かつて自動車産業で栄えたミシガン州で、授業料の高い私立学校が次々に閉校となっている。毎月2校が消えるペースで、この問題は街全体の荒廃につながっている。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2019年6月5日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ここだけの問題じゃない?自動車産業で栄えたミシガン州に何が…
高い私立学校が潰れていく
かつては経済が繁栄していた自動車産業ベルトのミシガン州。衰退と共に、私立学校が消えつつあるとの海外報道が出ています。要点を翻訳しながら解説します。
ミシガン州の私立学校は、過去10年間、毎月2校のペースで閉校になっている。
その多くはキリスト教系の私学だが、非宗教系や幼稚園、モンテッソーリ教育の学校なども例外ではない。2009年から現在までの10年間、ミシガン州では200校以上が閉校となっている。
その原因について、ミシガン州の約400のミッションスクールをまとめているミシガン州私立校協会によると、子どもの数が減り、この地域の経済が絶望的な苦境にあるためだ。
2018年私立学校に通学している児童数は11万2,000人で、2009年の13万人から比較すると14%の減少となっている。
私立学校の授業料は年1万ドル強から1,000ドル弱までいろいろだが、これは教会の献金や基金からの援助があるからだ。
しかし、それもいつまで続くかはわからない。
出典:200 private schools have closed in Michigan in the last decade – Detroit Free Press
「兄弟ともにミッション系私学で育ったので、それが減るのは本当に残念です。また、責任感を育むモンテッソーリ教育理念の学校も減っているのは悲しいことです」
出典:同上
ミシガン州は荒廃していく…
下図は、ミシガン州で閉鎖された学校を記した地図です
ミシガン州は、元々、デトロイトという自動車工場の集中する地域で、経営層から上級社員、正社員が多く存在した地域であり、授業料の高い私学も多い場所でした。
全米自動車労働組合を嫌う自動車メーカーは、ミシガン州から脱出するために、南部地域への工場移転で徐々に地域経済を空洞化させ、低所得の非正規社員や派遣社員の住む街へと変貌させたのです。
そうなれば、児童を私学へ通学させる余裕は無くなり、その学校は廃校となるのが、自然の流れです。
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