儲け話の前に考えてみたいこと
そこで以前も当メルマガで書いたような気がするのですが、詐欺的案件にどう対処するか、どう見破るかという話を紹介したいと思います。
そもそも、なぜわざわざ赤の他人に、おいしい儲け話をする必要があるのでしょうか。確実に儲かるなら、他人よりもまずは身内に教えるはずです。
私も不動産投資やFXなどの情報を発信していますが、知識と技術を持たない家族や親族に話したことも、勧めたこともありません。知識と経験を積まなければリスクがあるからです。つまり、確実ではないから言わない。
それに、そんなに魅力的な商品なら、なぜわざわざセールスの電話をかけるのでしょうか。私は不動産の仕事をしていて感じるのですが、本当に優良物件なら、既存顧客にメールを送るだけで売れてしまいます。
わざわざインターネットに物件を掲載したり、電話をかけたりDMを送ったりというセールス活動は一切不要です。魅力のない物件は結局、「営業しなければ売れない商品」であることが多いわけです。
それに、そんなに儲かるのなら、銀行からお金を借りて、消費者金融でキャッシングしてでも、自分でやったほうがよいはずです。だから私もそうしています。生命保険の契約者貸付すら使っているぐらいです。
確かに資金総額は大きい方が、得られる利益も大きい。たとえば不動産開発などでは、規模が大きく自分のお金だけでは足りないし、取り分も大きくなるため、お金を集めることもあるかもしれません。ならば、もしやるなら「利益の○○%をください」という成功報酬型にするでしょう。
しかし、そんな特殊な商品でないならば、なぜわざわざ他人様に情報開示や説明義務を負い、高配当を分配し、配当の振り込み手続きをする、なんていう手間をかける必要があるのでしょうか。
なぜ、あなたにお金を出させる必要があるのか?
かつて近未来通信という会社があり、携帯基地局に投資すれば利回り40%などという高利回りを謳っていたそうです。そのとき知人から、それに投資しても大丈夫かと相談があり、私はこう答えました。
「詳しいことはよくわかりませんが、もし私がその会社の社長なら、銀行からお金を借りて自分で設備投資すると思いますよ。銀行借り入れのほうが金利が低いし、そのほうが儲かりますからね。あえて不特定多数から小さな資金をちょぼちょぼ集めて顧客管理もして、さらに40%もの配当を出すなんてバカバカしいじゃないですか」
その後、その人が投資したかはどうかわかりませんが、ほどなく近未来通信は破綻しました。
ここで考えなければならないのは、儲け話にお金を出す前に、「この人は、なぜ自分にこんなセールスをするのだろう?」「自分がその会社の社長なら、どうやるのが最も儲かるだろうか」を想像してみることです。
金融商品によるお金儲けは、ただお金を出す「お客様」になることではありません。セールスサイドの立場を想像し、スキームを検証する意識を持つ「投資家」になることです。
だから私はつねに「自分がその商材を使う社長ならどうするか?」「これは継続性、安定性がある収益モデルか?その根拠は?」を考えるようにしています。
するとほとんどの高還元をうたう商材は、「わざわざ顧客を集める理由がない」「継続する見込みがほぼない」ことがわかります。