小規模ファンドはポンジ・スキームになりやすい
また話がそれましたが、多くの詐欺案件はもともとは詐欺ではなく、途中から回らなくなり詐欺になるケースが多い印象です。
破綻した安愚楽牧場も、当初はまじめにやっていたものの、うまくいかなくなって後半はポンジ・スキームになったようです。
ちなみにポンジ・スキームという名称は、詐欺師チャールズ・ポンジ(Charles Ponzi)の名に由来します。下記はウィキペディアからの引用です。
あなた(御社)のお金を運用して増やし、増えた分を(「配当」などとして)あなたに支払う」などとうたいお金(出資金)を集めるものの、そのお金は(全くあるいは殆ど)運用されず、以前からの出資者に「配当」として渡すことで、さもまともな資金運用をしているかのように装う。
詐欺師が巧みならば、しばらくの間は出資者が増え続けて体面を保てる場合もあるが、システム全体では利益を生んでおらず負債が増え続け、最後には配当金が工面できなくなり破綻する。
後から参加した出資者ほど損害は大きくなり、最後の頃の出資者(人数としては割合が多い)は配当を殆ど得られず、最後の出資者に至っては配当を全く得られない。
この手の詐欺案件を総称してポンジ・スキームと呼ぶようになりました。
最初に入っていち早く抜けた人だけが儲かるというヤツですが、わかっていれば乗るのもひとつの手でしょうか。配当が入っていて抜けるのは難しいですが。
そういえば、私もかつてラブホテルファンドを扱っていた会社と何度かコラボセミナーをしたことがありますが、彼らも最初は真剣にやっていたのに、途中から自転車操業になったみたいでした。ちょうどリーマン・ショックで不動産価格が下落し、想定していた金額で売却できず、償還期限までに顧客の投資資金を返還できなくなったのが破綻の始まりだったようです。
単なるセミナーのコラボで、特に推奨しなくて良かったです(こういう面白い案件がありますよという話はしましたが、おススメはしない)。
そもそもなぜコラボセミナーをしていたかというと、私が個人的にラブホファンドに興味があり、彼らのセミナーを聞きに行ったのが最初です。そこで販売を仕切る責任者と仲良くなり、その会社のセミナールームを無料で借してもらう代わりに、私たちが集めた受講者に対し、第二部で彼らのセミナーもしていいというバーターでやっていたのです。
ほかにもデトロイト不動産投資の主催者からの依頼でセミナーをしたことがありますが、これも推奨しなくてよかったです。その主催者はのちに顧客対応を放り出して雲隠れしてしまったようです。手が回らなくなり、顧客からのクレームも面倒になって逃げだしたようです。国内で訴訟が起こされたものの被告人が見つからず、顧客はなすすべもなく、何人かは自力で現地の管理会社を見つけたり、損切り売却したようです。
私は今でもいろんな業者から講演を頼まれますが、個別企業の個別商材を推奨することはしないようにしています。「口座開設だけならタダですから」くらいはリスクがないので言いますが、評価を聞かれても「面白そうですね」程度で口を濁します。「どう思いますか?」と聞かれても「面白いとは思いますよ」という感じ。
私が業者の広告等に利用されること自体には別に抵抗はありませんが、私が自ら推奨すれば、販売サイドと同一になってしまいます。販売サイドの社内体制や資金繰り状況を知る由もないですし、「こうしろ」などと運営に口を出すこともできないですから、大丈夫だという証明もできないし証拠も持たない、将来の保証もできないですから。
有名人が広告塔でも油断禁物
以前、前述の安愚楽牧場が破綻した際、当時経済評論家だった海江田万里氏が推奨していたとのことで、被害者が海江田氏を訴えるという出来事がありましたが、推奨したのは破綻より20年以上前のことだったこともあり、海江田氏の勝訴に終わりました。
確かに20年後の経済情勢やその会社の状況を予言することはできないですから、「著名人が勧めるから」という根拠のない投資判断はしないのが鉄則でしょう。
これはほかの商品でも同様、有名人が広告宣伝に出ているからといって、その商品が良いとか自分に合うとかはまったく関係のないことです。
詐欺ではなくても、「お金を出すだけ」「ほったらかし」「高利回り」「リスクなし」という商品はいつの時代も出回ります。
考えてみれば(いや考えなくても)おかしな話なのですが、なぜか飛びつく人がいます。これも情弱がたくさん釣れるのでしょう。
特に経済的困窮者が増えるであろう今年来年以降は、この手の貧困層をターゲットにした詐欺的な儲け話がたくさん出てくる可能性があるので注意が必要です。