韓国の文在寅大統領に2つの不動産投機疑惑が浮上した。捜査の過程ですでに2名が自殺しており、政権を揺るがす大スキャンダルに発展しそうな情勢だ。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2021年3月14日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
文在寅大統領に2つのスキャンダル。弾劾裁判へ向かうか?
今回は残り任期が1年となった文在寅大統領を悩ませる、最悪の不動産投機疑惑について特集したい。不動産投機疑惑として大きな話題になっているのは、2つの事件だ。
1つは、韓国土地住宅公社(LH)の職員らがソウル近郊の地域が新都市に指定される前に同地域の土地を購入したとされること。
2つめは、文在寅大統領の娘ダヘ氏による不動産投機である。
両方とも、今後の文在寅大統領の進退を決めかねない重要な事案に発展する恐れがある。つまり、朴槿恵前大統領を弾劾裁判に追い込んだ占い一家事件やセウォル号沈没事故での空白の7時間といった、韓国中にロウソクデモを引き起こした事件と同クラスのスキャンダルということだ。
実はもう1つ、検察改革の強行という経済にはあまり関係のない事案もある。それについては、次期大統領候補であり「政府の敵」として登場する尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長の話題が出てきたときにでも触れたいと思う。今、彼は韓国で文在寅大統領以上に注目されている人物といえる。
では、文在寅大統領のスキャンダル「2つ」を順番に見ていこう。
疑惑その1:韓国土地住宅公社(LH)の職員らの不動産投機
宅地開発などを手がける公共機関、韓国土地住宅公社(LH)の職員らが開発予定地の土地を投機目的で購入した疑惑が3月初めに出てきた。
これはもう明らかなインサイダー取引で、LHの職員らはソウル郊外の都市開発計画に関する内部情報を不正に使って土地を購入していたという。都市開発計画を事前に知っていれば、その土地の地価が急上昇することは明白である。
これは鉄道やら、大きなリゾート開発の情報などもそうだ。その土地が注目される情報には莫大な利益が発生する。それを事前に知っていれば、大もうけができるというわけだ。
そのため、それらを知り得た職員や政府の大臣などは他言無用であり、もちろん、その情報を使って利益を得ようとしてはいけない。しかし、韓国の官僚とLHの職員たちにはそれができなかったようだ。
8日に文在寅大統領は検察と警察による「有機的協力」が必要な初めての事件とし、「すべての行政力と捜査力を総動員しなければならない。国民を失望させることがあってはならない」と述べた。あれだけ毛嫌いしていた検察まで総動員するという。
捜査対象は国土交通部の職員およそ4,500人と、LHの職員9,900人の合わせて1万4,000人という大規模となり、その中の20人が不正を働いていた疑いがあると合同調査団が3月11日に発表した。
しかし、「本人の実名による取引」に限って行われたため、家族や他人の名義を借りて行った不正な取引は摘発できなかったようだ。つまり、実際にはもっと多いということだ。