインドや欧州を含めた地域への展開を念頭に置いています。設備投資を行う際に、どこに投資するのが最適かを考えた場合、現在投資した分を回収でき、成長が期待できる市場へ優先的に投資する計画を組み立てています。

kenmo:これはインドに投資をして、現地で人財を採用するというイメージでしょうか? 

松本:おっしゃるとおりです。私どもは昨年、現地の会社を買収しており、基本的には現地で製造を行う会社です。そのため、現地での人財を確保しながら、新たな展開として、現在日本で展開している高付加価値品をインドでも展開したいと考えています。

そのために、日本人スタッフも今は2名配置していますが、必要に応じてさらに増員しつつ、より成長させていきたいと考えています。

株主還元方針

kenmo:株主還元方針についてもお聞かせいただいてよろしいでしょうか? 

松本:株主還元方針ですが、1つは前中期経営計画から導入した累進配当を、本中期経営計画も継続していく方針です。

私どもは12月決算ですが、2025年12月期の配当は通期で23円でした。今期についてはこれを24円に増配し、これを下限として、来年や再来年の中期経営計画期間中はさらなる増配を目指します。

また、DOE3パーセント以上を最終年度までに達成する計画です。昨年は2.4パーセントでしたが、これまでもおよそ2.1パーセントから2.4パーセントの範囲で推移しています。これを3パーセント以上とすることをコミットし、達成していく方針です。

3パーセント自体が他社と比較して高い目標かどうかという議論はあるかもしれませんが、私どもとしては、これまで以上に高い還元を目指し、累進配当による増配を重ねていこうという考えです。

kenmo:配当性向とは異なり、累進配当とDOEベースということですね?

松本:おっしゃるとおりです。配当性向に関しても、世間相場を念頭に一定の目安は持っていますが、その時々の利益に左右されるのではなく、安定的に増配していくことが私どもの基本方針です。

kenmo:とはいえ、2028年に無事営業利益60億円を達成したのに「0.5円増配か」だと少しがっかりしてしまうかもしれません。そのあたりはバランスを考慮するということですね?

松本:私どもは創業88年を迎え、最終年度には90年を迎える記念すべき年でもありますので、そのような意味でも、配当を充実させたいという思いもございます。

松本氏からのご挨拶

kenmo:この記事を個人投資家のみなさまが目にすると思うのですが、「うちの会社はここがおもしろいポイントです」という点や、個人投資家に向けたメッセージをお聞かせいただけますでしょうか? 

松本:私どもは地方の会社ですが、その地域にこだわりながら、日本全国、あるいはグローバルに向けて製品を発信していくという姿勢にこだわる会社です。

特に個人投資家のみなさまに向けて、当社は株主構成比率において、現在約4割が個人投資家、いわゆる個人・その他に分類されています。この比率をさらに充実させたいと考えています。

昨年末から株主優待制度を導入しました。この株主優待制度では、当社の本拠地である京都府綾部市へのこだわりを反映し、優待品をデジタルギフトと綾部市特産品の選択制にしています。特産品は農産物や地酒など多岐にわたり、好評をいただいています。アンケートでは、概ね9割の株主優待を申し込まれた株主の方々から好意的なご意見をいただいています。

この株主優待制度は初めての試みですが、年々ブラッシュアップを図り、株主のみなさまにさらに楽しみにしていただける優待にしていきたいと考えています。また、当社は地方に根ざしながら、ニッチトップをグローバルに展開するという特色ある企業ですので、その点にご関心をお持ちいただければ幸いです。

kenmo:優待は、12月末日基準で1年以上保有になっていますので、長期で応援してもらえるとうれしいということですね?

松本:はい。そのような個人投資家のみなさまにお持ちいただければと考えています。

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