日本を待ち受ける財政危機とハイパーインフレ
世界でコロナワクチンの接種が始まっている。日本政府は大金を投じて、海外からのワクチン供給手配を予約している。例えば、2020年11月に効果があると発表したファイザー製のワクチンは6,000万人分購入予約した。モデルナ製やアストラゼネカ製のワクチンも購入予約している。
世界的に医療費、医薬品の価格が上昇している一方で、日本だけが社会保障関係費を30年前の水準に留めておくのは不可能だと断言していい。日本が自前でコロナワクチンを開発できない理由も、政府に薬品会社を支援する予算がないためだという。ここでの問題は、1990年度の税収を未だに事実上過去最大だと引き摺っていることなのだ。そして、日本の税収増が止まったのは、消費税を導入してからなのだ。
1988年度の税収は50.8兆円で、税収に消費税が加わった1989年度から2019年度までの31年間の平均税収は50.7兆円だ。この間、日本経済は1.41倍(円建て)に、世界は4.42倍(ドル建て)に成長したことを鑑みると、こんなに分かりやすい衰退の原因は見当たらない。この歪んだ税制さえ変えれば、日本は良くなる可能性が高いのだ。仮に、日本が世界の標準並みに成長し、当時の税制でそのまま税収増があったとしたなら、2019年度の税収は224.5兆円に達していた。
日本の行く末は、国民自身が決める。消費増税が必要だと主張する政治家を見限って、1989年以前の税制に戻すという政治家で過半数を握ることだ。
日本の行く末が現状の延長線上にあるとすると、国民の資産を背景にした信用を食い潰すまで債務を膨張させ、いずれはハイパーインフレで債務が事実上帳消しとなる。MMTなどでは、インフレ時には課税するとあるが、まったく国民不在の暴論だ。
インフレ時には株価の上昇が家計を守る手段になる可能性が高いが、世界最大の債務国がハイパーインフレにまでなった時にまで機能するかどうかは、まだ私にも分からない。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2021年2月16日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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