■ミアヘルサホールディングス<7129>の事業概要
1. 会社概要
同社の前身は、1984年に薬局経営を目的として設立された(株)日本生科学研究所(現 ミアヘルサ(株))であり、2021年の持株会社体制への移行に伴い、完全親会社として同社が新設された。ミッションとして「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」を掲げ、その実現に向けて、医薬事業、子育て支援事業、介護事業という社会的ニーズの高い領域で事業を展開し、「地域包括ケアシステム※」の構築に取り組んでいる。連結子会社はミアヘルサ1社で、2026年3月期末の従業員数は1,838名となっている。このうち、女性労働者の割合が84%、管理職に占める女性労働者の割合が46%といずれも高く、女性が活躍する企業であることが特徴である。
※ 超高齢化社会に向けて地域に適合したケアシステムの体制を整備する政府方針。厚生労働省は、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで継続できるよう、医療や介護など地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築を推進している。
事業セグメントは医薬、子育て支援、介護の3つとその他(食品事業)に区分して開示している。2026年3月期の売上構成比は、子育て支援事業が41.4%、医薬事業が40.0%、介護事業が14.2%となった。ここ数期にわたり子育て支援事業の構成比が上昇する一方、介護事業の構成比は低下している。背景には、介護事業の収益性低迷に伴い、不採算事業所の整理を進めてきたことが挙げられる。実際、セグメント利益率で見ると介護事業は収支均衡水準で推移している。これに対し子育て支援事業は売上高の拡大が継続し、2026年3月期のセグメント利益率は12.2%と過去最高水準となった。医薬事業については5%台と安定的に推移している。主要3事業の売上高のうち、7~9割は社会保険料や自治体等の公費でまかなわれているため、価格競争が起きにくく安定した市場環境ではあるものの、国の政策によって収益性が変動するリスクがある点には留意する必要がある。
2. 医薬事業
医薬事業では、「日生薬局」「ミアヘルサ薬局」のブランド名で調剤薬局を首都圏で展開している。2026年3月末時点の店舗数は45店舗(東京都39、神奈川県4、埼玉県2)で、出店形態としては大型総合病院前の門前薬局が25店舗、医療モール型薬局(面対応型薬局を含む)が20店舗となっている。従来は、門前薬局を中心に展開していたが、かかりつけ薬局の機能充実に取り組む政府方針の下、需要が見込める都市部の駅前立地等に医療モール型薬局の新規出店を推進している。
医薬事業の特徴としては、大学病院等の大規模病院の門前薬局が多いため、1店舗当たりの平均調剤売上高が220百万円、平均処方箋単価が13,516円/枚(2026年3月期)と業界平均の133百万円、9,360円/枚(2024年度実績)※に比べて大きいことに加え、1店舗当たりの薬剤師の数も平均4人程度(非常勤含む)と業界平均の2〜3人を上回ることが挙げられる。一方、同社の門前薬局には、抗がん剤の副作用対応や難病疾患医薬品の取り扱いなど、高度な薬学管理スキルを持つ人員が揃っている。さらに、地域医療を担う薬剤師を育成する独自の教育制度を備え、患者一人ひとりに寄り添った総合的なケアを提供している点が強みである。
※ 出所:厚生労働省「令和6年度 調剤医療費(電算処理分)の動向」
医薬事業の売上高の99%を占める調剤報酬は、薬剤料と技術料で構成されている。このうち、薬剤料に関しては2021年度より厚生労働省にて毎年製品ごとに薬価の見直しが行われており、医療財政負担の増大を背景に薬価は引き下げられる方向にある。医薬品の仕入価格は医薬品卸会社との交渉で決まるため、薬価と仕入価格の差(薬価差益)が薬剤料の粗利益となる。ここ数年は後発医薬品の供給不足もあって需給ひっ迫が続いており、仕入価格交渉においても総じて厳しい状況が続いている。医薬品の需給ひっ迫により店舗間で在庫品を融通し合う回数が増える(配送費の増加)など医薬品の調達コストが上昇傾向にあり、調剤薬局業界全体の課題となっている。
一方、技術料は調剤薬局が独力で収益を高められる付加価値部分となり、調剤基本料や薬学管理料などで構成される。調剤基本料は薬局の規模や処方箋集中率(特定医療機関の占める比率)などによって処方箋1枚当たりの点数が区分されている。そのほか、地域支援・医薬品供給対応体制加算(在宅患者向け業務実績、薬局の開局時間、後発医薬品調剤使用率等)や電子的調剤情報連携体制整備加算(電子処方箋への対応等)、服薬管理指導料、調剤管理料など様々な算定項目を厚生労働省が設定しており、市場動向や調剤薬局に求められる機能などを考慮して、2年ごとに改定されているが、改定初年度は技術料がマイナスに影響することが多い。これら改定ポイントに早期に対応することで技術料単価を引き上げ、またIT活用により生産性の向上を図ることが、医薬事業の収益性を維持するうえで重要なポイントとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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